2009年9月3日 中日スポーツ 紙面から
V6森田剛(30)が、孤独なテロリストの闘争を描く舞台「血は立ったまま眠っている」(来年1月、東京・渋谷シアターコクーン)に主演することが2日、分かった。
才人・故寺山修司さんの戯曲で、演出は巨匠・蜷川幸雄氏(73)。2つの才能に挑む森田は「しっかりけいこして舞台の上で生きたい! 楽しみにしていてください」とアツく意気込んでいる。
本作は森田にとって3作目の主演舞台。若きテロリストの良(森田)は尊敬する灰男に認められようと破壊活動に精を出す。そんな中、姉の夏美が現れ、灰男と恋に落ちる。姉と臆病(おくびょう)になってしまった灰男にいら立つ良は、新しい指導者になる使命感に心を奪われていく…。
森田と蜷川氏は今回が初タッグ。「(森田は)無精ひげを生やしたり格好がジャニーズ的な雰囲気からかけ離れていて、いつか一緒に仕事をしたいと思っていました」と語る蜷川氏のラブコールで実現した。森田も「蜷川さんの舞台に参加できることを光栄に思っています」と喜ぶ。
作品は劇作家、詩人、小説、映画監督、競馬評論など幅広く活躍した寺山さんが24歳の時の書き下ろしで、1960年に発表された。安保闘争の時代背景を踏まえつつ、若者たちの憤りや葛藤(かっとう)がみずみずしく描かれた。時代の熱や狂気に取り込まれていく良は今回、現在の日本と劇中世界をクロスさせる役割も担うという。
蜷川氏は「今回は自己主張の強い強烈なメンバーをキャスティングする予定」とした上で、「その中で新しい森田君を見せてほしいなぁと期待し、楽しみにしています」。
残るキャストは追って発表される。
◆故・寺山修司さんの戯曲
寺山修司さんは、1935年12月10日青森県弘前市生まれ。多才な活動で若者を中心に大きな影響を与えた。67年には演劇実験室・天井桟敷を設立し、作家兼演出家として多彩な前衛活動を展開、時代の寵児に。競馬やボクシングの解説者としても活躍した。代表的舞台に「毛皮のマリー」など。著書に「書を捨てよ、町へ出よう」など。83年に47歳で死去した。青森県三沢市に野外劇場も備えた寺山修司記念館がある。