LA発芸能WATCH
マイケル・ジャクソンが急逝して2カ月。過激な報道合戦に食傷気味だったが、米CBSテレビの芸能ニュース「エンターテインメント・トゥナイト」で「エルビス・プレスリーとマイケルの共通点」を取り上げているのが目にとまった。時を隔てて生きたエルビスとマイケルの間で洗礼を受けたビートルズ世代としても、20世紀を代表するエンターテイナーの共通点は興味あるところだ。
かたや“ロックンロールの帝王”、かたや“ポップスの帝王”。類似するのは、まず2人とも、生まれが貧しかったこと。第2はポップ・ミュージックとポップ・カルチャーに多大な影響を与えたこと。第3は、従来誰も見たことのないダンス・ステップで世界中を熱狂させたこと。そして極めつけは2人をつなぐエルビスの愛娘リサ・マリーとマイケルの結婚となる。
中でも気になるのは、“Dr. Feelgood(ドクター・フィールグッド)の手で死亡”という個所。辞書では「アンフェタミンなどの覚醒剤を定期的に処方して、患者をいい気分にさせる医師」と訳されている言葉だ。
8月16日のエルビスの32周忌を前にNBCテレビの芸能ニュース「アクセス・ハリウッド」で女優のシビル・シェパードのインタビューを紹介していた。エルビスの死の4年前、シビルが23歳のとき、2人は恋人関係にあった。
「マイケルの死を聞いてエルビスを思い出したわ。あるとき寝る前に、これを飲めってエルビスが錠剤をくれて寝てしまったの。私はそれをトイレに捨てて別れを決意したわ」と薬に依存していたエルビスの私生活を証言している。
度重なるツアーと健康への不安。ファンの期待という重圧に押しつぶされそうになりながらエルビスは「医者からもらった処方薬なら万能」と信じて、デメロール(鎮静薬)などを常用していたという。伝記作家も「彼がアレルギーだったコデイン(鎮静薬)が血圧を急降下させる可能性は否定できなかったはず」と医師の判断を疑っている。
1977年、エルビスはツアー直前に急死。検視の結果、エルビスの体から14種類の処方薬が検出され、死因は薬物乱用による不整脈と判明した。マイケルの死因はまだ特定されていないが、状況はあまりに似通っている。
マイケルの元妻リサ・マリーはブログで、生前マイケルが「自分はエルビスのような最後を迎えるのでは、と予感をもらしていた」と記した。
いみじくもシビルは言っている。「長生きするには、あの2人の背負った名声は大きすぎた」と。
プレッシャーと薬物依存。エルビス42歳。マイケル50歳。2人のキングの早すぎる死だった。
ZAKZAK