陸上の世界選手権女子800メートルで初優勝した南アフリカのキャスター・セメンヤ選手(18)に対して国際陸連が性別を調査している問題で、当地では同選手擁護論と反発が高まっている。
ズマ内相は23日、ベルリンにいるセメンヤ選手に「ヒロインとして(25日の帰国を)歓迎する」と伝え、「女性」として支持する姿勢を鮮明にした。
南アの国民は、アパルトヘイト(人種隔離政策)を長年の闘争で撤廃した歴史を持つだけに差別問題に極めて敏感だ。有力女性団体は「女性に一定以上の実力があれば男と言われるのか」と猛反発。南ア議会も21日、「性差別と人種差別」にあたるとして国連人権委に申し出る方針を表明しており、南ア各紙は、同選手擁護の論調で盛り上がっている。
地元紙「スター」などによると、セメンヤ選手は幼少時はスカートを嫌い、サッカーや空手好きで遊び相手は主に男子。14歳で陸上を始めて頭角を現したが、低い声や筋肉質の体格から対戦相手から男子と指摘されることが多く、トイレに連れ込まれたこともあった。
だが、出生証明書は「女性」で、今年入学した大学寮では女子学生と共同生活中だ。地元報道では、国際陸連の医学的な性別調査は、数週間かかる見通しだ。
(2009年8月24日23時37分 読売新聞)