この夏は“男まつり”だ! ジャニーズ勢席巻 佐藤浩市主演で『官僚たちの夏』

2009年6月30日東京新聞 朝刊



 この夏の連続ドラマは、美少年からダンディーまで、主演は男、男の“男まつり”。


特にジャニーズのアイドルたちが各局を席巻している。



かつて連ドラの定番だった、三十前後の女性の仕事や恋を等身大に描く作品は鳴りをひそめてしまった。帰省や旅行で視聴習慣が安定せず苦戦を強いられることが多いこの時期、どのドラマが視聴者の支持を集めるのか。 (宮崎美紀子)



 ジャニーズ勢強し。



まずは春は中居正広と木村拓哉が主演ドラマを持ったSMAP。夏は草なぎ剛と香取慎吾が主演する。フジ「任侠ヘルパー」は草なぎ演じる暴力団組長がヘルパーに転身。他の元極道ヘルパーも、藪宏太、五十嵐隼士らイケメン固め。香取は、木村のTBS「MR.BRAIN」の後を受け、長寿マンガ「こち亀」の両津勘吉役に挑む。



 NEWSの山下智久はフジ「ブザービート」でプロバスケ選手を演じる。



TOKIOの長瀬智也は、日テレ「華麗なるスパイ」で、日本をテロから守るためスパイになる前科十三犯の天才詐欺師役で主演。脚本は「踊る大捜査線」の君塚良一さん。



 TBS「オルトロスの犬」は、人に触れただけで病や傷を治す神の手を持つ悪魔のような男を滝沢秀明、触れただけで人を殺せる悪魔の手を持つ心優しい男を錦戸亮が演じるミステリー。オルトロスはギリシャ神話に出てくる双頭の犬のこと。


NHK「バッテリー」で注目された中山優馬は、フジ「恋して悪魔」で人間界に潜入した吸血鬼の美少年役。加藤ローサ演じる教師との“胸キュン”ラブストーリー。



 男の格好良さとは顔や若さだけではない。城山三郎原作で、昭和三十年代の日本を舞台に大人の男たちの熱い戦いを描くのはTBS「官僚たちの夏」。主人公の通産官僚役の佐藤浩市をはじめ、北大路欣也、堺雅人、高橋克実、高橋克典、船越英一郎と熱い顔触れがそろった。



 TBS「パパとムスメの7日間」で父親役を好演した舘ひろしは、テレ朝「ダンディ・ダディ?」で高校生の娘の恋愛にヤキモキする恋愛小説家を演じる。中園ミホさん脚本の日テレ「ハケンの品格」の名コンビだった小泉孝太郎と大泉洋。小泉が中園さん脚本のテレ朝「コールセンターの恋人」で連ドラ初主演、大泉は日テレ「赤鼻のセンセイ」で院内学級の新米教師を演じる。



 フジ「オトメン(乙男)」はコミック原作。オトメンとは手芸や料理が好きな乙女心を持つ男子のことで、岡田将生が連ドラ初主演。



 続編、シリーズものでは、テレ朝の「科捜研の女」が九作目、「~捜査一課9係」が四作目に入った。NHK名古屋制作の「リミット」も第二弾。若手刑事役に森山未来、ベテラン役に武田鉄矢。フジ「救命病棟24時」は四年ぶりの第四弾。過去いずれも高視聴率のヒット作だが、主演・江口洋介のケガで開始は八月にずれ込む。TBS「水戸黄門」は四十回目の旅立ち。



 同「となりの芝生」は、一九七六年にNHKで放送された橋田寿賀子さん脚本の嫁姑(しゅうとめ)ドラマを、瀬戸朝香と泉ピン子でリメーク。



 男子優勢、イケメン優勢の最近の連ドラ界だが、NHK「ふたつのスピカ」で宇宙飛行士を目指す高校生役の桜庭ななみは十六歳、平成の「スケバン刑事」ともいえる「メイド刑事」に主演の福田沙紀は十八歳と、若手女優の台頭も著しい。



 春ドラマで成功したのは、濃いキャラクター設定で娯楽性を徹底的に追求した「BOSS」と少年犯罪を扱った社会派の「アイシテル~海容~」だった。日常や恋愛をテーマにしたぼんやりした話は当たりにくくなっており、この夏も、相変わらず人気の犯罪捜査もの、吸血鬼にヤクザ、スパイと非日常的な物語が主流になっている。