MR.BIG、日本武道館公演を完全レポート
ノーカットのCDとDVDになる!
2009-06-26BARKSより
衝撃の再結成発表から4カ月。
オリジナルメンバーでのMR.BIG日本公演がついに実現した。
エリック、ポール、ビリー、パットの4人は仙台、大阪、名古屋、広島など各地で歓喜の渦にファンを巻き込みながら、6月20日には東京にやってきた。場所は日本武道館。
彼らにとっても、過去にライヴアルバムを収録したことのある想い入れのある会場だ。
そしてこの日のライヴも後日CDとDVDで発売されることが決まっている。それだけに、武道館の客席は超満員。最上段の天井近くまでびっしりとオーディエンスに埋めつくされ、さらに立ち見も多数。まさに“異様な熱気”が開演前から漂っていた。
◆MR.BIG武道館公演
ほぼ開演時刻に客席の照明が落ちると、ボルテージは一気に上昇。
1万人以上が総立ち、ものすごい歓声が上がり、バンドを迎え入れるSEもほとんど聴こえないほど。そして始まったのは「Daddy, Brother, Lover, Little Boy」、おなじみ“ドリル・ソング”だ。
さすがにMR.BIG、今日集まった大勢のオーディエンスが何を求めているのかよくわかっている。もちろんソロではポールとビリーがともにピックをつけた電動ドリルを手に、13年ぶりとは思えない息の合ったパフォーマンスを披露。オリジナルMR.BIGが本当に還ってきたんだということを、最初から強く実感させてくれた。
そして、「Take Cover」、「Green-Tinted Sixties Mind」、「Alive And Kick'n」と、コアなファン以外にもなじみのあるMR.BIGらしいナンバーを立て続けにプレイ。もう盛り上がらないワケがない。
明るくてノリがよく、ポップなメロディを持つMR.BIGのナンバーは、ライヴが似合っていて本当に楽しい。でもそれだけで終わらないのがMR.BIG。中盤にはいくつもの見せ場を用意してくれていた。
ポール、ビリー、パットの3人でプレイしたスリー・ドッグ・ナイトのカヴァー「It's For You」では見事なアカペラのハーモニーを聴かせたし、「Price You Gotta Pay」ではハープを吹くビリーのベースをエリックが後ろから弾く、おなじみ“二人羽織”も披露。
アコースティックタイムには4人がアリーナ席中央に設けられた小さなステージまで出てきて「Wild World」や「Goin' Where The Wind Blows」などをプレイ。ここではMR.BIGの持つメロディとエリックのヴォーカルのよさが改めて印象付けられた。
呼びモノであるプレイヤー3人のソロタイムも楽しいものだった。パットのドラムソロは難解なテクニックを使わずシンプルにオーディエンスをあおるもので、途中ではツインバスドラムのパターンを叩きながらビートルズの「The Long And Winding Road」を歌ってみせた。
ダブルネックギターを使った速弾き満載のポールのソロでは、途中からやはりダブルネック仕様のベースをかかえたビリーが合流。エリックとパットも再び登場して背後からネックを押さえる“人間カポタスト”も見せてくれた。終盤のビリーのソロは、ベースとは思えない超高速フレーズの連発。そして歪んだ音でゴリ押し、まさしくビリーらしいプレイだった。
ほぼ2時間にわたるステージは、やはり呼びモノのひとつであるポールとビリーの高速タッピングを見せつけた「Addicted To That Rush」で最高潮を迎え、いったん終了。
アンコールでもファンが待ち望んでいたナンバーが登場。大ヒットナンバーの「To Be With You」と超高速ナンバー「Colorado Bulldog」だ。そして2度目のアンコールではポールがドラムセットに上がった。MR.BIGのライヴではおなじみのパートチェンジだ。
今回はディープ・パープルの名曲「Smoke On The Water」をポールのドラム、エリックのギター、パットのベース、そしてビリーのヴォーカルという布陣。さらに2コーラス目はエリックがベース、ビリーがギターにまわり、パットが力強いヴォーカルを聴かせてくれた。
そして「I Love You Japan」、The Whoのカヴァー「Baba O' Riley」に続いて、最後はビリーが在籍していたタラスの名曲、超高速ナンバーの「Shy Boy」で締めくくり、この日の公演は終了。
あっという間の2時間半だったが、とにかくロックのライヴの楽しさがぎっしり詰め込まれていたという印象だ。トリッキーなプレイも得意とする芸達者で器用な4人が集まったバンドだけあって、ライヴパフォーマンスならではの見せ場も多かったが、それだけではなく、なんといっても曲がいいし、みんなで歌える曲も多いから、オーディエンスみんなが楽しめるのだ。
もちろんバンドとしてのまとまりもバッチリで、演奏も完ぺき。個々のメンバーの技量が優れていることはわかっていたが、MR.BIGってこんなにうまいバンドだったんだ! と改めて思い知らされた。
なお、熱狂に包まれたこの日のライヴは、完全収録、ノーカットのCDとDVDがWHDエンタテインメントより発売されることが予定されている。記念すべき再結成ツアーを見逃した人はもちろん、武道館でこの感動を体験した人も、改めてじっくりと見て楽しんでほしい.