民放が自局製作映画の宣伝だらけになる非常識



(日刊ゲンダイ2009年6月9日掲載)


やられたら、やり返す――。


まさに仁義なき戦いになってきた。テレビ局絡みの映画の宣伝に歯止めがかからなくなっているのだ。


 先頭を走ったのはTBS製作、佐藤隆太主演の「ROOKIES―卒業」。


木村拓哉主演の連ドラ「MR.BRAIN」のPRと並行して動き出し、情報番組、バラエティー、トーク番組などに出演者が連日、登場して宣伝を行った。この効果は抜群で「ROOKIES」は今年最大のヒットになっていて、興収予想は80億円超という。09年上半期の最大のヒット作だ。


 これに早速、参戦しているのが日本テレビ。仲間由紀恵主演の映画「ごくせん THE MOVIE」が7月11日に公開されるが、日テレは公開の1カ月以上前の先月末からドラマを再放送していて、大PR態勢がスタートしている。


 また、これに続くフジテレビ製作の織田裕二主演の映画「アマルフィ 女神の報酬」が7月半ばに公開されるが、これも深夜番組などで宣伝を始めていて、民放の夏は映画宣伝だらけになりそうな雲行きである。



やられたらやり返す

「この手のPR作戦はフジの十八番で、局には以前、番宣への批判が寄せられ、控えめにする傾向が出ていた。しかし、開き直っているTBSを見ていたら“自分たちもやるしかない”と考えるでしょう。今の民放は悪い方に歯車が回る“負のスパイラル”から抜け出すことができない」(マスコミ関係者)



 今は明らかに行き過ぎた状態で放送ジャーナリストの小田桐誠氏も「私が教えている大学の学生ですら“テレビ局はあそこまで番宣をやっていいのか”というほど。映画による放送外収入を増やしたいのはわかるが、異常な状態です。いずれ視聴者の方から見限ると思うけど……」と語る。



 民放が目を覚ますのはいつになるのか。