山折 哲雄 編        ウェッジ

弘法大師と巡る高野山と真言宗

御誕生1250年、真言宗開宗1,200年!

超人僧の劇的な生涯とゆかりの古寺20を探訪

高野山はなぜ真言密教の聖地なのか?

金剛峯寺、東寺、善通寺、久米寺、太龍寺・・・

弘法大師空海の生涯をいろいろな場面から聞き及びますが、もし語り継がれていることが全て真実であれば、おそらく人類史上最も頭の良い、運の良い人間ではないかと思う。

今のように文献が揃っていたり、IT、IOT、コンピュータ、スマホ、あらゆる交通手段、通信手段が揃っている時代ならいざ知らず。

自分の足で歩き、生きる手段でさえも、いつ閉ざされてもおかしくない事態において、間違いなく凡人の我々よりもおそらく何十倍とも何百倍とも言える情報を手に入れている。

超人的偉人であろう。

渋沢栄一の時にも思った感想だが、おそらくその上を行くのではないか?

努力の上にも努力したのだとは思うが、一番は遣唐使に選ばれたいきさつについても類い稀な強運の持ち主である。

本来ならば補欠でまだそうとしても認められていない立場、遣唐使の船が遭難したことで、次の船に乗れたというのは偶然というよりも必然だったのではないか?

恵果先生との出会い、わずか2年の間に語学を完全習得し真言密教を手に入れる、さらには、予定では20年近く待つべく日本への帰国船がわずか2年で帰れた経緯など、強運も味方したといえる。