国立劇場「伝統歌舞伎保存会研修発表会」に行って参りました | 妻を亡くした夫と母親を亡くした娘の生活

妻を亡くした夫と母親を亡くした娘の生活

2016年9月病院で愛妻が亡くなりました
夫は翌年大学生になった娘と愛犬2匹と暮らしていました
2022年11月二女が動物病院で亡くなりました
2024年1月に三女が後を追うように亡くなりました
大学生の娘と二人家族になりました

昨日は一昨日とは打って変わってすっきりと晴れました。午前中近くの家族経営の商店に帳簿付けに行って、午後は横浜Kスポーツセンターでランニング、60分で11.7km走りました。右膝の具合はすっかり良くなりましたので、自重することなく思い切って踏み込みましたが、返す足も速いので右膝への体重の負荷はより軽く感じました。

さて、おとといの夜の続きです。神奈川近代文学館で映画を観た後、都心の国立劇場へ足を運び「伝統歌舞伎保存会研修発表会」を観て参りました。演目は「仮名手本忠臣蔵(かなでほんちゅうしんぐら)」五段目、六段目です。人形浄瑠璃で「おかる勘平」と聞いたことがある人も少なくないと思いますが、赤穂浪士による仇討という「忠」を重んじる武士社会の事件の裏で、「色」事がきっかけで悲劇に陥った百姓一家がテーマです。

普段は菊五郎劇団の脇役を演ずる若手俳優たちが、たった1日の公演のために稽古を積んだ晴れの発表の場です。尾上、坂東、中村の若手役者たち、とは言え何年も修行を積んだ人たちですから、音羽屋型の洗練された舞台を何度も目に止めて来たでしょう。熱が伝わる良い舞台でした。

女房おかるの実家、与市兵衛の元に身を寄せる早野勘平は、仇討の連判に加わるため100両の金子の調達を願っています。与市兵衛は「身を売った金で夫に忠を立てさせたい」という娘の心に感じ入り、勘平に内緒で祇園の廓一文字屋と話を付けましたが、50両の前金を受け取っての帰り道、賊に惨殺され50両を奪われてしまいます。直後に賊はイノシシ狩りの鉄砲に誤って撃たれ倒れます。しかし、鉄砲を撃った男が偶然にも勘平だったのです。人を殺めたことに動揺する勘平でしたが、死者が持つ50両の金子に驚きながらも、死者に手を合わせて50両を持ち帰るのでした。

与市兵衛の家には翌日見受けに来た一文字屋の女将一行が、与市兵衛の帰りを待ち受けますが、待ちきれずに残金50両を渡しおかるを籠に乗せ出掛けるところに勘平が戻ります。勘平は金の工面が付いたと身売りを留めます。しかし、自分の撃ったのが義父の与市兵衛と思った勘平は愕然とし、婿の不審な様子に与市兵衛女房おかやは婿に詰め寄るのでした。

そこへ郎党の千崎弥五郎と不破数右衛門が訪ねて来ます。二人は勘平が渡した金を突き返し、「亡君尊霊への恥辱」と勘平を罵倒します。徒党に加わる望みを絶たれた勘平は昨晩の一部始終を語り終えると、言い訳なさに腹へ刀を突きつけました。

しかし、弥五郎と数右衛門が先に村民によって運ばれた与市兵衛の亡骸を調べると、実は与市兵衛は賊に惨殺され、勘平はその賊を撃って図らずもその敵を討っていたことが判明したのでした。数右衛門は一味の連判状を密かに押し開き、勘平に46人目の義士として血判を押させたのでした。

終演後20分の休憩後、二部は「お楽しみ 大喜利」。菊五郎の挨拶に続いて菊之助、松緑などスター軍団が登場しました。各自簡単なクイズで指名された観客はどれも正解するのですが、正解者には本公演出演者一同の色紙が手渡されるのでした。和気藹々の中、大抵は女性が指名されますので、私のようなジジイが出る幕はありませんでした。最後の一枚を着物姿の私の後席の女性が受け取り大喜びでしたので、祝辞を述べて会場を後に致しました。