先日買ったシグマのAPO MACRO 150mm F2.8 EX DG OS HSM というレンズの試写をしました。
自宅前の夜空10秒露光(開放F2.8にてノータッチ追尾・カメラはML29050)
フラット取得なし・周辺減光補正・その他PSマスク処理で無理やりムラ処理
*黒スジはサーバー転送時のエラーのようです。
撮って思いました。
このレンズ、すごく個性的です。
1.開放からシャープとは月並みな言葉ですが、悪い言い方すれば開放の周辺像がすでに70点ぐらいあったとしたら、絞ってもそれがずっとそのまま良化しないんです。良い言い方をすれば、F4とかF5.6などで得られるそこそこの周辺像がすでにF2.8開放から存在しそれが変化しない。絞りの効果がここまで周辺で見られないレンズって、今まで経験がありません。焦点距離が長いからでしょうか。
2.絞りによって改善されるファクターはわずかな輝星のいびつさや中心像のシャープネスに過ぎず、天体写真においてこのレンズは絞る優位性が「あまり」感じられない。(ないわけではないが、それだけ開放付近の有効性が高いということ)
3.1と2の個性をもたらす一番の要因は、倍率・軸上色収差がほとんどゼロであることが推測される。周辺でも色ズレがないため、Lを撮像してもFを絞ろうが星の大きさに変化は見られない。
<補足>
倍率色収差=周辺で星がRGBごとに団子状に色ズレを起こす。L撮像すると星が伸びて写る。
軸上色収差=光軸上におけるRGBの合焦位置の違い。これが処理で色彩強調されフリンジや青ハロなどの主原因となる。
4.1~3を簡単に要約すれば、「このレンズは、開放または開放付近で撮れ」と言っているようなものです。F4でちまちま時間かけて高画質を狙うのは、天の川等明るい対象限定でも良さそう。
5.RGBを撮影してないので何とも言えませんが、デジカメ+三脚固定で試写した感じでは、他のレンズとは違いやっぱり色収差が視認できないゼロの状態でした。
6.一般写真で感じた欠点として、このレンズは夜景の比較的大きな光源を撮影した際に、ぼわっと大きく広がるフレアが開放付近で確認された。これはレンズのコーティング技術や迷光処理を万全にされた新型EF100マクロでは見られない症状。(ただし光源の色付きは全くなし)このフレアっぽい症状が星ではどうか、と思って試写したが、少なくとも数十秒の露出では感じられなかった。夜景のようにどでかい輝星でもあれば別だろうが、1等星を撮影しF値変化で比較しても同様で、夜景でのフレアっぽさは天体写真に悪影響を及ぼすものではなさそうであろうと期待。
総合的に見て、「けっこう使えるレンズ」という評価です。
EF100L IS マクロよりは全面的に天文適正が高く、85mmF1.8Gには解像でやや劣り、色収差で勝ります。また、決して周辺像が開放から立ち上がりが良いからって、ML29050の解像性能限界にはほど遠く、実感としてはML16000ぐらいが相性的にはちょうど良さそう。ML11002だとちょっとアンダーサンプリングになるでしょう。
中望遠~望遠でML29050を望遠フルスケールで活かせるレンズは、新型サンニッパ・ヨンニッパぐらいか。これが100ミリ以下の広角となれば、よりいくつか存在するでしょう。広角域になればなるほどシンチレーションの悪影響も無視でき、実質的なCCDの解像度が要求されるでしょうね。
このレンズで撮るさそり付近や天の川が、今から非常に楽しみです。
色収差レスの星色表現世界を手軽に味わえる、天文屋向けのレンズではないでしょうか。