…種明かしされたマジックのように、見え透いて写るようになってしまったのか。

近頃になって僕は、画像処理のパワーを全面に押し出された作風を嫌うようになった。
デジタル処理は上手く使うと色々なことが出来る。
いや、出来すぎてしまってコワいんだ。
たとえば見栄えを優先させ、明と暗を逆転させることだって容易い。
写真で言う明暗逆転というのは、哲学で言う真と偽がひっくり返るようなハプニングだ。
そんな反則技をカマしてでさえ、自分の魂を表現したとアーティスト風なことを言ってのける有様。
僕も、以前は躍起になってそのパワーを少しでも自分の支配下に置こうと励んだ。
けど、それはあらかた不毛であることに気づいた。
<注:あらかた=全部ではないがほぼ全て、不毛=無意味>
それを追求しすぎると、もはやそれは天体写真ではなく画像処理コンテストになってしまうだろう。
今じゃCGという逃げ場だってあるんだし、そんなことは写真というカテゴリー以外での別の土俵で
やればいいじゃないか。
…自分自身にも刻んでおきたい。

「表現ではなく再現。アーティストではなくメッセンジャー。」

これが、今日のテーマ。
人間のショボい魂(ハート)などをいちいち「表現」せず、自然の美しさを「再現」しよう。
僕らはアーティストなんかではなく、自然の美を伝える「メッセンジャー」だ。
偽りの表現力を磨くのではなく、忠実に再現する術を身につけよう。
残念ながら天体写真において、僕らにはアートを気取り何かを表現する余地は与えられてなかった。
つまり、僕の宇宙はこうだ、などという弁はまかり通らないと考える。
自然の美しさにただただ感動し、ただただそれを忠実に伝えようとするメッセンジャーに過ぎないんだ。

「そうか、処理とか細かいこと気にせずやればイイんだ!」

いやいや、そうじゃない。
だからと言って後処理に関して何も気にかけない、というのは単なる怠慢や言い訳に過ぎないだろう。
物事そんな単純ではないことぐらい分かってる。

あくまで努力するってことに変わりはない。
けど、努力の向けどころが違う。
「自然を再現するメッセンジャーであるための努力」を、最大限するんだ。
オレ的フィルターなんて、捨ててしまえ。

これを、自分の肝に銘じておこう。