コントラストが高すぎとか、彩度が高すぎてド派手だとか、星がうるさいだとか、バックが暗すぎだとか、全て正直な感想なんだろうけど、正確な天体写真の批評とは思えない。
正しくは、
・コントラストが高すぎる → 階調性が失われている。
・彩度が高すぎる → RGBいずれかのチャンネルにおいて色飽和を起こしている。あるいは、その画像のコントラスト強度に応じた彩度が妥当でない。
・星がうるさい → トーンジャンプあるいは飽和した星が無数に存在してしまっている。
・バックが暗すぎる → 鑑賞する環境(モニターガンマ)が合わない。モニターの性能が及ばず、暗部の階調差を見分けることが出来ない。
…このように、デジタル写真の基本に立ち返れば見出せる症状ばかりである。
よく考えてみて欲しい。
コントラストが高すぎるという批評は大きな間違いだ。
もしこの批評が正しいと仮定すると、星ナビ巻末連載などにある高コントラストなモノクローム写真その
他を全て批判することになる。
他を全て批判することになる。
コントラストが高いのがいけないのではない。
階調の連続性が失われた写真となってしまうことがいけないのである。
「バック暗すぎるね。」
とか、
「彩度高すぎでしょう。」
などとアドバイスを受けた人は、ただバックを上げたり、彩度スライダーを低くするだけだろう。
それでは、何の解決策にもならない。
バックを明るくすれば、果たして天体写真としての価値が上がるのか?
ああ、そうだったんだ。…とバックグラウンドを明るく調整する。
いや、そんなわけはない。それで天体写真が上手くなるなら、誰も苦労はしない。
彩度が高い?
彩度が高すぎる写真はダメなんですか?
だったら、これなんか全くのNGでしょう。
「いや、この写真はOKでしょう。」
「え、何で?この写真だって、彩度めちゃくちゃ高いですよ。」
「だって、この写真は海外で素晴らしい条件で撮られたものだし…そもそも日本ではこんなのは無理。」
いやいや、論点がズレてきています。
結局、高彩度は天体写真としてのNGファクターとはなりえないのです。
例えば彩度を上げすぎて、赤の星雲のハイライトが単独チャンネルで見た場合広範囲で飽和して階調がなくなってしまっている…この場合は、写真性がじょじょに失われているという意味ではじめて批判の対象となるわけです。
高彩度NG,ギンギン写真ダメ!
こんなことばかり言ってたら、日本の天体写真はいつまでたっても発展途上です。
お手本のない天体写真の評価は、基本的に減点方式だと思っている。
「写真の症状」を見抜き、それを改善する目と技術(引き出し)を磨くことが向上の近道なんでしょう。
せっかくのブログというコミュニティを利用し、どれだけお互いの写真を賞賛し合ってても、そこが欠如していれば、何年やっても成長はせず同じような結果にしかならないのでしょう。