前回すばるの画像を例題としてUPしましたが、あまり回答する方がいませんでした。
(このブログ、書き込むのに勇気がいるらしいですね。 )
はっはっは。

もうちょっとヒントを出しておきましょう。
先回出したすばるを見て、どう感じるか?


レベルによって診断してみると・・・、

初級者・・・美しい、何も言うことなし。改善点もなし。
中級者・・・のっぺりして輝度のメリハリが足りない。
、というところでしょうか。


「輝度」という言葉が出ました。
これって、デジタル写真において頻出するワードですね。
よく、天文屋の掲示板の中でも以下のような書き込みを目にします。

「階調の振り分けが難しい。」

オリオン星雲とか、アンドロメダ星雲とか、輝度差の激しい対象などでよく耳にしますね。
けど僕が思うに、
「輝度」という要素だけで試行錯誤しているようでは駄目なんです。


昨年マウナケアで僕が撮影した、この画像をご覧下さい。

イメージ 1


太陽を直接フレーミングし、異なる露出の多数枚合成でダイナミックレンジを強烈に圧縮しています。
太陽って、まぶしいですよね。
しかし、この鮮烈なまぶしさは「輝度」のみから来ているものなのでしょうか?
輝度というのは、Labで表現するところのL(明度)を示します。

上画像のLのみだと、こうなります。

イメージ 2


どうでしょう。
確かにまぶしさはとどめていますが「鮮烈さ」は消滅してしまったことがお分かりでしょうか?

「なるほど、カラーかモノクロかという違いか。」

と感じたあなた。
それだけでは駄目です。
もっと突っ込んで考えてみて下さい。

イメージ 3


よーくこのカラー画像を見て下さい。

レッド・グリーン・ブルーがそれぞれ、255という飽和点に向かうまでのストーリー・数値の振る舞い
がお分かりでしょうか?
僕には分かりますよ。
何なら、言葉にしてみましょうか。

よっちゃん評
「RGB総じて、飽和点に向かうほど光の強度が高まっていくが、とりわけRとGは立ち上がりが早く、Bについては飽和点直前までは低調を保っており、それが結果としてイエローの鮮度を高めていく結果となる。しかし飽和点直前より状況は一変し、ブルーの輝度がぐんぐんRとGに追いつこうと疾走する。結果255の飽和点においてRとGに追いつき、3色は飽和という格好で1点に収束する。」



ははは、つまりこういうことです。

イメージ 4


僕の脳内イメージをグラフ化すると、まさにこの通りになります。
これで、各色の飽和に向かうまでのストーリーは分かりましたね。



そして、ここからが本題。
以下をご覧下さい。

イメージ 5


1は、RとGがぐんぐん上昇します。この段階でBは置いてけぼりですよね。
2は、Bがぐんぐん疾走しはじめるエリアです。
3は、飽和点、つまりBが追いつき3色が同時にゴールインした場所を指します。

1→3に至るまで、輝度以外にどのような変化があるか、もうお分かりですね。
そう、彩度です。

「彩度というのは、各色間での輝度差が大きければ大きいほど高まっていく。」

デジタルをかじっている人なら、これは常識でしょう。
そして、このグラフを見ると…

1の外周・・・比較的彩度が低い
1   ・・・彩度が増していく
2   ・・・彩度が落ちていく
3   ・・・無彩色

この太陽の「鮮烈なまぶしさ」は、モノクロの輝度だけでなく、彩度のアップダウンの起伏によるメリハリによって印象づけられていることが、これでお分かりでしょうか?


ちなみにこの太陽、Labのbチャンネルは以下のイメージとなります。

イメージ 6


太陽の中心がグレーに落ちているのが分かりますね。
彩度がどんどん高まっていき、中心部でガクンと落とされるのです。
このグレーの部分こそ、無彩色エリアでありRGB値では128で示されます。
この落ち込みこそがすなわち、メリハリであり鮮烈さを生み出す「仕掛け」なのですよ。

「太陽の鮮烈なまぶしさ」を、ここまで分析したことがありますか?
撮像段階…いや、撮像の前段階で、
僕はこういったことを結構よく考えています。
是非こういった事象にも目を向けてみて下さい。

イメージ 1


写真の美しさには、ワケがあります。
単純に明るさの抑揚だけではなく、彩度・輪郭その他のさまざまな要素でのアップダウン…すなわちメリハリによって自然の美しさは成り立っています。単純に画像全体を高めたり・落としたり…という一方向のみでは美は再現されないケースがほとんどです。


精神論ばかりでは、誰もその美を追試出来ません。
今年は皆さんとご一緒に、こういった美しさのからくりについてシェアして行きましょう。


さて、それでは前回のスバルの写真のどこがマズかったのか?
もうお分かりでしょう。
それは、最終回である次回にご説明したいと思います。
…って、もう最終回?
このシリーズ、3回縛りにしてしまったので次回がラストとなります。
お楽しみに!