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 富士フイルムホールディングス(HD)は12日、グループ企業の富士ゼロックスの海外販売子会社で不適切な会計処理が2010年度から15年度まで6年間行われ、損失額が累計375億円に上ったと発表した。富士ゼロックスの山本忠人会長と吉田晴彦副社長を22日付で解任し、富士フイルムHDの古森重隆会長と助野健児社長が役員報酬の10%を3カ月間返上して責任を明確化する。

 富士フイルムHDは12日、弁護士らで構成する第三者委員会の調査報告書を公表した。数年間で220億円と見込んでいた損失が拡大。富士ゼロックスの吉田副社長が不適切会計の隠蔽(いんぺい)を指示していたことが判明した。報告書は内部統制に問題があり、売り上げ至上主義の社風もあったなどと指摘した。

 記者会見した富士フイルムHDの助野社長は「決算発表が遅れ、ステークホルダー(利害関係者)に心配を掛けた」と陳謝した。富士ゼロックスは75%を出資する子会社だが、「独立の気概が強く、細かいことを言ってこなかった」と説明。ガバナンスを強化するため、古森氏ら5人を取締役として派遣することを決めた。富士ゼロックスでは古森氏が会長を兼務。栗原博社長が賞与30%と役員報酬の20%を3カ月間カットする。

 不適切な会計処理は富士ゼロックスのニュージーランドとオーストラリアの販売子会社で見つかった。複写機などのリース取引で、機器本体を売り上げに計上後、使用量に応じて代金を回収する契約だったが、これに該当しない契約を含める形で売り上げをかさ上げしていた。 



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富士ゼロックス株式会社
代表取締役会長 山本 忠人
代表取締役社長 栗原 博(右)

・富士フイルムホールディングス(HD)

 1934年に写真フィルム製造の国産化を目指すため、大日本セルロイド(現ダイセル)の写真フィルム事業を分社して設立した富士写真フイルムが起源。62年に米ゼロックスの英国子会社ランク・ゼロックスとの合弁で複写機メーカーの富士ゼロックスを設立し、2001年に同社を連結子会社化した。06年10月に持ち株会社制に移行し、富士フイルムHDの傘下に富士フイルムと富士ゼロックスの2大事業会社を抱えている。
 2000年以降、デジタル化に伴い、主力のカラーフィルムの需要が急減したことに対応し、事業構造を転換。強みを持つ写真関連技術を元に、ヘルスケア事業や化粧品事業を強化し、再び成長軌道に乗せることに成功した。


富士フィルムHD
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