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 株式を公開した後でも、多くの株式を持ち続けている創業者やその一族は少なくない。上場企業の株式情報をもとに3月末の保有株式の時価を算出し、金額の大きい順に並べたところ、新たな市場を開拓し業績を伸ばしている新鋭企業の創業者が躍進した。
 スタートトゥデイの前沢友作社長は前年の11位から4位に順位を上げた。衣料品の通販サイト「ゾゾタウン」の好調で株価が43%上昇。株式売り出しなどで発行済み株式に対する保有割合は43.1%と1年前より約4ポイント下がったが、時価は逆に3割弱増えた。
 14位にはCYBERDYNEの株式を38.2%保有する山海嘉之社長が入った。医療用介護ロボットの国内販売を開始したことで業績黒字化期待が拡大。株価上昇で保有時価も4割弱増加した。
 前沢氏など一部を除き、上位者の株式保有比率はほぼ変わっていない。保有時価の増減は株価の騰落の影響が大きい。3月末は日経平均株価が1年前に比べ13%下落しており、上位15人のうち11人の保有時価が減った。
 ソフトバンクグループ株を19.2%保有する孫正義社長はただ一人1兆円超えを保ったが、米携帯子会社スプリントの業績不安が消えず、保有時価は23%減少。2位のファーストリテイリングの柳井正会長兼社長も株安で保有時価が2割減った。
 一方、株式の保有時価の多い創業者・創業家一族が受け取ったとみられる配当額は増加した例が多い。企業が株主還元強化の一環として、増配したのが背景だ。直近決算期の実績から推計した受取配当額はファストリの柳井氏が17%、日本電産の永守重信会長兼社長が10%増加したようだ。サイバダインは無配が続き、山海氏は配当を受け取っていない。(日経2016年7月15日)