新政権誕生を受けた変動は今のところ小康状態といった様子。何れにしろ、来週の解散を踏まえると、勝敗の方向が見えてくるまでは、当面は争点はなさそう。ただ、今回は石破さんの期待外れもあり、マーケットにとってどちらが吉かわからないが、与党が票を伸ばせば増税方向、野党が自民党の過半数割れあるいは与党の過半数割れに近づけば、減税方向への民意が示唆されたものになり、不安定な政権であることを除けば、中期的に景気回復へ繋がるものになるものと考える。岸田政権で賃金が上がったことを殊更訴える人達がいるが、この賃上げの原資は、値上げであり、これを続ける限り、物価高と名目賃金の上昇は続くかもしれないが、実質賃金のマイナス傾向は続き、可処分所得の減少から景気にとってはマイナスの効果になっているように見える。現在、江戸時代の五公五民を上回ると言われる税金と社会保険料の徴収についても、与党の敗北から見直されて欲しいものである。ほとんど効かないキャッチーな経済対策ではなく、消費増税のような国家財政からみた経済運営でなく、国民サイドから見ても「持続可能な」フェアな経済運営が望まれる。


さて、東京株式市場であるが、今のところ何も決まっていないものについて、誰かのコメント等を基に、空中戦を繰り広げている様子が伺える。8月からのボラテリティの上昇が続いているとも言えるが、総選挙を控えている以上、個別の材料以外は本質的な意味はあまりないと言えるだろう。そういった意味では、日本株については言えば、大きな動きに対して逆張りで望むべき場面だろう。


 個人的には、今重要なのは、米国景気と中東情勢と考える。米国景気については、総じて底堅いという評価になっているものの、個々の指標を見るとほぼ予想通りで、殊更良いとも言えず、多少バイアスがかかっている印象。そもそも、良い数字が出れば、利下げが遠退くだけで、市場に対する評価という点ではマイナスとなる。つまり、予想通りから外れ、弱い数字あるいは良い数字が出ればマイナスの評価と成り易いと言える。つまり確率的にはマイナスに寄与するケースの方が多いのではないかと考える。中東情勢については、米国の軍需産業以外は総じてマイナスのインパクトと言えるだろう。大統領選挙を控えて、様々なコメントはあるだろうが、本質的にはあまり良い状況ではない。


 こうして見てくると、当面はやはり逆張りかつ戻り売りで対応する場面であると考える。