米国CPIが予想通りであったことを受け米国株は上昇。特に、半導体株は大幅上昇となった。これをもって利下げになるわけでもないことから、利下げ後退懸念から警戒感が強くなっていた直近のセンチメントに対する反動ということになるだろう。これを受けて日本株も上昇、ただ日本については本日発表された1-3月期の実質GDP成長率が年率-2.0%となったことから反応は限定的、為替は円高方向に動いたものの、この統計を見る限り円安に歯止めがかかるのは難しいように見える。米国株との相関のみならず、このような日米の経済状況の差もあってか、本日の戻りに関して言えば、輸出株優勢となっている。


ここで、GDP統計に関して、ざっくりとコメントを見ると、認証不正問題に伴う自動車生産の減少や能登地震の影響から悪かったが、4-6は賃上げもあったし、インバウンドも多いから大丈夫といったものである。本当なのだろうか。あるシンクタンクは、4期連続となる実質個人消費の減少を指摘しているが、ポイントはまさにここではないのだろうか。24ヶ月連続マイナスとなっている実質賃金や足下でも続いている物価上昇を考え合わせれば、5期連続となる可能性はそこそこ高いように見える。ご存知のように個人消費はGDPの約半分を占めており、インバウンドが増えただけで、果たして補えるのかとの疑問も残る。やはり、株式市場は大枠でとらえれば、経済状況(今だけではなく、将来まで含め)を映すものと言える。今の状況が続くとなれば、株価上昇が続くと考えるのは少し難しそうである。


今の現状のイメージは、①米国については、景気は良いが、利下げがあるかどうかわからない②日本については、利上げはするかもしれないが、継続は難しそう。景気については、客観的に見れば、あまり良くないというところだろう。ここから、導き出される答えは、自然体であれば、趨勢的には為替は円安傾向、内需は弱く、外需主導は続くということになる。外部環境の不透明感からコンサバな業績予想からのスタートになるだろうが、円安と米国景気の強さがこれを埋めていくことになるだろう。


個人的な感想を言えば、日本はいつからこんなに低調な国になったのだろうか。経済が好転し、国民が潤い、本当の意味で日本にお金が流れてくるような、外部環境の影響ではなく自然体での物価上昇と人為的ではなく自然体での賃金上昇が起こるのはいつの日か、そもそもそのような未来を目指して国の舵取りが行われているのか。焦燥感を感じながらマーケットを見ている今日この頃。


最後に、戦略的な話をすれば、まだ本格的なトレンド転換に至らないと思うことから、引き続き逆張り的な動きを中心としたいところ。ただ、前2週間程度と比べると、目線は多少上向きで。銘柄は、ハイテク株、輸出株寄りで俗にいうブルーチップ銘柄あたりを物色対象としたいところ。