日銀の「マイナス金利政策」解除の決定を受けて、株式市場は反発、金利というよりは円安が寄与している模様。やはり日本株は他の変数に増して為替の影響は大きいようだ。とにかく、イベント通過と言いたいところだが、明日にかけてはFOMCも開かれることから、余談を許さないところ。ただ、不確実性は高いものの、心配なのは米国の金利がなかなか下げられないことであり、そういう意味では、最大のリスクは米国の再利上げで、それに続いては、米国の利下げ確率が下がることと言える。まあ、これはどちらも円安方向への動きを助長する可能性が高く、ハイテク株は米国ハイテク株の影響を一時的に受けるにしろ、今の日本株全体の動きから見ると、マイナスの影響は限定的と言えるだろう。


ここで、為替についてであるが、日銀が動いたことで、円安を止める一般的な手段は介入に留まると考える。そういう点からは、円安が加速する可能性が出てきたと言える。前述したように金利を下げようにも下げられない米国と、マイナス金利は解除したものの継続的な利上げは明らかに無理である日本との差が明確に出ることになる。加えて、足下は賃上げて一時的な実質賃金はプラスになったかもしれないが、円安が進むことになれば、再びコストプッシュインフレから実質賃金の低下、デフレ傾向の再燃ということにもなりかねない。要は景気なのである。いくら40000円になろうとも、実態経済がダメならば、長続きはしない。米国株も今でこそ上位数銘柄のウエイトの偏重である種の歪な株価となっているが、2022年までの10年間の米国の平均実質GDP成長率は2.1%、日本のそれは0.7%と大きな隔たりがある。突き詰めれば、それが米株と日本株の差になっているとも言える。それを前提にすると、異例の強さを見せている米国経済を背景にした米国株と比べながら、日本株は割安と言っていることには違和感がある。個別銘柄はともかく、全体を見るならば、割安とは言い難く、今回の日銀の政策変更についても、コストで押し上げられた2%の物価上昇と、無理やりの賃上げで、デフレ脱却とはいかがなものだろう。このことが、円安に繋がるならば、まさに日本売りという側面が強いと考える。


戦略としては、円安傾向を前提に出遅れハイテク株(輸出株)を物色したいところ。ただ、マーケットの潜在的なリスクは高いことから、先行したハイテク株には要注意。