日経平均株価はバブル後最高値を更新。米国の半導体銘柄の上昇を反映して、日本の半導体関連銘柄も上昇、それらの銘柄が、主に日経平均を押し上げるという構図。これを援護(?)するかのように、日銀副総裁の緩和維持という講演内容が伝わり、それが円安を誘うという超好循環の一日だったと言える。


株価上昇それ自体は大変結構なことであるが、多少物言いをつけると、まず、昨日の上昇銘柄数は全体の3分の1に過ぎない。言い換えれば、残り3分の2の銘柄は下落しており、持っている銘柄が明暗を分けた格好。言ってしまえば、指数の上昇幅から受ける印象ほど強いわけではないだろう。日経平均の上昇率2.06%、TOPIXのそれが0.5%という状況から見ると、どちらの傾向のものを持っているかでかなり景色が違うと言える。半導体株に代表されるグロース系か、銀行株を主とするバリュー系かということできっちり分かれた一日と言える。


ただ、この勢いで続くのかと言うと、ことはそんなに単純ではないだろう。順に見てくると、①米国の半導体銘柄の好決算については、多分に景気減速懸念から調整気味に動いていた反動で、利下げ期待も内包されており、好景気で利下げが遠のいている現状が続けば、今後の反動もあるだろう。②日本の半導体銘柄の上昇については、期待値は高いものの、分野別には玉石混淆で、米国の半導体ほど強い力を持っていない。更に言えば、日経平均先物のショートカバーによる上積みでの上昇も一因と考える。③日銀副総裁の発言は、バイアスなしに普通に見れば、総裁発言とほぼ同じで、緩和のところだけが伝わったことで、昨日のような動きになったものと思われる。昨日の内容であえて言えば、日銀の政策修正ならばETF購入停止の方が株式市場にとっては大きなニュースと言えるだろう。このような考察から、早晩ある程度の揺り戻しはあると考える。


それでは、今後どういったスタンスで見ていくべきかということであるが、日銀の政策については、物価上昇率の低下で修正しづらくなっているのは事実、ただ、政治的には実施もあるだろう。しかし、国内景気から見ると継続は難しい、米国景気の強さを見る限り、日米金利差が持続的に縮小していくことは考えにくく、そういった意味ではベースは円安と考える。結果、引き続き、グロース株を中心にポジションを取りたいところ。ただ、足下の揺り戻しや反動の動きは出やすい局面と言え、リスクの視点は益々重要になるだろう。動きやすいポジションを持ちつつ、素早い判断が重要になると考える。尚、余談であるが、トヨタの売り推奨がゼロになったとのニュースがあったが、売り推奨がなくなったということは、裏を返せば、みんな持っているということ。あくまでも私個人としては、利益確定をしたくなるニュースと言える。