東京市場は7営業日ぶりの下落となった。利益確定売りという表現が使われているが、明確な利益確定売りというよりは、このレベルになると本質的な買い手は少ないとみる。NYダウは小幅下落したものの、ドルはこのところの高値を更新しており、足下の相場から見ると、利益確定売りはあるにせよ思ったよりも弱い。更に、寄り付き直後を除けば前日比プラス圏になることもないといった状況を見ても、巷で材料視されているNISAや企業業績、東証のPBR1倍割れが本当に買いの動機づけであるとすれば、いささか違和感があるといえる。もちろん、強い相場とは言え、上昇し続けるわけではないが、それにしても、初押し場面での動きとしては物足りない印象を受ける。今回の上昇は、前述したような思惑はあるにせよ、オプション等も含めたショートカバーによる先物買いが相場を加速させている印象が強い。そういった意味においては、これから先も、日経平均の1000円刻みの価格を一気につける場面があれば、加速する可能性はあると考える。


ここで、相場の中心とも言える米国株について見てみると、相変わらずで、インフレと景気に関する見通しが交錯している印象である。先日発表されたCPIとPPIを見ても、CPIは予想を上回り、PPIは予想を下回るといった内容で、金利の方向について予想の自由度がより高くなったとも言える。双方が最もらしい理由で相場予想をする状況が続きそうである。私も最もらしい理由を考えるてみると、PPIの方が川上であることから、PPIの下落はCPIの下落に繋がるのが筋であり、早期利下げ主張派の言い分である。ただ、ここまで、金融当局が雇用や賃金等を注視していたことから考えると、PPIの下落が早期に利下げに繋がるとは考えにくい。前スイス国立銀行総裁のヒルデブラント氏の言葉を借りれば、「粘着性のインフレが市場の利下げ期待を裏切る恐れがある」で、「経済が弱くなることは間違いないが、特に米国において、中銀は現在織り込まれているほどには金融緩和の余地がないことに気づくだろう」という考え方を個人的には踏襲したい。


このような観点から、相場を見ると、強いドルは継続(加速度的な上昇はない)、企業業績は予想を下回るものが増えるが、半導体等需要が継続している業績は好調持続、指数の上昇は鎮静化するような前提に立ち、引き続き、ハイテク株の押し目を中心に対応したいところ。