一日だけもらえた夏休み。
つっても元から土曜日は半ドンで、午前中の仕事を交代してもらっただけだし、この夏休みのど真ん中の、しかも土曜日に休めたところで、どこに行っても混んでるだろうし遠出もしにくいのであまりありがたくもない。
したがって、いつものように映画館に入り浸る以外出来なかったりするのである。
ということで、まず天王寺アポロシネマで桐島、部活やめるってよを観る。
タイトル通り、とある高校を舞台に、桐島という生徒が部活をやめるという事態を巡って、周囲の生徒たちに波紋が広がっていく。
桐島の恋人とその女友達。
先生から押しつけられた脚本を嫌って自分たちでゾンビ映画を撮り始める映画部員たち。
いつも桐島とつるんでいた帰宅部員三人組。
その中の一人に恋をしていて、自分の姿を見てもらうためにいつも独りで学校の屋上で練習している吹奏楽部の部長。
エースの桐島が抜けたことで混乱する男子バレー部員たち。
とにかくユニークなのが、肝腎要の桐島がまったく物語に顔を出さずラスト近くでちらりと映っているだけ、あくまで周囲の生徒たちの物語だけで映画が展開していくことで、しかもそれぞれの生徒たちの人間模様を、同じ金曜日を時間軸をずらせながら何度もリピートすることで立体的に浮かび上がらせていることこれは原作にない、映画のオリジナルだとのこと。
脚本の構成が実に巧く、十数名の生徒が複雑にからむ内容だというのにまったく煩雑さや難解さを感じさせず、それでいて、それぞれの生徒にきちんと感情移入できるようにドラマが形作られている。
それぞれの物語が一気に収束するクライマックスの映画的なカタルシスは圧巻だしこれも映画のオリジナル、ラストの、どこかほろ苦く、それでいて心地よい後味を残す幕切れも素晴らしい。
若手の役者はそれぞれ持ち味を行かした好演。
吉田大八監督は、これまでもうひとつ最後の詰めが甘い監督というイメージがあったのだが、この作品では一皮むけた感があり、手堅く、しかし大窒ネ手腕で青春群像をさばいている。
近年屈指の青春映画の傑作です。
興味ある方はぜひ映画館でどうぞ。
映画の後、ラーメン極で昼飯。
前回はしょうゆラーメンだったので、今回はとんこつを頼む。
少ししつこい目だが、だからといって無駄に濃くもないスープでこちらも満足。
セットで頼んだチャーライ炒飯は、チーズトッピングが無料というのでつけてもらったが、これが上に乗った半熟状の炒り卵と絡んで何とも濃厚な味わい。
炒飯の味付け自体がラーメンにあわせてかあっさりしたものなので、よけいにその濃厚さがいい風味を醸し出している。
この店はまた通って、ほかのラーメンも試さねばなるまい。
天王寺周辺の古本屋をちょっと冷やかしてから地下鉄で九条に移動。
次の映画までしばらく時間があったので、喫茶店で時間つぶししていたら、外から激しい雷の音が響いてきた。
喫茶店の椅子があまり座り心地がよくなかったのと、まだ雨も降りだしていなかったので、だったら映画館のロビーでくつろいでいた方がいいかと移動したら、映画館に着いた直後に凄まじい土砂降りになってしまった。
おお、早めに移動しておいて正解だったなと、一安心してしばらくロビーの椅子で居眠りしたりしているうち、前の回の上映が終了して、次の回待ちの客がロビーに集まり始めたのだが、いつまで待っても次の回が開場になる気配がない。
整理券番号順の入場制なので、館員さんの指示がないのに勝手に入場するわけにもいかない。
ちらりと時計を見ると、もう次回の上映開始時間三分前くらいになっている。
何か変だなと思っていたら、不意に背後から次の回開場してまーすという館員さんの声がしてロビー内騒然となる。
前のおばさんがドアを開けたら館内には前方右側と後方二か所にドアがあり、普段は前方のドアから整理券番号順に入場するようになっている、たしかに数人ちらほら既に椅子に着いているではないか。
整理券はどうなったんだよと憮然としながら場内に入ったら、もっと驚いたことに、館内の、スクリーン向かって左側の床が水浸しになっていた。
どうやら先ほどの豪雨で、館内の左後方にある非常口扉から水がなだれ込んでしまったらしい。
でもってひとまず客が中に入って席に着いてからも、館員さんがモップで床の水を拭ったり、水浸しの通路や床に新聞紙を広げたりで、結局上映開始が十分ぐらいずれこんでしまった。
まあ、このどさくさで、整理券番号二十一の私はちゃっかり良席を確保することが出来まし盗撮掲示板サイトShutterたが笑ともあれ、シネヌーヴォのいつもの木下惠介監督特集で二本。
まず風前の灯一九五七ファンの間では木下映画の裏ベスト1と呼ばれているらしい怪作。
食い詰めた若者三人組が、郊外の一軒家に金を貯めこんでいると評判のドケチ婆あの家に強盗に入らんとする。
しかしその家では、畳屋は来るわ、辞めたお手伝いさんの引っ越しのためのリアカーは来るわ、婆さんの世話をしている息子夫婦の出入りはあるわ、息子夫婦が当てた懸賞目当てに他の身内が押し掛けるわで、まったく押し入る余裕がなくて。
木下監督にしては珍しいドタバタ性の強いシニカルなコメディーで観ていて川島雄三監督の貸間ありを連想したが、この映画の方が制作年度が早い、業つくばりの婆さん田村秋子のあくの強さと、それにうんざりしている息子夫婦高峰秀子、佐田啓二のやり取りが猛烈に可笑しい。
さらには婆さんが映画を観に行こうとして新聞を見ながらなんとか山節考つまんなさそうな映画だねえとつぶやいたり、新しい下宿人の若者が、息子夫婦の前で喜びも悲しみも幾年月を歌ったりという物凄い楽屋落ちが挟まっていたりするさすがに解っている客ばっかりで、館内大爆笑。
内容そのものは軽いんだけど、ちょっとした掘り出しもの的な一品。
さすが裏ベスト1と言われているだけのことはある珍品でありました。
続いて新喜びも悲しみも幾年月一九八六かの名作喜びも悲しみも幾年月一九五七から約三十年の間をおいて、木下監督が撮り上げた別の燈台守一家の年代記。
この作品では昭和四十八年から昭和六十一年にかけての燈台守夫婦加藤剛、大原麗子と、その父親植木等の物語が描かれていく。
旧作と比べると、背後に戦争のような大きな世界情勢のないこの作品は深みが感じられず、各地の灯台を巡る映像も観光地紹介ビデオみたいであっさり流れてしまっている。
紺野美沙子のちょっとエキセントリックなキャラや、それぞれの会話がリアリティーに欠けるなど、どうにも面白みが感じられない。
木下監督の感性が時代と合わなくなってきた時期の作品だなあ、という印象を受ける。
まあ、旧作で主演だった佐田啓二の息子中井貴一が脇役で顔を出しているのと、植木等が息子夫婦の灯台仲間に喜びも悲しみも幾年月って映画ありましたなあなんて会話を交わしたりしているのがご愛嬌といったところ。
植木等の演技は素晴らしかったですがこの映画でこの年の助演男優賞を独占した。
帰宅してからくろまるにセロリの葉っぱを与えたがあまり食べてくれない。
最近、どんどん食べ物の好き嫌いが激しくなっている印象を受けるなあ。
ピーマンだけは今でも大喜びで食べるというのに。
それとも夏場なので、野菜の水気の少ない部分はあまり食べたくないのだろうか。
テレビつけたらほんとにあった怖い話夏の特別編なんてやっていたのでなんとなく見てしまう。
オウム事件などの影響で最近は心霊番組をテレビでやってくれなくなったが、ドラマなら構わないってことなのか。
でもあんまり怖くなくて、ホラー映画好きと怪談マニアには物足りないぞ。
