僕には、何でも話せて何でも相談できて、一緒に酒を飲み交わせる人がただ一人居る。
いや、居た。
その人と知り合って15年以上経つのだが、6月、その人が亡くなったとの報せがあった。
昨年の末にその人が体調を崩し病院に行ったところ、癌と診断を受けたとの話を本人から聞いた。
それは、一緒に酒を飲んだ数か月後のことだった。
それまでは普通に元気にしていたので、僕は当然信じられなかったが、「一日も早く治して、また必ず飲みましょう」と伝えた。
少しでも早く治ってもらえるよう、お守りも送った。
今年に入ってからも何度か連絡をし、そのたびに「元気だよ」と言ってくれた。
僕がハーフマラソン大会で完走したことも喜んでくれた。
配信がとても楽しいという話にも笑ってくれた。
基本的にリアルの知人にこのような話はしないのだが、その人には話すことが出来た。
もっと遡ると10年ほど前の話、僕が仕事を失い、働き口を探していたが中々見つからず、貯金も底を尽きかけ疲弊していた時に、僕の話を聞いてくれ親身に接してくれた。
それだけで心が救われた。
今の僕があるのは、そこでどうにか前を向いてこれたからだ。
それが無ければ、きっと今、僕はこの世に居なかったと思う。
その人と知り合ったきっかけは、まだ僕が若いころにバイト先で知り合ったのがきっかけだ。
その時はただのバイトとパートの関係だった。
そう、その人はパートの女性の方で、家庭も持っており、旦那さんも子供もいる。
誤解が無いように言っておくが、いわゆる“変な関係”では無い。
だが、その人は僕より一回り以上年上だし、性格も全然違うのに、何故か馬が合った。
そもそも、仕事上で会う人はあくまでも“仕事の人”であり、それ以上の関係になることは無いと僕は思っていた。
それは今もそう思っているのだが、その人は違った。
そこで少しずつ話をするようになり、仕事の愚痴も言い合ったり、笑い話が出来るようにもなっていったのだが、ある時その人がそこを辞めると聞いた。
その時に、僕は咄嗟に「じゃあ送別会をしよう」と言って、飲みの席を用意した。
それは、そこでたくさんお世話になったことに対しての恩返しのつもりだったのだが、その人はその時のことをずっと恩に感じていたらしく、一緒に飲んだ時によくその時の話をしてくれた。
その人がそこを辞めてしばらくして自分もそこを辞めた。
それから自分も色々とあり先ほどの話に繋がるのだが、その時に本当に親身になってくれた。
それからはその人の家でも飲むようになり、そこで旦那さんや子供たちとも一緒にお喋りさせてもらったり、飼ってる猫ちゃんを撫でさせてもらったり、家族ぐるみで仲良くさせていただいた。
ある時にその人がふと言った。
「うちらってなんでこんなに仲いいんだろう?」
自分はその答えが分からなかった。確かになんでなのか…?
そしたらその人は「“心友”なんじゃないか?」と言った。
それは一般的な“親友”ではなく、“心の友と書いての心友”とのことだ。
“心友”を調べてみると、「「心友(しんゆう)」とは、単に仲が良いだけでなく、心から理解し合い、お互いを深く信頼し合っている友人」と出てくる。
――そうかもしれない。
それは、当然これまでの付き合いで馬が合ったことも関係していると思うが、やはり、しんどかった時に親身になってくれたことがとても大きく、僕もそれは本当に恩を感じているから。
思えば、僕は人をこんなにも信用したことが無かった。
そもそも僕は人をあまり信用しないし、それが仕事の人であれば尚更だ。
だけどその人だけは違った。
そんな人、僕の人生においてきっとたった一人しかいないだろう。
最後にその人と会ったのは昨年のこと。
うちの社長からタケノコをいただいたのだが、僕はそれを調理することが出来ないので、「このタケノコいります?」と写真付きで連絡し、家まで渡しに行った。
その時にも一緒に飲みながら色々と喋ったのだが、それがその人との最後の飲みになるなんて考えもしなかった。
訃報を受けた翌月、弔問に伺い旦那さんと色々お話しした。
僕が送ったお守りをずっと持っていてくれて、またみんなで一緒に飲めることを願って、最後の最後まで頑張って闘病を続けていたとのこと。
そして、旦那さんは僕に「ママの飲み相手してくれてありがとう」と言ってくれた。
感謝するのは僕の方で、こちらこそ本当にお世話になりましたと伝えた。
僕はその人と会うといつも素になれたし、仕事のこと、生活のこと、趣味のこと、、、何でも話せた。
それは本当に他愛ない話なのだが、その度にいつも笑ってくれた。
今、脳裏に浮かぶのはその人の笑っていた顔で、天国に旅立ちしばらく経った今も気持ちの整理がついていない。
それでも僕は生きていくという使命がある。
それは、僕がダメになりそうな時、その人が親身になってくれたから。
その時の恩をずっと感じて、ずっと感謝しているから。
何より、今の自分があるのは、その人のおかげだから。
僕ももう人生の折り返し地点に立ち、これからこのような場面を迎えることも増えてくるだろう。
それが、お世話になった方であればあるほど、辛く寂しい気持ちに苛まれるのだろう。
でも、僕にはただ一つ、心から好きだと思えるものと出会えた。
それを続けることが、僕にとって何よりの生きている証だと思う。
あの人はそれを笑って喜んでくれたから。
重い話になってしまったかもしれないが、自分の気持ちに少しでも整理をつけるために、この場をお借りして書き留めておきたいと思った。
最近、配信内でよく「お身体には十分気をつけてください」と言う。
昨今、自分が影響を受けたり、お世話になった方たちの訃報が増えてきたからだ。
これは当然配信関連にも言えることで、配信でお世話になった方々が旅立ち、もうその人の配信が見れなくなったり、イベントで会えなくなってしまうのは本当に辛く寂しい。
人はみんな必ずいつか旅立つが、折角見つけたこの現実逃避できる唯一無二の場所で出会えたのだから、出来るのなら、一緒にその同じ楽しみを共有できる時間が長く続いてほしいと思う。
だから、お身体には十分気をつけて…
心友へ。
ちょっと早いですよ…
まだまだこちらで一緒に飲みたかったし、まだまだ色々とおしゃべりしたかった。
でも、今まで本当にありがとうございました。
ゆっくり休んで、先に往った猫ちゃんと一緒に、これからも温かく見守っていてください。
そして、いつか自分が向こうに行った時、また必ず飲みましょう。
それじゃあ、また。







































