次の日、
今度は美穂からメールが来た。
『少し話したいことが
あるんだけど
今から大丈夫?』
今度は直接会って話す。
上手く言えるだろうか。
僕はすぐに支度をし、
待ち合わせ場所の
公園へと向かった。
そこにはすでに
美穂が待っていた。
美穂の隣には亮輔がいない。
僕はそのことに少し驚いた。
美穂は言う。
「急にごめんね
あのさ…明日暇?」
どうやら要件は
祭りのことではないみたいだ
僕は少しホッとした。
「どうして?」
「トロミーランドの
チケットがあるんだけど
一緒にどうかな?と思って」
トロミーランドは近くにある
遊園地だ。
「亮輔は?」
来ると知ってて聞いた
亮輔が来ないのに
美穂が僕を誘うわけがない。
でも、美穂の言葉は
意外なものだった。
「ん?来ないけど」
どういうことだ?
一瞬わけが
わからなくなった。が
すぐに答えを見つけた。
以前、亮輔のことが好きな
女の子に亮輔のことを
聞かれたことがあった。
美穂はその子と一緒のことを
しているんだ。
男友達の僕にしか
話ていないような秘密を
僕から聞き出そうと
しているんだ。
そう考えると
僕は勝手に美穂に失望した。
「どうして僕なの?
他の人と行ったら?」
小声で言ったつもりだった。
でも、美穂には
しっかり届いていた。
「参斗じゃなきゃダメなの」
やっぱりそうだ。
美穂の発言に先ほどの推理に
確信を持てた。
そして、腹がたった。
美穂にじゃない
自分にだ。
自分の情けなさにだ。
好きな人に
その好きな人との関係を
さらに良くするため
アドバイスを
しなくちゃいけない。
こんなに悲しいことはないよ。
僕は遠回しに断ることにした。
「でも、僕高い所苦手だろ?
美穂1人で乗らないと
行けないじゃん」
「大丈夫だよ
参斗が乗らないなら
私も乗らないから」
美穂は何だか嬉しそうだった。
「やっぱり他の人といったら?」
「参斗一緒に行こうよ」
どんなに断っても
美穂は諦めそうになかった。
僕はまた腹がたった。
今度も美穂に対してじゃなく
自分にだ。
美穂に協力しない
ちっぽけな自分のプライドにだ
しまいに僕は
美穂に八つ当たりをしてしまう
「本当なんなの?
他と行けって行ってんだろ!!」
僕は美穂に怒鳴り付けた。
「え?どうしたの参斗…」
美穂はこわがっていた。
けど、僕はやめなかった。
「前から思ってたけど
本当迷惑なんだよね
いちいち僕なんか
誘わないで2人で
行ったらいいじゃん
そっちの方が楽しいんだろ!!!
それに僕もさ!!!!
お前のことなんて
全く興味ないんだからよ!!」
これは、いつも自分に
言い聞かせてきた言葉だった。
美穂に興味はない
そうやって何度も
諦めようとした。
そしてこの時
僕は美穂に対して初めて
“お前”と言った。
いや、言ってしまった。
強く言い過ぎたせいか
美穂は涙を見せた。
「どうして?
どうしてそんなこというの?」
涙を流し
肩を震わせながら言う美穂。
普通ならここで
やめるのだろうか?
でも僕はこんな美穂にも
“攻撃”を続けた。
「うるさい!!!!
なんで泣いてんの?
もしかして嘘泣き?
それとも本気?
本気だったらそんな弱虫
アイドルになれないよ」
もはや美穂には
言葉を返すことすら
できなかった。
僕は逃げるように美穂に
背を向け歩き出した。
そこで僕はすぐに後悔した
その場ですぐ謝れば
良かったのだろうか?
でも僕には
謝る勇気すらなかった。
でもこれで良かったんだ。
僕がいたら2人は
僕に気を使う
僕が悪役になれば
いくら優しい美穂も
気を使わなくなるだろう。
美穂のためなんだ。
そうやって自分の罪を
正当化しようとした。
美穂のためなんて
これっぽっちも
考えていなかった。
僕はただ八つ当たりを
しただけなんだ。
丸腰の美穂に僕は突然
剣先を向けたんだ。
もうこれで僕らの仲も
おしまいだ。
そう考えると
急に涙が出てきた。
その瞬間雨も降ってきた。
大粒の雨が僕の涙を隠した。
今からでも
間に合うかもしれない。
そう考え、僕は
美穂の方を振り向いた。
美穂はその場で
しゃがみながら泣いていた。
雨は美穂の涙を隠すことは
できなかった。
その姿を見て
もう戻れないことに気付いた。
美穂のその姿は
とても寂しそうだった。