経営者保証ガイドラインの利用法で、中小企業再生支援協議会の「独立型」というタイプのものがあります。企業と個人(連帯保証人)の債務を同時に整理するのが一体型、それに対し、保証人のみ
中小企業再生支援協議会の経営者保証ガイドラインの対応については平成27年4月、「中小企業再生支援協議会等の支援による経営者保証に関するガイドラインに基づく保証債務の整理手順」が定められました。(「整理手順」PDF)
「法人個人の一体処理」では、法人を再生させるのか、清算するのか、そのあと経営者個人の連帯保証はどうするのか、を中小企業再生支援協議会の枠の中で話し合っていきます。
中小企業再生支援協議会での合意は、経営者保証ガイドラインに定める、準則型私的整理手続に該当します。金融機関からすれば以前から再生案件でよく利用している中小企業再生支援協議会で話をした結果であれば、結論を受け入れやすいでしょう。
さて、独立型とは、法人の処理とは切り離して、個人の連帯保証のみを対象に中小企業再生支援協議会で話し合う手法です。
手順としては、
①中小企業再生支援協議会の窓口相談(一次対応)
②弁済計画作成支援と二次対応の開始
③弁済計画案と保証人による表明保証、支援専門家による確認 (過去記事⇒「表明保証とは?」2014.12.5
④調査報告書提出
⑤債権者会議…対象債権者全員の同意により、合意成立、そうでなければ不成立
独立型の留意点として、通常、経営者保証ガイドラインに基づく処置であれば経営者の早期の判断により回収見込み額の増加額(インセンティブと呼びます)を上限として手元における資産の額を増やすことができますが、独立型の場合は原則それはできず、破産法上の自由財産(現金99万円)が上限となります。
独立型においては、本体の事業の処理が終わっているかある程度進んだ状態で利用することが想定されます。その場合、金融検査など債権者としては、保証人からの回収を予定しながら本体の処理を進める形となりますので、その後になって、
「残す資産を増やして」と言われても、
「見逃せません」「容認することはできません」と言うことになるからです。
(したがってインセンティブを上乗せして資産を残したい、というときには一体型を選択せざるを得ない、ということになります)
では、残せるものが個人破産と同じとすればのみ利用型を使うメリットは?
そのまま、「破産手続きをしなくてもよい」ということになろうかと思います。
残余財産99万円を残す、ということは自宅を含め、その他の試算は基本的に処分する、ということになります。
「がんばれ経営者!ひとりでもできる事業再生・経営改善ノウハウ」
「できる、できるよ。必ずできる!」