従来「当たり前」だったものがどんどん変化しています。

 

 この記事のひとつ前、「あらゆるノウハウが急速に普及している」での書きましたが、いままで価格が高く、中小零細企業には手が届かなかったサービスが安く、早く、利用できるようになってきています。

 

 その典型が会計です。

 

 経営改善のご相談を受ける中で、経営者からよく「会計事務所への恨み節」を聞ききます。

 「遅い」「間違える」「その割に高い」。

 

 資金繰りや販売政策、コストカットなどの悩みを会計事務所にぶつけても「答えが返ってこない」。
 
 試算表を誰よりも先に見る立場なのにそれをもとにしたアドバイスがない。(コンサルタント目線から見ると本当にもったいない機会損失です)

 

 私は、中小企業が苦しむのはすべて会計事務所のせい、というつもりはありません。よく考えればこれにはからくりがあると思います。私が普段接するのは業績をテコ入れしたい会社がほとんどです。きちんとコンサルティングに近いレベルのお世話をしている会計事務所も多いはず。

 

 そう考えると、①そのような会計事務所がついている先の業績が悪くなる確率は低くなる。②逆に言うと、業績が悪い会社についている会計事務所は、「苦しいのでできるだけ安く」と要望され、最低限のサービス提供にとどまっているため行き届かない、と考えられます。

 

 もう少しきちんとした業績管理を行い、簡単なコンサルがあれば業績回復が望める会社が多いのです。

 

 キーは「クラウド会計」です。ここでは私自身、申告に使用しているMFクラウドに準拠してご説明します。

 

 クラウド会計は各種ありますが、共通項は、

 

  1. まずクラウド会計ソフトの利用開始。その日から使え、月額2-3千円です。お試し期間ということで数十日の無料試用期間がついています。また後述の補助アプリを使ってもさほどの負担にはなりません。(MFクラウドの場合、請求書発行が少し高めでプロプラン5,980円/月、さらに機能充実しているエンタープライズプラン19800円/月、になります。MF経費精算は一人500円/月額となります)
  2. すでに利用しているインターネットバンキングや経費精算用クレジットカードの使用履歴、必要なものを買っている通販サイトなどで使っているものをクラウド会計アプリに登録。
  3. すでに使っている会計ソフトがあるときには、仕訳データや残高などをクラウド会計ソフトに読み込ませ、過去データを取り込みます。これが前年同月比、同期比の元データや仕訳辞書の元になります。
  4. セットが終わったところで自動巡回ボタンを押す。預金やクレジットカードの出入りの情報を会計ソフトに直接読み込ませます。これで通帳を開きながら一本一本入力していく、という手間が消滅します。かつ金額まで自動読込しますので間違いのない記帳が実現します。
  5. 読み込んだデータのうち、「デンキダイ」と摘要がついていればAIの自動判定で「水道光熱費」に計上します。それを「承認」すればそのまま会計に計上されます。
  6. どんなものかわからないものは科目がブランクの状態で表示されます。それを見ながら、「地代家賃」「買掛金支払」など仕訳します。これがAIによって学習され、次回同じものがでてきたときには初回の処理を参考に科目を入れてくれます。
  7. ここまでで現金取引を極力減らし、クレジットカードや銀行送金を使えば記帳負担はぐっと楽になります。

 また、交通費やカードの使えないお店での清算など、どうしても現金支払となる場合には、クラウド会計のサブソフトの形で「経費精算支援アプリ」があります。例えば会計ソフトである「MFクラウド」に対して「MFクラウド経費」という補助アプリがあり、レシートを撮影して仕訳化して会計ソフトに送ります。乗った駅、降りた駅を入力すると交通費を計算してこれも仕訳にしてくれます。

 

 社員さんの多い会社さんだと、一人一人にこの経費精算アプリを使ってもらい、「使用申請」「上司の承認」という管理機能を利用することもできます。

 

 そのほか組み合わせ可能なものとしては、「請求書発行」「給与計算」などがあります。

  

 連携可能なデータとしては、金融機関、クレジットカード、通販サイト利用データ(楽天、Amazon、Yahoo、ASKULなど)、電子マネー(WAON、nanaco、交通系)のほか、エアレジ、楽天(出品者側の販売データ)が自動連携できます。

 

 一旦CSVデータに落とすことができれば、普通のレジのデータも手作業にはなりますが読み込ませることができます。
 
 ここまで組み上げることができれば、記帳の手間はほとんどかかりません。

 

 これをもとに業績の早期把握と会計コストカットが可能になると思います。

 

 これにはコンサルタントとして私にも大きなメリットがあります。コンサルタントフィーが高いのは私の場合、「分析に時間がかかるから」。これが毎月早く正確な会計がなされる、ということならコンサルタントフィーを大きく下げる余地が出てきます。 

 

 私が「クラウド会計の利用」をコンサルティング契約の条件とするのはここに理由があります。

 

 クラウド会計のもう一つのメリットは、操作が入りにくいところです。ほとんどが自動読込で記帳されてしまいますから。

 

 また、エアレジや楽天の販売データと連携することにより販売上の問題点も非常に見えやすくなります。

 

 ちなみにエアレジはアプリ自体は無料。タブレット、キャッシュボックス、レシートプリンタ、クレジットカードリーダーは装備しなければなりませんが10万円行くかどうか。

 

 小売業でしたら仕入データ、在庫データも管理できますので中小零細企業には非常に強い味方になります。しかも会計連動となると…

 

 従来数十万円かかっていたサーバー内のデータ保管もクラウド化で安くなっています。

 

 複合機も小規模事務所ではあまり必要ありません。

 

 これらのコストをまかなえず、不利な立場に立たされていた、中小零細企業に有利な時代になってきているのです。

 

 クラウド会計を利用したコンサルティングについてぜひ弊社までお問い合わせください。

 がんばれ経営者

 

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