信用不安の大きな理由は
アメリカという戦後経済を支えてきた
ドルを基軸とする世界システムが
もう破綻したことにある。

戦後経済体制は1944年のブレトンウッズ体制で
始まった。

ドルを基軸通貨としたIMF体制は
強い経済力をもつアメリカと圧倒的に多くの
「金(gold)」を持つアメリカによる支配体制でもあった

1国の通貨ではなく
どの国のものでもない客観的通貨を作ろうとする
現代で言うビットコインの先駆けであった
ケインズ案は葬り去られ
アメリカという国家の通貨を基準とした国際通貨システムができあがった。

それは、当時のアメリカの圧倒的軍事力と経済力から世界は奴隷化されたと言う絵面である。

人類と言う社会の歴史は
獲得した富を貨幣によって
どう維持し、発展させるかと言う「経済」で
悩んできた歴史といってよい。

資本主義の根幹こそ
この貨幣の探求なのだが
その貨幣となるものの価値が安定性を今失いつつある

乱世である。


結局
人類はビットコインは選ばず
歴史的な金や銀といった産出量が限られていて
世界中の誰もが認める金属を貨幣に戻る様相を
見せている。

あるものが貨幣となるには
5つの貨幣の機能を充足しなければならない。

①頭の中だけで存在し
現実的価値の実体を持たなくてもいい観念的貨幣
つまり計算の単位としての価値尺度機能

②流通を円滑にする流通手段としての機能

③現実に存在し価値を体現している実体的貨幣
すなわち価値を蓄蔵する蓄蔵貨幣としての機能

④国際決済において支払い手段として承認される機能

最後は⑤
誰もが認める世界貨幣としての機能だ。
これをすべて満たすものは、今の時代でもビットコインは排除されつつあり、やはり金や銀に戻ったと言える。

1971年、当時のアメリカのニクソン大統領が
ドルと金との兌換一時停止を宣言した
「ニクソンショック」までは、ドルは金とのリンクをもっていたことで、間接的であるが
この5つの機能を持つことができた。

世界中の誰もがドルを信頼し
いざというときにドルを金に変換すればいいので
安心してドルを使うことができた。 

そこには
常に米軍の銃口があってのことだったが
アメリカの衰退で、彼等の「世界の警察」が全世界をカバーする能力を衰えさせたことで奴隷(世界の)反乱が始まった解放戦争が世界を変えている。

ドルは信用貨幣であって一種の手形だった。

その意味でそれ自体に実体的価値を持っているのではない。米国銀行券である。

国家による信用の裏付けが価値なのである。

しかし金にない利点もあった。

それは金と違って経済成長に合わせて
どんどん米国が自由に発行できることで
米国の為だけに貨幣不足を避けることができるという特徴だ。

●ほころぶSWIFT体制
もちろん、金に価値の実体があるといっても
それはその産出に必要な労働の費用にすぎず
金を価値として認める人々の信用がなければ意味がない。

「猫に小判」という言葉にあるように
猫にとっては金であろうとドルであろうと
無価値である。

しかし
金はそれを生産する膨大なコストがかかることで
信用のみならず実際にも大きな価値を持っている点がドルのような通貨と異なっている。

世界人口はこの50年で大きく増大し
労働が価値があるとするなら
それも数倍に膨れ上がっている。

GOLDでは、そういう政治と経済は造れなかったが
仮想通貨ドルは「扶持を越えて産めよ増やせよ」ができたのだ。

だが・・・ 
それは市場の拡大が停止した時点でもブレーキを本来必要とする。  

お給料これくらいだから
子どもをx人産んでも大丈夫と言う制御もしなかった

奴隷が増えすぎたら戦争で殺せば良いと考えていたからだ。

だからこそ
絶大なる殺傷能力と生産力を持つことで信用を獲得したアメリカのドルが維持できた。 
 
石油と軍事を支配して、金に代替できる信用を勝ち得ることを維持してきた。

価値尺度として
流通手段として
蓄蔵貨幣として
支払い手段として
世界貨幣として

アメリカという体制が世界経済の中心で石油と軍事の采配がアメリカにある限り
あたかもドルは金のような役割を持つことができたのが、今までの80年だった。

しかし
国家というものは成長することもあれば
没落することもある。

アメリカ経済は、すでに世界経済を牛耳るレベルには全くない。

youtubeで原住民が撮影したローカルな街の様子を診れば、訪れたことがある人は、この数年で激しい崩壊が起きていることを観られるだろう。 

そして
その実態を暴露したのが、2022年から始まったロシアへの経済制裁のつまずきである。

アメリカはドルによる決済体制
「SWIFT」を持つことで
すべての国の貿易にドルの使用を義務づけることができていた。

だからこそ
この支払い体制からある国がはじかれると
その国は国際貿易決済が不可能となり
経済が立ちいかなくなる。

アメリカはヘゲモニー(覇権)国家として
この方法を中露やアラブや弱小国に多用してきた。

しかし
何度もその制裁の対象になったロシアや中国などが
このやり方にいつまでも我慢し続けるわけでは無い

2000年頃から
中露はどうひっくり返すか考え始めた。 

ウクライナ戦争に対するロシアへの制裁が功を奏さなかったのは、それは彼らが想定内であって
制裁慣れしたロシアがその抜け道をすでに見つけ構築していたことにある。 

ビジネスも戦争も同じで
始まる前に、ことは勝敗がついている。

もうずいぶん前から
ロシアや中国などは金の備蓄を始め
自国通貨の価値の安定を図り始めていた。

そして
ドルによる多国間決済制度に代わるものとして
2国間決済制度を導入し
国際貿易を構築・維持することに成功した。

そしてBRICSという新興国の経済グループの制度を拡大し、中国の元を中心とした新しい多国間決済制度を模索し始めた。

もちろん
その先には人民元でもない、ビットコインの進化形となる新しいデジタル通貨というものも構想されている

かつて社会主義体制では「振替ルーブル」という決済制度があった。

この制度は社会主義国で、相互の互恵貿易を前提にしていて1国が豊かになることを避ける決済制度であり
帳簿上でお互いが黒字、赤字にならないように調節するメカニズムであった。

ただ
この振替ルーブルは、アメリカ支配のIMF体制のドル操作によって世界貨幣としての流通性を無効にされ崩壊してしまった。

西側に組する日本では見え難いが
ロシアや中国が元もしくはルーブルなどにより
新たな世界貨幣としての制度が完成した。

こうなるとドルの世界貨幣としての流通性は西側内部と言う局所に限定された。

とりわけ、エネルギー資源や原料の多くがBRICSに賛同する諸国に抑えられたことで、ドルによる資源や原料の購入ができなくなったのだ。

ペトロダラーという言葉は
アメリカが自国で刷った通貨で、石油資源を安く叩いて買うという制度であった。

それが機能しなくなった。 

それが
あなたの家の電気代ガス代に見える数字の状態である

もっといえば
すでに金融やサービスに特化している西側諸国は
農作物や工業製品をBRICSの諸国に大きく依存している。

アメリカは財政赤字と貿易赤字を抱えながら
どんどんドルを乱発し
これらの諸国から製品を買っていたのだが
もうそれができなくなったのだ。

こうして起こった現象が
世界貨幣であったドルの価値低下である。

流通領域が狭まり
価値ある通貨として認められなくなれば
ドルは売られ(東側経済の)金に代わっていく。

アメリカの国債を売っている中国などの国は
国債を売って得たドルを、金へ交換することで
ますますドルの価値は低下している。 

これは経済戦争であって、価値を失うのは爆弾戦争でいう領土を失うのと同等である。

では
なぜ金を求めるのかといえば
金には、とてつもない魅力があるためだ。

それは
金の生産は容易ではなく大量に生産できないこと
また腐敗することもなく、また細かく分割することもできることで、これまでの産出した金が価値を失わず残っていることだ。

18世紀イタリアの経済学者フェルディナンド・ガリアーニは『貨幣論』の中で、金を「神の授けもの」といっているが、まさに人間が人工的に作れないという点で、その名にふさわしいといえる。

もちろん今後も、金が通貨として流通することは
もはやないだろう。

すでに、1オンス(約28.35グラム)=2000ドル以上という時代を迎え、金は稀少であり、通貨として流通する可能性はない。

しかし金が
ある通貨の準備金になる可能性は十分ある。

だから
今多くの国が準備金としての金を追い求めているのだ

「世界市場はただひとつの富である貨幣を求めて叫ぶ」

今回のアメリカの銀行システムの危機は
IMF体制の危機問題と関係している。

マルクスは、恐慌が起こったときに多くの者が「金」を求めることをこう述べている。

「鹿が水辺を求めて鳴くように、世界市場はただひとつの富である貨幣を求めて叫ぶ」

確かに
今回の銀行破綻で求められているのはドルであり、金ではない。

しかし
ドルが国際通貨として不安定であることがインフレを招き、そのインフレが利上げを呼び、その利上げが資金ショートと預金引き出しを導き出したのだとすれば、問題は簡単ではない。 

そして
東側(中露)は、西側経済を潰すのではなく
今までの搾取分を取り戻す為の策を70年練り続けてきた。

現在の戦況を観る限り、その罠に嵌って、もう終わってるのが米英と言ってよいだろう。

インフレを避けるためにドルを強くすべく利上げをすれば、資金需要は高まり、銀行預金のショートは加速される。

しかし利下げをすれば今度はインフレが加速し、早く通貨を使おうと銀行の預金ショートは進む。

まさに王手飛車取り
詰んでるトレードオフの関係で
それはまだ銀行は破綻していないが日銀も同じだ。

 (破綻させた方がソフトランディング・ダメージコントロールかも知れないが、統一問題で政治も揺らいでいるので、国家が消滅しかねないから、そこも詰んでる)


アメリカが今の危機を乗り越えるには
経済制裁を解除し、ドルから離れていった国々を元のドル決済の国に戻すしかない。

とはいえ、アジアやアフリカ、ラテンアメリカ諸国には、これまでの強いドルで何度も痛めつけられ経済破綻をした国々が多く、ドルへの不信は大きい。

スリランカを指さして中国の経済的搾取だと言う人々は、やってきた側だから知ってて言えるだけだ。 
諸国がアメリカの傘下に復帰することはありえない。 

もはやG7による世界経済支配の体制は終わっている。

そして
東側と西側の為替チャートを見ても実は
そこには真実は無い。

既に金(GOLD)の弱点を補う暗号通貨や新しい経済体制が機会を待っているからだ。

人類はずっと生存競争を繰り広げてきた。
東側(中露)が勝つとは限らない。
だが、世界は西側(米英)を見限っており
これから下剋上・解放運動が、どう始まるのかは時代の節目として、将来語り継がれるだろう。 

それを観られるし当事者としてプレイできるのは面白いですよね。  

さて、日本と言う駒を私達はどう動かすか。
あなたは、どうしたいですか?