管理会計をビジネスシナリオで活用する方法 | キャリアアップ管理会計ラボ|びーすけ

キャリアアップ管理会計ラボ|びーすけ

キャリアチェンジや管理会計の基礎から応用までを学ぶための実験室

こんにちは、キャリアアップ管理会計ラボへようこそ!

所長のびーすけです。

 

前回のブログでは、管理会計の基本的な用語と概念について解説しました。

今回は、これらの概念を実際のビジネスシナリオでどのように活用するか、

具体的な数字例を交えながら説明していきます。


ビジネスシナリオでの活用方法
 

1. コスト管理

 

<シナリオ>

 

あなたの会社は新しい製品ラインを導入しようとしています。

この製品の生産コストを管理するためには、固定費と変動費の把握が重要です。

<活用方法>
固定費:新しい製品ラインのために新しい機械を購入する場合、その機械の減価償却費が月額10万円、工場の賃貸料が月額20万円かかります。これらは、生産量に関わらず一定です。


変動費:製品の原材料費が1ユニットあたり500円、直接労務費が1ユニットあたり300円です。

生産量が増えると、これらの費用も増加します。


例えば、月に1000ユニット生産する場合の総コストは次のようになります。

  • 総固定費:10万円(機械の減価償却費)+20万円(工場の賃貸料)=30万円
  • 総変動費:1000ユニット × (500円+300円)=80万円

したがって、総コストは30万円+80万円=110万円となります。


2. 原価計算

<シナリオ>


製造業の企業で、特定の製品の生産コストを管理する必要があります。

標準原価と実際原価を比較することで、コスト管理の効率を高めます。

<活用方法>


標準原価:過去のデータを基に、1ユニットあたりの標準的な原材料費を500円、標準的な直接労務費を300円と設定します。
実際原価:実際の生産過程で発生した原材料費が550円、直接労務費が320円の場合。
1000ユニット生産した場合の標準原価と実際原価を比較します。

標準原価:1000ユニット × (500円+300円)=80万円
実際原価:1000ユニット × (550円+320円)=87万円
 

差異分析により、実際原価が標準原価より7万円高くなっていることがわかります。

この差異を分析し、どの部分で効率を改善できるかを特定します。


3. 予算編成と管理

<シナリオ>


来年度の経営計画を立てるために、各部門の予算を編成します。

予算と実績を比較することで、経営戦略を見直すことができます。

<活用方法>


予算:マーケティング部門の年間予算として、広告費を200万円、プロモーション費用を100万円と設定します。
予実管理:年度末に実際の支出を集計したところ、広告費が220万円、プロモーション費用が90万円だった場合。
予算と実績を比較します。

広告費の差異:220万円(実績)-200万円(予算)=20万円(オーバー)
プロモーション費用の差異:90万円(実績)-100万円(予算)=-10万円(アンダー)


予実管理を行うことで、広告費が予算をオーバーしている原因を分析し、次年度の予算編成に反映させることができます。


4. 損益分岐点分析

<シナリオ>
新しいプロジェクトを立ち上げる際に、最低限どれだけの売上を達成すれば利益が出るかを知る必要があります。

<活用方法>


損益分岐点:固定費が50万円、単位あたりの変動費が2,000円、販売価格が3,000円の場合、損益分岐点を計算します。


損益分岐点(単位)=固定費 ÷ (販売価格-変動費)
損益分岐点(単位)=50万円 ÷ (3,000円-2,000円)=500ユニット

損益分岐点を知ることで、少なくとも500ユニットの売上が必要であることがわかります。

これにより、売上目標の設定が明確になります。


5. CVP分析(コスト・ボリューム・プロフィット分析)

<シナリオ>
季節によって売上が大きく変動するビジネスを運営している場合、売上量の変動が利益に与える影響を理解する必要があります。

<活用方法>
 

CVP分析:固定費が30万円、単位あたりの変動費が1,000円、販売価格が2,000円の場合、異なる売上量での利益を分析します。
 

例えば、以下の売上量に対する利益を計算します。

売上量:200ユニット

  • 売上:200ユニット × 2,000円=40万円
  • 変動費:200ユニット × 1,000円=20万円
  • 総費用:30万円(固定費)+20万円(変動費)=50万円
  • 利益:40万円-50万円=-10万円(損失)

 

売上量:500ユニット

  • 売上:500ユニット × 2,000円=100万円
  • 変動費:500ユニット × 1,000円=50万円
  • 総費用:30万円(固定費)+50万円(変動費)=80万円
  • 利益:100万円-80万円=20万円


CVP分析を通じて、売上量の変動に対する利益の変化を理解し、売上目標やコスト管理に役立てることができます。


管理会計の基本的な用語と概念を理解することは、実際のビジネスシナリオで効果的に活用するための第一歩です。

今回紹介した具体例を参考に、自分のビジネスや職務にどのように応用できるかを考えてみてください。

管理会計のスキルを身につけることで、より戦略的な意思決定が可能となり、キャリアアップや新しいキャリアへの挑戦にも大いに役立つことでしょう。


何かご質問があればコメント欄にお願いします。
 

キャリアアップ管理会計ラボ
びーすけ