これでこの狭い部屋も、ちょっとは春っぽくなるかな?

商店街の小さなお花屋さんでもらってきた。

「今日は一周年記念なので、切花をプレゼントしてるんです。
無料ですので、どうぞ!」

アルバイトの可愛い女の子がにっこり笑って差し出してくれた。

高校生くらいかな?

その笑顔が素敵だったので、
家に花瓶が無いな、と思いながら、
「ありがとう」ともらってきたのだ。

この間、恋人のシンと空けたハーフワインの空瓶に水道水を入れて、
夕日の差し込む窓際に置いた。

まだ夕食までに時間があるので、淹れたてのコーヒーを飲みながら、
レシピ本を開いた。

ゆったりした時間を遮るように、
携帯電話が鳴った。

あ、シンだ。

恋人の着信音だけ変えているので、
すぐ分かった。
これはメールだ。

まだバイトのはずだけど・・、
早く終わったのかな?

たまにそういう事があるので、
特に気にはならなかった。

じゃぁ、早くご飯作り始めなきゃなぁ。

そんなことを考えながら、携帯を開いた。





持っていたコーヒーカップが床に落ちた。

パステルカラーのカーペットは、
ゆっくりとブラックコーヒーに染まっていった。