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ロシア・CIS・チェチェン

おいプーチン、チェチェンから撤退しろ!今ならまだ間に合うぜ by アンドレイ・バビーツキ

私は労働運動家なので、例えば、交渉決裂=>争議権行使=>公的機関へ提訴=>再度決裂=>再争議、などを繰り返した経験が何度もあります。当然、争議権行使は合法的な範囲ですが、圧力で交渉を有利に運ぶ感覚は、私も理解できます。が、私たちの場合、あくまで「早期」解決をめざします。ずれにせよ、「交渉」解決の方法を、知らない人が多すぎます。この戦争の場合、例えば、停戦=>国際機関の介入=>東部2州・クリミヤでの住民投票、という解決策など考えられます。たしかに、「ミンスク合意2」では「高度な自治」で妥結した筈なのに、メルケル・オランド・ゼレンスキーは、「ウクライナ軍増強の時間稼ぎで<合意>しただけ」と、今や居直っています。こうした深刻な国際法違反は、相当な圧力をかけないと糺せないかもしれませんが、ここは国際社会が頑張るしかありません。

また戦争の場合、合法的なものは現在、①自衛戦争、②国連で認められた戦争、だけです。ロシア・ウクライナ戦争の場合、ロシアによる集団的自衛権の行使、要するに、自衛戦争という手続きを取っています。実際、8年間苦しみ続けてきたドンバスの親ロ派住民からすれば、やっとロシア軍が助けに来てくれた、という話なのです。「ロシア人殲滅の指令塔」キエフへの攻撃を含めてです。これは、かつてアメリカが、南ベトナムの要請で、戦争に介入したパターンと同じです。したがって、「国際法違反の侵略戦争」と断じる前に、冷戦終焉後もアメリカのイラク攻撃やNATOのユーゴ空爆があったにもかからわず、「国際法」の隙を埋める努力を、国際社会がしてこなかったという大問題が存在します。

NATOの東方不拡大に関しては、西側は「東西ドイツ統合を交渉した際に述べたが、それは条約ではなく口約束だった」と居直っています。しかし私は、これを正しい態度だとは思いません。国際社会の秩序も、信頼関係のベースの上に、利害調整がなされ維持されます。それを言ったら、「ブタペスト覚書」も条約ではありませんが、それでもプーチンは、オレンジ革命の際に、その無効を通告しています。そもそも、NATOには「安全保障不可分の原則」だってある筈です。冷戦終結後、西側はNATOを解体することもなく、調子に乗って、覇権の拡大を目指してきた態度を、反省する必要があるでしょう。



 

 

佐藤です。

 

紹介して頂いたコメント等、ざっと読みました。大前提ですが、やはり久下さんら「徹底抗戦・軍事解決派」は、ウクライナをめぐる現実が分かってませんね。例えば、ミンスク合意1・2は、「ウクライナ軍増強のための時間稼ぎだった」と、メルケル、オランド、ゼレンスキーが開き直って告白しましたが、ドンバス戦争中、親ロ派住民は、シェルター生活を余儀なくされたり、ロシアなどへの避難民になったりしました。当然、死傷者も多数出ていますし、捕虜虐待や住民虐殺も行われています。これは、国連人権高等弁務官事務所も、認める事実です。また、OSCE停戦監視団の資料によると、2022年2月14日から、ウクライナ軍が猛攻撃を開始したことが分かります。ドネツク・ルガンスク両人民共和国の要請にもとづく、ロシア「平和維持軍」派遣(集団的自衛権)は、2月24日です。あと是非知って欲しいのは、ソ連邦崩壊後のウクライナでは、親ロ派政権と親EU派政権が、交互に政権交代していたという事実です。要するに、票が拮抗している。そこで地域別投票行動を調べると、親ロ派支持者と親EU派支持者が、かなり入り組んで分布しています。たしかに、親ロ票はクリミア95%以上、東部2州は60~70%程度ありますが、他の地域は入り組んでいて、キエフにだって親ロ派住民は存在します。それゆえ私は2014年以降、「軍事的に争うぐらいなら、国を東西に2分し、住民は好きな方に移住してはどうか」と、ウクライナ人に提案したことがあります。「それは、分離主義だ」と、一蹴されましたがw。

 

前置きが長くなりましたが、結論的に言うと、私は「即時停戦・交渉解決派」ですね。双方の占領地域には、国際社会が停戦監視団として入り、双方ともに住民虐待などやらせない。ロシア軍の撤退に関しては、交渉の中で決めればいいことです。ただし、西側による「ミンスク合意」(停戦合意)を守る気はなかった、という深刻な国際法違反は、悔い改めさせる必要があります。アゾフスターリ製鉄所をめぐる攻防では、国連監視下で、市民が人道回廊で避難し、アゾフ連隊は投降し捕虜になり、後に「捕虜交換」で生還しました。私は当初、徹底抗戦主義のアゾフ連隊が「玉砕」し、市民は「集団自決」するかと思ったのですが、こうした愚かな展開にならず良かったです。いずれにせよ、この事例で分かるのは、国連監視もそれなりに機能しているということです。逆に、ウクライナ兵がロシア人捕虜を次々と射殺する動画が出回り、国連人権高等弁務官事務所が、本物だと認定しました。したがって、国際機関の監視下に置くのがポイントかと思います。撤退に関しては、私も一旦は撤退した方がいいと思います。「一旦」というのは、交渉内容や再住民投票の結果によっては、ロシア「平和維持軍」の駐留はあり得るからです。

 

とにかく、外交努力によって戦争は避けるべきで、不幸にして戦争勃発となった場合は、可能な限り早期に停戦を目指すべきです。久下さんら「徹底抗戦・軍事解決派」は、様々な戦争の例を出していますが、例えばベトナム戦争の場合、今でも枯葉剤という化学兵器被害は続いています。意識不明の子どもが多く生まれ、親に捨てられ、平和病院で植物人間状態です。米国は、枯葉剤による環境破壊は認めますが、人的被害との因果関係は認めないので、国交回復しても、一切保障はありません。「ベトコンが徹底抗戦して米国に勝利した」とよく言いますが、早期停戦していれば、こんな事態にはなってないでしょう。第二次世界大戦も、その末期において、日本も停戦を模索していたのは有名な話です。この時点で停戦が実現していれば、沖縄戦やヒロシマ・ナガサキの悲劇は、避けられたでしょう。

 

補足しますが、久下さんら「徹底抗戦・軍事解決派」がいうレジスタンスは、市民が銃を取って戦うことも含んでいると思います。現在、ウクライナでもそうなっていますが、非正規軍が私服で戦えば「便衣兵」になり、それだけで国際法違反です。「軍民分離」していませんから、敵に攻撃されても仕方ない。これはインフラを含む建物も同じで、「軍民分離」していなければ、攻撃されます。米国もウクライナもロシアも国際刑事裁判所に加盟してないとはいえ、こうした国際人道法の発達は重要で、遵守させる必要があります。民間人に、戦闘行為を呼び掛けてはいけない。国際人道法は、まだまだ未確立ですが、その根底には「非戦」の思想があり、市民には「非暴力抵抗」権のみ認めているように思います。

 

最後に、木村公一牧師は、「公正と信義に信頼し」(憲法前文)という言葉を大切にしているようですが、世界宗教者平和会議の提唱者でもある、立正佼成会の庭野日敬氏は、「危険をおかして武装するのではなく、平和のために危険をおかすべき」と言っています。私は経営と対立していますからw,こんな言葉は忘れていたのですが、「戦争に反対する在日ロシア人の会」で、似たような議論になりました。

 

「プーチンによる侵略戦争反対!」―戦争に反対する在日ロシア人らがアピール行動 (labornetjp.org)

 

こうした、覚悟・勇気は必要です。しかし現在のロシアでは、反戦行動=>逮捕=>戦場送りとなり、「良心的懲役拒否」さえ出来ない状態です。動員された若い兵士が、戦場に送り込まれる直前、「ウクライナ人を殺したくない」と、自殺したというニュースがありました。私はこのロシア兵の死を、無駄にしたくない。他方、在日ウクライナ人の行動は鈍く、募金集めが中心ですが、相変わらず、「戦争勝利」「ロシア人の排除・殲滅」を叫んでいて、最近は日章旗を持った右翼と一緒にデモをやってます。さらに、私が連絡を取っているベラルーシ労組の仲間は、軍事物資を運ぶ列車を止めた「罪」でで12人逮捕され、懲役10~15年を求刑されています。それでも、ドイツに避難した臨時労組幹部と、サイバーパルチザンは、今後もロシア軍のベラルーシからキエフへの進軍を、阻止するつもりです。

 

とにかく、双方の「正義」と「正義」がぶつかり、戦争ともなれば、非人道的行為が双方に発生します。双方が熱くなり、「憎しみの連鎖」に陥ってますから、喧嘩を止める仲介者が必要でしょう。どちらかに、「寄り添って」はいけない。むしろ、日清・日露戦争と1・2次大戦を経て、戦後平和憲法を手にした日本の教訓を伝えるべきです。核の危険を知っている私たちが、絶対平和主義の意義を、世界に向かって発信すべき時です。そもそも、戦争当事国の損害は大きく、この場合、笑うのはアメリカと中国だけです。「即時停戦・交渉解決」で、当面は「民族共存」にもっていく。ロシアは多民族国家ですが、ウクライナはバンデラに英雄の称号を授与し、ユダヤ人に抗議されてるぐらいですから、「民族共存」は困難かも知れません。その場合は、ウクライナでも反政府運動をするしかなく、既にそうした動きもあるようです。

 

2023年3月9日

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

報告:「プーチンによる侵略戦争反対!」―戦争に反対する在日ロシア人らがアピール行動

2022年10月22日、東京・新宿において、「戦争に反対する在日ロシア人」らのアピール行動がありました。結集したのは、日本在住のロシア人、タタール人、そして彼らに連帯する日本人ら約15名で、ウクライナにおける戦争反対の思いを、日本社会に強く訴えました。2月24日に開始された戦争は、ウクライナ軍が反転攻勢する中、ロシアがウクライナ東南部4州を併合し、そこでは戒厳令が出されています。また、クリミヤ橋が爆破され、キエフなど数都市が空爆されています。他方、ロシア国内では部分動員令が出されて、反対運動が再燃する中、国外脱出する若者も少なくありません。

「戦争に反対する在日ロシア人」は開戦直後から新宿や渋谷で街宣行動を続けてきましたが、ウクライナ情勢の展開や世界経済への影響に伴い、コールやプラカードの種類が増えています。また、最近では周囲の日本人の注目を集め、この日は街宣の隊列に加わる人もいました。そこは国境を超えた、情報交換や意見交換の場にもなっています。「戦争のために危険をおかすのではなく、平和のために危険をおかすべき」「プーチンの戦争に協力するのではなく、動員拒否こそ勇気ある行動だ」「平和憲法をもつ戦後の日本人は、戦争に反対のはず。共に行動しましょう」など、様々な意見が出されました。以下、主催者のビラから転載します。

<主催者アピール>
日本に住む私たちロシア人は、様々な理由でこの国に来ています。異文化を受け入れたいと思った人、仕事のチャンスに恵まれた人、現在のロシア政府のイデオロギーに耐えられなかった人。今、ロシア政府によって始められたウクライナに対する酷い戦争はとても卑劣で、私たちはこの悲劇を黙って見ている訳にはいきません。

私たちロシア人は、この戦争を決して望まず、ウクライナ領のルハンスク、ドネツク、ザポリージャ、ヘルソンの占領も望みません。そして、占領地の住民投票は支持できず、認められません。自国民に自由で公正な投票を保障しない政府が、他国の領土を決して奪ってはいけません。

私たちは、ロシア政府の行動を非難しています。プーチンの独裁や行動と、一緒の括りで見られたくありません。私たちは、私たちが世界平和を願う同盟者であると世界に認識されることを望みます。

私たちは、ロシア連邦の領土にいる国民が、部分的に動員されるという、最近のニュースに恐怖を感じています。プーチンの演説は、国に対する利己的な権力を守るために行われた、情報操作に過ぎません。ロシア国民は、無意味な戦争のために捨てられる政府の駒ではなく、自分の命、家族、信念を持った人間なのです。動員発表以来、大規模な抗議行動が始まっています。私たちは、ロシア政府の行動に全面的に反対し、ロシアにいる親族、家族、大切な人たちを守るために立ち上がりました。

また、ロシア国民を擁護し、プーチン政権に反対して投獄されている、政治家アレクセイ・ナワリヌイの自由を要求します。現在、彼は弁護士と顔を合わせることすら禁じられており、二人の間のガラスにはテープが貼られ、顔を見ることすらできません。また、ナワリヌイは服のボタンを外し、「人の肉は戦争に使うべきではない」と発言したことで、常に理不尽な懲罰を与えられています。私たちは、彼のおかれた状況に、恐怖を感じています。

プーチンの人質である限り、彼の身は常に危険にさらされていることを、人々に知って欲しいです。私たちの抗議活動に参加し、協力してくれた、すべての日本国民に深く感謝します。表現の自由は、私たちの母国では否定されている権利です。日本では、平和的な抗議活動を行える。

私たちの感情を表現する自由を与えてくれたことに感謝しています。また、プーチンの軍隊として戦いたくないロシア人に、日本で難民資格が取得できることも要望しています。一人でも多くの命が救われるよう、どうかご協力をお願い致します。

【戦争に反対する在日ロシア人】 https://yasoprotivlenie.com/
【参加報告・編集・訳】佐藤和之(佼成学園教職員組合)



 

 

報告:「戦争反対!」「動員反対!」―在日ロシア人らが緊急行動

2022年9月24日、東京・渋谷のハチ公前広場において、ウクライナ戦争に反対する緊急集会が行われました。主催は「戦争に反対する在日ロシア人」で、首都圏在住のロシア人やタタール人、そして支援の日本人ら、約30名が結集。「プーチンは侵略と戦争犯罪を今すぐやめろ」と書かれた横断幕や、「兄は戦争に行かされた」などのプラカードを掲げ、「戦争反対!」「動員反対!」「ウクライナに平和を!」などと訴えました。足を止め、ともに祈り、涙する日本人の姿もありました。開戦直後から、「戦争に反対する在日ロシア人」は、世界各地のロシア人とも連帯しながら、繰り返し街頭で反戦・平和の声をあげています。今回の集会の呼びかけ文とアピールは次の通りです。

◆ロシアでは、動員が発表されました。すでに、全国で数千人が召喚状を受け取っています。彼らは、私たちの家族や友人です。プーチンは、自分の栄誉のために、彼らの命を犠牲にしたい。この栄誉は、彼の病んだ心の中にしか存在しない。この戦争を止めろ!

◆ウクライナ軍が領土をロシアの侵略者から、できるだけ早く解放することを願っています。住民投票をやめろ! 土地収奪をするな! 戦争反対! ウクライナに平和を! ロシアに自由を!

◆日本政府・外務省には、徴兵を拒否したロシア避難民の受け入れを、お願いしたいです。あるいは、第三国への移住を仲介・支援する法律を、制定して欲しいです。抗議デモに参加して政治的弾圧を受けているロシア人も、難民として受け入れて下さい。戦争のためではなく、平和のために危険をおかしているロシア人を、助けて下さい!

2月24日にロシア軍によるウクライナ侵攻が開始され、今も戦争は継続しています。そして、9月21日にロシアのプーチン大統領は、「部分的な動員を実施するための大統領令(部分動員令)に署名した」と、国営テレビを通じて演説を行いました。これは、「現役の軍人以外のロシア国民に招集をかけて、ウクライナとの戦いに参加させる」ことを意味しています。今回招集されるのは、軍務経験がある予備役30万人とされていますが、さらに今後、「総動員令」が出される可能性も否定できません。

現在ロシア連邦軍には約90万人が服務していますが、うち60万人弱が志願兵、残りの約30万人が1年の兵役にやってくる徴集兵で、毎年入れ替わる仕組みです。その結果、相当数の成人男性が、動員対象となり得ます。ロシアのショイグ国防相は、「ロシアには2500万人の動員リソースがあり、今回の30万人は1%余りにすぎない」と述べました。

2月の開戦時、ロシア兵19万人がウクライナに投入されました。その後、ロシア政府は、大規模な兵士の募集活動を行い、とくにシベリアやコーカサスなど貧しい地域から、兵力が追加されました。さらに8月、プーチン大統領は13万7000人を追加雇用する大統領令に署名しています。他方、ウクライナ軍の開戦時の規模は、現役兵が19万6600人でした。その後、ウクライナ政府は大規模な動員令を発令し、兵士の数を大幅に増やしています。さらに、外国からの義勇兵など、非正規戦闘員も加わっています。

現在、「部分動員令」による兵力の移送が開始される一方、ロシアからの脱出者が急増し、各地で抗議デモも再燃しています。また、プーチン大統領が核兵器の使用を示唆する中、9月23日-27日には、ウクライナ東南部のルガンスク人民共和国・ドネツク人民共和国・ザポリージャ州・ヘルソン州において、ロシアへの編入に関する「住民投票」が実施されました。情勢は急展開しています。日本からも反戦・平和の声をあげましょう!

【主催者Web】https://yasoprotivlenie.com/

【代理投稿・訳】佐藤和之(佼成学園教職員組合)