🧩 本人確認は“信頼の入口”である
本人確認(KYC:Know Your Customer)は、金融・通信・SNSなどのサービスにおいて、ユーザーの本人性を確認する制度である。 運転免許証やマイナンバーカードの提出、顔写真と動画の照合、住所確認の郵送物受領などが一般的な手段として用いられる。
最近、海外のMLMで、入会時、正確には換金時にKYCが必要で、
それにマイナンバーカードの裏面も必要と解り、躊躇している。
旅行系のMLMなんだけど、何しろ海外企業なので、慎重に見極めているよ。
番号そのものと、名前や住所も同時に知られてると、思わぬ所で悪意をもった
利用のされ方をすることが有り得るからね。用心に越したことはないね。
世界中の国の人が会員なので、そのMLM会社も、犯罪者や変な人が同じ船にのって来たら困るし、慎重になるのは解るんだけどね。
これらは、サービス提供者がリスクを最小化するための制度であると同時に、ユーザーにとっては「このサービスは信用できるか」を判断する入口でもある。 つまり、本人確認は単なるセキュリティ対策ではなく、制度設計によって信頼の入口をつくるUX要素である。
🧠 UXが“面倒”を“納得”に変える
本人確認の体験が悪いと、ユーザーはこう感じる:
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「なぜこんなに面倒なのか」
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「どこまで情報を渡せばいいのか」
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「この会社は信用していいのか?」
逆に、設計が良ければこう変わる:
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「必要な理由が明確に説明されている」
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「提出方法に選択肢があり、操作が簡潔」
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「処理が速く、通知が明快で安心できる」
この違いは、制度そのものではなく、設計によって生まれる納得感である。 納得感は“制度の翻訳”によって成立する。制度の存在理由を、ユーザーが理解し、受け入れられるように設計することが重要だ。
🏷️ 固有名詞が“信頼の座標”になる
たとえば、本人確認のステップを明快に示すサービスとして「マネーフォワードME」がある。 画面上に「本人確認の目的」「必要書類」「処理時間の目安」が明示されており、ユーザーは迷わず進めることができる。
LINE証券では、顔認証と免許証の照合がスムーズで、操作の途中で「現在どのステップか」が可視化されている。 PayPay銀行は、本人確認後の通知が即時に届き、処理完了までの安心感が高い。 楽天モバイルは、郵送物による住所確認を明示的に行い、物理的な証拠によって信頼性を担保している。 bitFlyerでは、KYCの進捗が画面で可視化され、ユーザーは「今どこまで進んでいるか」が一目でわかる。
これらの例は、制度の内容が同じでも、設計によって「信頼できる体験」に変換されていることを示している。 制度設計において、固有名詞は“信頼の座標”になる。ユーザーは体験を通じて、「この会社は信頼できる」と記憶する。
🛠 設計者は“制度の翻訳者”である
UX設計は、制度の意味を“納得できる体験”に変換する翻訳業務である。 設計者は、制度そのものを変えることはできなくても、ユーザーがどう受け取るかは設計できる。
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どこで説明するか
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どこで選択肢を与えるか
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どこで安心させるか
これらはすべて設計の領域であり、制度の意味をユーザーに伝える翻訳行為である。
🔐 本人確認は“信頼のため”に設計される
本人確認という制度は、ユーザーにとって「面倒な義務」ではなく、「信頼できるサービスかどうかを判断する入口」に変換できる。 そのためには、設計者が制度の意味を翻訳し、納得感を生む体験に落とし込む必要がある。
制度は変えられなくても、UXは変えられる。 そしてUXが変われば、ユーザーの信頼は変わる。 本人確認は、誰のためでもなく、信頼のために設計されるべきものである。
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