皆さまこんにちは。
引き続き『RRR』本、後半のことを書いていきたいと思います。
■キーワード「怒り 戦い 血」
第4章 植民地支配への「怒り」
1.植民地支配の表象
第一のキーワード「怒り」
登場するイギリス人が身に着けている
「真珠」にも理由あり。
もともと真珠は南インドで採れる貴重な奢侈品(シャシヒン※生活必需品以外のぜいたく品。おごりの品)で、
そのひと際目大きなものをイギリス人が身に着けていることは不快である。
様々な場面で、象徴的な意味での
「真珠」が使われているのだとか…
ジェニーの真珠は、場面を経て変化していきます。
あとは人種差別、動物が出てくる意味など。
2.反植民地主義の描写
第5章
叙事詩になぞらえたふたつの「戦い」
1.伏線
第二のキーワード「戦い」
映画後半は、
『マハーバーラタ』『ラーマーヤナ』
になぞらえての激しい戦い。
へぇ〜👀、アクタル(ビーム)が、
「ラーマ王子とシータ姫か」と言ったとき、自分を(『ラーマーヤナ』の)弟ラクシュマナに見立てていたんですね。
ここまで読んで…
インドのニ大叙事詩を知っているか否かで『RRR』の楽しみ方が変わってくると思いました。
自国の神話のことを「インドでは子供も大人も皆知っている」というのは本当なのでしょうね。
2.第1戦争 ラーマvsビーム
やっぱりここでも『マハーバーラタ』。
ラーマが乗る馬車の4頭の馬がヒーローのアルジュナ(『マハーバーラタ』の主人公の一人)の行動を模している、等。
戦闘場面でも『バガヴァッド・ギーター』(700行 の韻文詩からなるヒンドゥー教の聖典のひとつ。『マハーバーラタ』第6巻)のエピソードを示唆。
え?ビームの行動もそうなの?
要は二人共、アルジュナになぞらえているということ?など…
次第に面白くなってきた…
3.第2戦争 ラーマ+ビームvs大英帝国
さあ『マハーバーラタ』の戦争が始まる…からの『ラーマーヤナ』の出番。
ビームが自分を「ハヌマーン」(『ラーマーヤナ』)に見立てた台詞が出てくる。
あ、なるほど『ラーマーヤナ』に出てくる証明としての「指輪」が『RRR』(ラーマとシータの)ペンダント👀。
4.最終戦争と最強兵器
世界を破壊へ向かわせる最終兵器…映画後半で繰り広げられる激しい場面。
『RRR』では、叙事詩には出てこない新しい武器が2つ。
ラーマが放つ手榴弾をつけた矢、ビームが爆破に使った西洋の武器=軍用バイクを飛ばし、その矢が着弾して大爆発させる…
つまり『RRR』での最終兵器とは「インドと西洋の合体」を意味する、等々。
『マハーバーラタ』には世界を破滅に向かわせる兵器についての言及があり、
『ブラフマスートラ』という映画が参考になるそうです。
(なんとタイムリー!
『ブラフマーストラ』
WOWOWで
2月16日(金)21:00〜放送予定)
そして、ラージャマウリ監督が無神論者である自身の価値観をラーマに投影している描写が随所にある、のだそう。
そして、ここから書かれるビームとラーマのこと。なかなか面白いのでぜひ読んでみて下さい。
第6章 「血」は正義
1.血のドラマ
第二のキーワード「血」
ラーマとビームの場面で流される様々な「血」の意味
「怒りと反乱」の「血」
キャサリンが欲する「血」
2.血が騷いで旗を掲げだ人々
郷土の英雄たちのこと
第7章 友情と絆の物語
1.感情物語として
2.最悪と最良
3.終わりのない物語
4.男たちの絆、そして女たち
5.ふたりの男、ふたつの州
[付録]
アッルーリ・シーターラーマ・ラージュとコムラム・ビームの生涯
等々、こんな内容。
■余談ですが…主人公は誰❔問題
この本の中では「主人公のラーマ」という記述があるので、
映画の『RRR』ではラーマが主人公とわかります。
では宝塚『RRR』の主人公は?
…礼さん演じるビームです。
タイトルロゴの“RRR”文字の中にある
ラーマとビームの顔の位置が、映画と宝塚とでは逆転。
そのことについてネガディブな意見も目にするけれど、
「だから逆転させている」わけですね?
映画“RRR”タイトルロゴのラーマ部分に宝塚“RRR”では礼真琴さん。
当たり前の逆転掲載、ということですね😉
そして「色」。
礼真琴=ビーム=水=青
暁千星=ラーマ=火=赤
星組のカラーは青だから(^^)
谷貴矢先生のこだわり、素晴らしい✨
それにしても、ありちゃん=暁…からイメージする色はなんとなく赤。
『Arkadia』の印象が甦るのかな?
■読み終わって①
読み疲れつつ、楽しみつつ…
最初は苦労しましたが、途中から面白くなって一気に読みました。
本の冒頭に書かれていた副題について、終盤の内容で回収されていきます。
『RRR』の英語での副題、
「蜂起と咆哮と反乱と」は
「Rise Roar Revolt」で
「RRR」
これは劇場版にする上での日本語訳なので、ローマ字にすると
「Houki Houkou Hanran」
…で(「RRR」に対して)「HHH」となるように考えられた…字幕翻訳者・藤井美佳さんの腕が光っているのだとか。
ちなみにテルグ語での副題は
「Rawdram Ranam Rudhiram」
…で「RRR」、これを訳すと
「怒り 戦い 血」
この3つが『RRR』のキーワードであるという前提で、最大のテーマは友情(絆)ということなのだそうです。
少し読み進めにくいけれど『RRR』の世界観が好きな人、
インドの深層を知ってみたい人、
知ってから映画と公演を楽しみたい人、
にはオススメ。
読みたくなってきませんか?
まだ読んでいない方、
東京公演にまだ間に合います✊
この作品にどんな人達が関わって、どんな経緯で日本にもたらされたのか、
また作品の背景としてのインドの歴史、哲学的な観点、
実在の人物のことなどを知りたい人に。
文中で[◯◯分頃](本編開始からの時間)と提示されているのも親切です。
(VTRが手元にあれば、の話)
個人的には一番最後の、
[付録]
「アッルーリ・シータラーマ・ラージュとコムラム・ビームの生涯」
が面白かったです。
■読み終わって②
「読みにくいわー」…を連発し、無理やりに必死で読んでいた私に娘が一言。
「そんなに読みにくいならやめれば?」
(むっ・・・)
「うーん…なんか途中でやめるのは
悔しいんだよね…」と私。
「そもそも何で今頃買ったん(・ัω・ั)?
映画も公演も観たのに」
…娘のキツ~い一言に、ぐうの音も出ず黙り込んでしまったのでした。
が!
それでも必ず何か得るものがあるのが「本」の良いところ。
上記の「分類」が難読でない方は是非✊
多民族・多言語国家インドの少し複雑な歴史と難読な地名・人名が得意になるかも。
そして、インド映画を別の角度から楽しんで観られるようになるかもです。
興味のある方、ぜひご一読を🎵
さて次はやっぱり『マハーバーラタ』を読んでみようかと結構ワクワクしているところです(全く懲りていない)。
(『バーフバリ』の土台にもなっているし)
それではまた~🎵
↓
『マハーバーラタ』に関しては、まず「ちくま学芸文庫」を買いました。入門的で読みやすいです。