お久しぶりです。


先日母が"一応"退院しました。


心配して下さった方々、本当にありがとうございました。


その時の事を書いていきたいと思います。


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ある日スマホが鳴った。


知らない番号だ。


出ると、母の入院する病院からで


「母が一時退院することになった。すぐ迎えに来れますか?」


という。


急な話だが私は「はい、わかりました」


と言うと、早速母を迎えに行った。


行く間中、帰って来たらあれもしてあげよう、これもしてあげよう、と、どちらかというと張り切っていた。


ところが、病院に着いてみると話が違う。


一時退院ではなく、どうやら院長と揉めて、最終的に強制退院させられる事になったらしい。


よくよく話を聞いてみると、一時退院を希望する母と拒否する院長の話し合い(にもならず、お互いに自己主張するのみ)がうまくいかず、院長の一存で追い出される事になったらしい。


結局タクシーで自宅に到着。私が重い荷物を担ぎつつ、杖をついて階段を登る母を見守り、漸く部屋に着いた。(我が家はEVなしの3階)


昼食をまだ食べていなかったので、私がその足で買い物に行き、食事の支度をした。


その後、さすがに疲れて昼寝。


どれ位寝たか分からないが、


「いつまで寝てるの!!💢」


と、母の怒号。


もう夕食の時間だったらしい。


その後も何かと不機嫌。


しかし自分は物見遊山で勝手に甲子園球場に行って怪我して心配かけた挙げ句、私は容態を案じながら東京⇔大阪往復2回もして重い荷物を持って彷徨い歩く羽目になり、熱中症になるかと思った。


やっと一段落ついたんだから、もっと優しく起こしてくれてもいいじゃないか。


私はヘタレなので、すっかり介護のモチベーションを失ったどころか何もやる気がなくなってしまった。


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しかし、私がいないと買い物もできないので、仕方なくやっていますが。


私の心はまだ折れたままです(笑)


介護をされている皆さんはすごいですね。


追記 母が入院していた病院も怪しい病院でした(泣)



今日は母に会いに、大阪の病院に行ってきます。(自宅は東京なのですが、年寄りのくせに💧 甲子園を見に行って、椅子に座り損ねて大腿骨骨折(*_*))


明日9/15が転院日(今度は東京の病院に転院します)なのですが、何やら介護タクシー?とかいうものが病院に来てくれる時間が明日8:30と早朝になるため、付き添いの私も今夜から大阪に泊まります。


母はリハビリ頑張ってくれているようです。


毎晩電話していましたが、電話の声も元気そうでした。強がりでなければよいのですが…。


取りあえず東京に帰って来てくれるので、嬉しいです(^^)


これから、どうなるのでしょう…^^;


私も、もっと身体が丈夫なら色々ケアしてあげたいのですが、私はちょっと頼りないんです。





ある朝目覚めると、やはり視界がクラクラして、菜々子は再び枕に頬を付けるように倒れてしまう。


「ナナ、大丈夫?まだ気分が悪いの?」


隣から聞こえてきた声に一瞬驚いたが、ああ、そうだった、と納得する。


「クラクラするの…」


菜々子は、甘えたように答える。


「じゃあ、もう少し寝てなさい」


雪弥は菜々子の頭を優しく撫でる。


「うん、そうする…」


体調の悪い時に、側に誰かが付いていてくれると、こんなに安心するんだなぁ…と思いつつ、菜々子は再び目を閉じる。

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朝はいつも忙しい神代夫妻が、何故のんびりと寝ているかと言うと、話は数日前に遡る。


菜々子の主治医の皆川医師に、やはり献血と妊娠のタイミングが悪かったらしく、このままでは楽観視出来ないので、しばらく輸血管理が必要だと言われたのだ。


そのため、定期的に輸血を受け、なるべく鉄分の多い食事を摂るように、食欲のない時は何でもいいから食べるように指示された。


帰りの車の中で、雪弥に宣言された。


「決めたわ!!アタシ、育児休業を取る!!」


「えええええ!!」


家にはまろもいるし、実家にはフクさんもいるので、せめて時短勤務かと思っていたら、終日休業だという。


「赤ちゃんの危機に、ハムなんてどうでもいいわ」


ハムとは、公安の隠語である。


仕事熱心な雪弥が、そこまでするとは思わなかった。


「大丈夫なの?」


「大丈夫よ。アタシがいなきゃ動けない、なんて情けない組織には育ててないから。

それに、警察クビでも仕事なんて贅沢言わなければ、ビルの窓拭きから道路工事まで情報誌見ればいくらでもあるのよ。でも、同じ子どもの命は一度失われたら、帰って来ないのよ」


それは、確かにそうだ。


それに、この人は変な自尊心がないのと同時に、自分よりも自分の大切なもののために自由にふるまう、という不思議な自由人だ。


自分の優先順位を翻さない。


そして、菜々子も自分ひとりの問題だったら

雪弥に


「仕事に行って」


と、いっただろう。


だが、今は、自分一人ではない。


お腹の子を守るためだったら、迷惑だろうが、何だろうが、誰にでも縋るつもりだった。

それに菜々子自身、身体の事以外にも、過去の不安材料が沢山あった。


雪弥も恐らく、その辺りを考慮しているのだろう。


まぁ確かに雪弥は実家を飛び出してから、ビルの窓拭きでも道路工事でも何でもこなした実績はある。


細身の身体と中性的なきれいな容貌に似合わず


「大爺に血ヘド吐くまで鍛えられた」


だけの根性はある。


今回は、菜々子も素直に甘える事にした。

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そのうち、ツーカタカタという足音が近付いてくる。まろだ。


「ユキヤサマ、ナナコサマ、シツレイ、イタシマス」


「入っていいわよ」


雪弥の声で、まろは器用に扉を開け、盆に何かを乗せて持ってくる。


「サユ(白湯)デ、ゴザイマス。ウメボシガ、ハイッテ、イルノデ、サッパリ、ナサイマスヨ」


「ありがとう、まろチャン」


ツクモノ神の里の清浄な川の水と、フクさん特製の梅干し入りの白湯は、胃がスッキリするらしく、菜々子も美味しい、と言って飲む。


梅干しは神代家から、雪弥が大量に運んできた。


まろは、お品書きのようなものも持ってきて、菜々子に手渡す。


「ナナコサマ、コノナカデ、タベラレソウナ、モノガ、ミツカッタラ、オモウシツケ、クダサイマセ。デキタテヲ、ゴヨウイ、イタシマス」


まろの料理も、大分レパートリーが増えた。


「アタシ、ハムとチーズのホットサンドと、プレーンオムレツとサラダ。それに、コーヒー」


「ユキヤサマニハ、キイテ、オリマセヌ」


「ええ!?どうせアタシだって食べるんだから、いいじゃなーい」


最近では、雪弥までまろに甘えている。


思えばこの人も6歳で山中に捨てられ、孤児院から名家の御曹司になったはいいが、厳しく育てられ、菜々子に出会う前は、誰かに甘える機会などなかったのだ。


菜々子はくすくす笑いながら、


「それじゃ、まろちゃん。わたしにも同じものをお願いしていい?わたしはカフェ・オ・レで」


「ヨロシイノデスカ?」


最近の菜々子は、誰かが何かを食べていると、同じものが食べたくなる、という食癖がある。


「うん、お願い」


「カシコマリマシタ」


まろは、来た時のようにツーカタカタと、からくり人形独特の足音を立てて、キッチンに向かって行く。


その姿を見て微笑みながら、菜々子はやはり、自分なんかが、この様な幸せに包まれていいのだろうか、という気持ちに、どうしても苛まれてしまう。


雪弥に告げるのは酷だと思ったが、可能性としては言っておかなければならない事ではあるし、心配事を胸につかえたままにしておくのも赤ちゃんに悪い、と菜々子は自分に言い訳して雪弥に告げる。


「ねえ、ユキ」


「なぁに?」


雪弥の優しい目を見ると、罪悪感に苛まれるが、


「あのね」


「うん」


「もし…わたしに何かあっても、子どもは絶対守って。子どもだけは、絶対守って」


雪弥は切れ長の目を見開いたが、思ったよりも動揺しなかった。


「それは聞けないわ。だって、アタシが何があっても、二人とも守るもの」 


「雪弥…お願い、子どもを優先して」


「その代わり、万が一にはナナとの最初の約束は聞けなくなるかも知れないわよ」


「最初の約束…」


菜々子が雪弥に、自分よりも1分1秒でも長生きするならお付き合いする、と言ったやつだ。


「何があっても、アタシが二人とも守るわ。でも、自分自身も生き残る…という約束は出来ないわ」


「…意地悪ね」


「ナナコが先に言ったのよ。…アタシの中には3人で生きる、一択しかないもの。4人、5人に増えてもいい?…というお願いなら、いくらでも大歓迎よ」


雪弥がわざと脳天気に言った言葉に、菜々子も笑ってしまう。

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雪弥は、まろと二人になった時に話す。


「今まで、道で小さな子を連れて赤ちゃんを抱いたお母さんとか、普段見慣れた風景だし、皆強くて明るいなあと思っていたけど、実は身体にも心にも、色々な悩みを抱えていたのね」


まろは、何百年も生きているから、その辺りは雪弥などよりずっと詳しい。


「トウゼンデ、ゴザイマストモ。ムカシハ、イマヨリ、オサンデ、ナクナル、ニョショウ(女性)モ、アカゴモ、オオカッタノデスヨ。ダンシ(男子)ハ、ムカシカラ、モット、ニョショウヲ、イタワルベキ、ダツタノデス!!」

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雪弥が、今まで以上に菜々子につきまとったり、まろに教わりながら、いっそう家事に励むようになったのは、それからだった。

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つづく

*お読み下さってありがとうございました!!