沈黙 -サイレンス- | 『映画評価”お前、僕に釣られてみる?”』七海見理オフィシャルブログ Powered by Ameba

沈黙 -サイレンス-

なぜ弱きわれらが苦しむのか――






 
遠藤周作の原作小説「沈黙」の実写映画化。17世紀の長崎を舞台に、幕府による激しいキリシタン弾圧の日本に渡ってきたポルトガル宣教師が信仰を貫くか棄教かという壮絶な葛藤の行方を描いたヒューマン・ドラマ。

17世紀、江戸初期。日本で布教活動を行っていた宣教師のフェレイラが、幕府による激しいキリシタン弾圧により棄教したという知らせがローマに届く。弟子のロドリゴとガルペは、真相を確かめるべく日本へと向かう。マカオで出会った日本人キチジローの手引きで長崎へ辿り着いた二人は、“隠れキリシタン”と呼ばれる日本人らと出会う。しかし、幕府の厳しい取締りとキチジローの裏切りによりロドリゴは捕らえられてしまうのだった・・・



キリシタン弾圧が行われていた江戸初期の長崎を舞台に、棄教したという師の真実を確かめるために日本にやってきた若きポルトガル宣教師が、幕府に捕らわれ、拷問や踏み絵等を見せつけられ、信仰を貫くか、棄教し信者や自身の命を救うかという究極の選択に迫られ苦悩し、葛藤する姿を描いたドラマだ。巨匠マーティン・スコセッシ監督が28年の歳月をかけて実現させたという歴史大作。宗教論ではなく、宣教師ロドリゴの教えと、長崎奉行の井上筑後守が語るキリスト教は意味を持つのかという命題に映画を観ているほうも葛藤をし、命というものの大切さについて改めて教えられる。正解は観る者により変わっていく。外国人であるスコセッシ監督が描く日本は、ハリウッド映画のトンデモ日本ではなく、日本人が描く日本より日本らしかった。監督の演出だけではなく、塚本晋也やイッセー尾形といった日本人俳優の渾身の演技も見ごたえあり。1971年に篠田正浩監督により「沈黙 SILENCE」で映画化されており、見比べてみるのもよいのではないだろうか。


評価:大変よくできました

原題:Silence
監督:マーティン・スコセッシ
原作:遠藤周作「沈黙」
出演:アンドリュー・ガーフィールド、アダム・ドライヴァー、浅野忠信、キアラン・ハインズ、窪塚洋介、笈田ヨシ、塚本晋也、イッセー尾形、小松菜奈、加瀬亮、リーアム・ニーソン・・・他
製作国:アメリカ
配給:KADOKAWA

【沈黙 -サイレンス-】
http://chinmoku.jp/

評価・紹介No.:2017-011