第9地区 | 『映画評価”お前、僕に釣られてみる?”』七海見理オフィシャルブログ Powered by Ameba

第9地区

人類、立入禁止。





南アフリカ共和国出身の映像監督ニール・ブロムカンプの短編映画「アライブ・イン・ヨハネスブルグ」(英題:Alive in Joburg)を、「ロード・オブ・ザ・リング」のピーター・ジャクソンのバックアップを受け長編映画化し自身も長編映画監督デビューした作品だ。



南アフリカ・ヨハネスブルグ上空に突如として現れた謎の巨大宇宙船。船が故障し、乗船していた大勢のの異星人は宇宙難民となり、第9地区といわれる場所で地球人と共存していた。
異星人が難民となり20数年が経ち、スラム化していく第9地区の異星人を新たな難民キャンプへ強制移住させる超国家機関 MNUの計画が実行される・・・。


「クローバーフィールド」「ハート・ロッカー」のようなドキュメンタリータッチに描かれた映画だ。

侵略をしに来たわけでもなく、宇宙船の故障により宇宙難民となってしまった異星人。宇宙難民と人間の軋轢が生まれ、その収拾のため異星人強制移住プロジェクトが実行される。超国家機関のプロジェクトだが、それは特殊部隊でもなく役所仕事。
プロジェクトの責任者となった典型的な役所男が軍隊を率いて一軒一軒家を訪問しグロテスクな異星人に立ち退きサインをさせる姿は非常にユニークで、その真面目振りが非常に笑える。
そんな中、役所男に悲劇が降りかかり異星人排除人から追われる立場となる。ユーモラスな展開から一転してシリアスドラマへと移る。


異星人や悲劇の男に対してのアパルトヘイトのような差別、アメリカがイラクに行ったような非人道的な行為に対しての社会風刺や、異星人の武器を収集というテロ的行為を皮肉っている。
ツッコンでしまう不自然な設定や描写もあるが、友情や家族愛など愛しく切なく結構泣かせる。

エイリアンパニックではなく、愚かな人間への批判映画として考えさせれる映画だ。


生々しく、また手ぶれ映像が多いので、そういう描写が苦手な方は控えたほうがよいかもしれない・・・


評価:★★★★★


原題:District 9
監督:ニール・ブロムカンプ
出演:シャルト・コプリー、デビッド・ジェームズ、ジェイソン・コープ、バネッサ・ハイウッド・・・他
製作国:アメリカ
配給:ワーナー・ブラザース、ギャガ

【第9地区】
http://d-9.gaga.ne.jp/


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