先日のブログでタックス・ヘイブン税制が
一巡したので、本日から閑話休題として、
国際課税に関して大原則とも言える判決を
紹介したい。
それは、
オデコ大陸棚事件
という、判決。この判決は昭和59年にあった
もので、租税法を学ぶ者であれば、必ず
耳にする判決である。ここで問われたのは、
大陸棚は国内に該当するか?
というもの。
事案の概要を述べよう。某外国法人が、日本
近海の大陸棚で石油を採掘し、その対価を
受領した。この対価に係る所得について、某
外国法人は、国内源泉所得に該当しない所得
(国外源泉所得)と判断し、申告を行わ
なかったことの是非が問われたのである。
もう少し補足しておく必要がある。外国法人
の課税については、
国内源泉所得を有する場合に限り
日本で申告義務がある
ため、その所得の源泉が、法人税法の解釈
として、
国内にあるか否か
が問題になるわけである。そうなると、法令
解釈上重要な点は、
法人税法における
「国内」の意味
なのだ。あまりにも当たり前すぎて、法人税法
における「国内」という用語の意味内容を
真正面から捉える者は少ない。しかしながら
この用語は立派な定義規定がある。即ち、
法施行地
という定義がなされているのだ。
この判決の結論から述べよう。大陸棚は、
国際的な慣習として沿岸国が
主体的な権利を有する
から、法施行地に該当するとされた。つまり、
大陸棚は日本が主体的な権利を行使できる、
即ち法を施行できるため、法施行地に含まれ、
そこで作業して得られた所得は日本に課税権
がある、というもの。
ところで、私自身、法律学としての租税法を
税務大学校で始めて履修したのだけれど、
その際この判決について、
課税管轄権の地理的限界
を示す重大な判決、と教示された。先日から
課税権、という話を何回かしているが、この
課税権は国ごとに独自かつ排他的に行うこと
ができる(管轄権)ものであるところ、そこ
には当然、限界を設ける必要があるわけだ。
この限界として、大陸棚まではOKと明らか
にされた、というのがこの判決の意義という
ロジック。
しかしながら、この判決、あまりにも
法令解釈から離れている
と考えるのは私だけだろうか?
(以下次回)
<<<<<<>>>>>>>>
ブログランキングに参加しました!!
内容にご満足いただけましたら、ワンクリックをお願いいたします。