モーゼの十戒をモチーフに繰り広げられる人間模様。
全10篇の短編映画。各一篇が独立しており、そのままでも十分に堪能出来る。
①「第一話:ある運命に関する物語」
全ての物事は計算出来る、と考える大学教授の父親。
「生死」に感心を持ち始める小学生の息子。
ある日、息子が隠してあったクリスマスプレゼントを見つけたことから、物語は思わぬほうへ進んでいく。
「人智」とは。見えざるものの存在とは。条理と不条理。
そんなテーマを、淡々と且つ丁寧な映像で表現。
事件の発生を受けても冷静に行動しようとする父親の、頭と体の動きがまるで合っていない、という表現が秀逸。
②「第二話:ある選択に関する物語」
同じアパルトメントに住む老医師とヴァイオリニストの女性。
彼女の夫は瀕死の重態。
老医師はその主治医であった。彼女は老医師に夫の先行きについて、執拗に聞く。
それは、彼女が不倫相手の子どもを身ごもっていたからであった。
まさしく表題の通り、人間にとって「選択」とは何かを問うドラマ。
老医師とヴァイオリニストの家族構成に焦点を置き、岐路に立った運命の方向を自ら選ぶ、ということの困難さを感じ取ることが出来る。
「生まれてくる生命」というものが本質的に抱える「選択」の性質、というものもテーマとして浮かんでくる。
キシシュトフ・キシェロフスキ監督
1988年、ポーランド