モーゼの十戒をモチーフに繰り広げられる人間模様。

全10篇の短編映画。各一篇が独立しており、そのままでも十分に堪能出来る。


①「第一話:ある運命に関する物語」

全ての物事は計算出来る、と考える大学教授の父親。

「生死」に感心を持ち始める小学生の息子。

ある日、息子が隠してあったクリスマスプレゼントを見つけたことから、物語は思わぬほうへ進んでいく。


「人智」とは。見えざるものの存在とは。条理と不条理。

そんなテーマを、淡々と且つ丁寧な映像で表現。


事件の発生を受けても冷静に行動しようとする父親の、頭と体の動きがまるで合っていない、という表現が秀逸。

②「第二話:ある選択に関する物語」

同じアパルトメントに住む老医師とヴァイオリニストの女性。

彼女の夫は瀕死の重態。

老医師はその主治医であった。彼女は老医師に夫の先行きについて、執拗に聞く。

それは、彼女が不倫相手の子どもを身ごもっていたからであった。


まさしく表題の通り、人間にとって「選択」とは何かを問うドラマ。
老医師とヴァイオリニストの家族構成に焦点を置き、岐路に立った運命の方向を自ら選ぶ、ということの困難さを感じ取ることが出来る。

「生まれてくる生命」というものが本質的に抱える「選択」の性質、というものもテーマとして浮かんでくる。


キシシュトフ・キシェロフスキ監督
1988年、ポーランド

山田洋二監督の初期の代表作で、『馬鹿三部作』と評されるものの三作目にあたる。

とある農村を舞台に巻き起こるドタバタ喜劇。

まず、キャスト が素晴らしい。
主演のハナ肇を筆頭とする「クレイジー・キャッツ 」のメンバー。
特に、頭の弱い役で秀逸な演技を見せた犬塚弘がたまらない。
また、現在では想像も付かないほどの清純派女優であった岩下志麻が病弱の娘役を好演。
その他 の脇役陣も錚々たるものである。

さて内容であるが、最後の意外な展開は評価が分かれるところだろうと思う。私としては、正直なところ物足りなさを感じた。
厳しく言えば、展開に深みが無いのである。

この時代の「喜劇映画」で思い浮かぶのは、先頃亡くなった植木等の『無責任』シリーズ であるが、そこに見られる痛快さはこの作品では皆無である。
そういう意味では、「喜劇」らしからぬ作品といえる。


山田洋二監督、1964年、日本
ハナ肇、岩下志麻、犬塚弘、谷啓、小沢昭一、東野英治郎ほか