働き方改革がそもそも必要の無い分野の医師も多いのだ。

だから、医学部定員が多いだの少ないだの、そんな議論にも全く意味がない。

専攻科の偏りと地域による偏りの両者を是正する方策を打たなければ、問題解決にはつながらない。

 

現在国は、東京都で研修できる内科医の総数を年々絞ってきている。医師が東京に多く地方で不足しているのを解消したいらしい。ところが、これは愚策だ。

 

国の施策の結果、何が起きているのか。内科医の総数が減っている。内科志望だと東京で研修できないとなれば、他科(皮膚科、眼科、耳鼻科、・・・)を志望する医学生が増えるだけだ。だれが、指導医も不十分な地方で好き好んで研修したいと思うだろうか。しかし、一番人数が必要なのは内科と外科だろう。東京での内科研修を許し、研修終了後に東京に留まりにくくするならば分かるが、そもそも東京での研修を許さなければ、内科医の総数を減らす効果しかない。教育は人手の多いところでやる方が良い。現場の声を聞かずに机上の計算だけで施策を決めるからこうなる。

 

なお、内科の中でも忙しさの格差はある。特に多忙な循環器内科等は志望者の減少が目立つ。多忙な科の欠員を増やす対策は2つ必要。

 

一つは主治医制ではなく当直制を徹底すること。自分の担当患者の具合が悪くなれば、深夜でも早朝でも主治医が呼ばれるのが主治医制。深夜や早朝に患者が具合が悪くなったら、当直医が呼ばれるのが当直制。当直制を徹底すれば、on-offがはっきりして働き方改革成功だ。このような体制を促進するために行政にできることは、当直体制加算をつけることだろう。無理な労働体勢でなければ、診療内容が高度でも志望者は増えるだろうし、むしろ診療内容が高度なことが志望者増加の理由になりうる。

 

次に、人数を増やしたい科の診療報酬を増やすこと。診療科の雇用できる人数を増やすには、その科の収入が増えなければならない。