昨年から継続してきた私的音楽プロジェクトがミニアルバムとして完結いたしました。

『迷宮季譚』

 


という名前のアルバムです。

これからこの制作裏話を書きます。
長いですが一気に書きます(笑)



そもそも自分は中3からギターを始め、20歳くらいから曲を作り始めました。独学です。誰かのコピーをするよりも独自性のある創作を好む傾向があったようです。

そんな自分を形成してきたルーツを掘り起こし、自分に正直に作ろうと始めたのが今回の企画でした。
無意識的にも何かに媚びることをせず、ただ作りたいものを作る。
そんな創作の原点に返り、しかし期間を限定して作りました。

そんな自分のルーツは何か

高校時代に文学に目覚め、漫画家を目指して集英社に持ち込み投稿していたときに知った江戸川乱歩の世界。
エログロデカダンでありながら純文的なテーマがあって、幻想文学としても他を圧倒していたと思いました。

そんな退廃的でありながらも、だからこそ美しい、滅びの美学みたいなもの、アングラ的悪趣味的な人間の本性、そんなカオスな世界を曲として描きたいと思いました。

プログレッシブロック

これは好きな音楽ジャンルでした。
他にも色々聴きますが、このジャンルが一番アグレッシブでクリエイティブでエモーショナルなロックを提供していると自分は感じます。

自由気ままに作る、にはこのジャンルしかありません。

ということで季節の移り変わりの妙が顕著な日本に住み、日本にしか住んだことのない、海外旅行もしたことのない自分にはよいテーマだと思い、創作を開始しました。

ありふれた大きな括りのテーマですが、そこに先ほどの乱歩テイストを足すわけです。

余談ですが、乱歩を扱った映像作品で納得のいくものはありません。
実写、アニメ両方です。
それだけ私には特別な世界になっています。
このアルバムは乱歩の世界を描いていません。
あくまで自分のルーツ探しの一端にすぎません。


さて、音楽の話に戻りましょう。

アルバム名は最後に決めました。
迷宮はそのまま、迷い惑う世界、それを醸し出す“空気”が日本にはたくさんあると思います。
本当に美しい国だと思います。日本。
リゾートバイトなど含めて色々と私も各地を点々とした時代がありました。観光ではなくそこに一定期間住む、という行為は特別な経験でした。

そんな堂々巡りを仏教的な輪廻に例えた部分が冬の曲にあります。
CDジャケットにも蓮を追加で入れてもらいました。


季節をテーマにデカダンな美学を表現する。
これが迷い惑う季節の物語=迷宮季譚です。


春の病は夢うつつ
真夏の夕凪シンドローム
秋の残酷ノスタルジー
冬の仮初め虚ろな悪夢


この4曲はほぼ同じ機材で制作しました。
サウンド的に統一感を出すには同じが良いです。
CDを購入していただくと機材リストが載っていますが、

IK Multimedia
という会社の製品が多いです。
これはいわゆるシミュレーター系のプラグインを販売している会社です。
ギターサウンドはこのシミュレーターです。
アンプのマイク録りはしていません。
PCのプラグインでアンプシミュレーターはたくさんありますが、この会社のAmpliTube4 MESA/Boogieはとんでもないレベルだと思います。

そしてドラムは定番のBFD3でベースはほぼTrilian。
これはもう、何でも自由自在です。

そして決め手はIK Multimediaのマスタリングソフトです。
Lurssen mastering console

これは本当に素晴らしいです。
音圧アップの時代においていかに音像を崩さずに音圧を上げられるかがクリエイターにとっては重要(なはず)

音圧アップによる音像破壊は本当に嘆かわしいことです。
プロのCDでもあります。
そこまでして音圧アップする必要はあるんでしょうか?
ハイレゾで音圧アップした、音が死んだものを聴いても何も価値はありません。

ダイナミックレンジ

これがない音なんて死んだ音楽ですよ。本来は。

でもこれがなくてもいいのがダンス系です。
あれは音のレンジを感じなくていい音楽です。
ディスっているのではありません。
むしろ、それ以外の音楽が流行に合わせてその手法をとってしまうことに嘆いているのです。

音圧アップは本来必要ないことです。
だってボリューム上げればいいことですから。
均一な音量ではなく、音の強弱を感じる、究極的にはクラシックですが、そういう音楽は音のレイヤーを感じることができます。
それは“心地よい”はずです。

私の曲は許せる限界まで音圧アップはしています。
しかし、他の曲よりは音量が低く感じるかもしれません。
それでいいのです。
Lurssen mastering console
というマスタリングソフトはその弊害を少なく音圧を上げてくれるソフトウェアです。


大分長くなりました。

イラストに関しては別記事にて。