食べ過ぎはよくありません | 頭痛 あれこれ

頭痛 あれこれ

 「慢性頭痛」は私達の日常生活を送る際の問題点に対する”危険信号”です。
 このなかで「片頭痛」は、どのようにして引き起こされるのでしょうか。
 慢性頭痛改善は、「姿勢」と「食生活」の改善がすべてであり、「健康と美容」のための第一歩です。

 食べ過ぎ・過食


 ミトコンドリアの質と量を劣化させる「悪い生活習慣」とは、「運動不足」や「過食」です。ここでは過食の問題です。


1.糖質の摂り過ぎの問題


 解糖系でATPを作るには、大量の糖質が必要になり、大量の乳酸を排出して身体を酸性に傾けます。ということは、糖質を過剰に摂取すれば、エネルギー産生系は解糖系に傾くことを意味しています。
 このように、糖質の過剰摂取は糖尿病だけではなく、人類の万病のもとです。

  消費されなかった余分な糖は、コラーゲンなどのタンパク質と結びつきAGE(終末糖化産物)という物質に変質してしまいます。このAGEの有害な毒物の蓄積が、ミトコンドリアの機能を悪くする原因になっています。このことは前章で述べました。
 このような糖質の過剰摂取は、過食だけでなく、次項の「ドカ喰い・早食い」による一過性の高血糖でも起きることを忘れてはならないことです。

  このように、糖質の食べ過ぎはミトコンドリアの働きを悪化させます。


2.脂質の摂りすぎの問題


 食べ物に含まれる脂質は体内で分解され、細胞の中で1g あたり9kcal のエネルギーを産生します。エネルギーは炭水化物やたんぱく質からも作られますが、これらのエネルギー産生量が1g当たり4kcal ということと比べると、脂質はエネルギー効率が高い栄養素といえます。


 体についた脂肪は、そのままでは燃えません。まず、燃えやすい遊離脂肪酸に変化し、血液の中に流れ出します。そして、各細胞内のミトコンドリアへと流れていきます。ミトコンドリアは、エネルギーを生み出す場所です。遊離脂肪酸を燃料としてエネルギーを生み出すのです。こうして、脂肪は燃焼します。
 遊離脂肪酸は”L-カルニチン”CoQ10が不足していては、ミトコンドリアの中に入ることができません。このため、脂肪はうまく燃焼されません。
 遊離脂肪酸は”L-カルニチン”がないと、またCoQ10 が不足していても、脂肪はうまく燃焼されません。L-カルニチンはCoQ10 と一緒にしっかり摂ってこそ意味があるのです。
 この2つが不足すれば、脂質は燃焼されないことになります。
 使い切れなかった脂質は他のエネルギー源同様、中性脂肪に変えられ、体脂肪として蓄えられます。そのため脂質を摂り過ぎると肥満や脂肪肝の原因となり、さらに血液中の中性脂肪やコレステロールが増える脂質異常症や、メタボリックシンドローム、動脈硬化、心筋梗塞や脳梗塞などの原因にもなります。
 血液中に溢れる遊離脂肪酸も直接的に酸化ストレスを増加させる要因になっています。 血液中に大量の遊離脂肪酸があると、血液の酸化が亢進します。
 体内で中性脂肪・コレステロールから活性酸素により酸化した過酸化脂質は、細胞の中で新たに活性酸素やフリーラジカルを作り、更なる過酸化脂質を発生させてしまいます。
 血管内に貯まったLDLコレステロールが酸化して発生した過酸化脂質は、動脈硬化などの原因となります。
  細胞を包む膜の活性酸素産生、細胞内のミトコンドリアでの活性酸素産生も促進します。
  また、肥満化した脂肪細胞からは様々な生理活性物質(アディポカイン)や炎症を引き起こす物質(炎症性サイトカイン)が分泌されます。
 これらの生理活性物質や遊離脂肪酸などが合わさって、身体の「酸化ストレス」を促進する要因となり、全身の障害を招くことになるのです。


 体の中で消費されずに貯まった脂肪分は、プロスタグランジンの原料になります。体の中には脂肪分が余っていますから、プロスタグランジンも多く作られてしまいます。
 緊急時には、細胞が脂質を分解して、私たちの体を守る物質を作ってくれます。
 例えば、私たちの体に病原菌などが感染してしまったとき、病原菌が感染した周囲の細胞からプロスタグランジンやロイコトリエンという物質が、細胞膜の脂質から作られます。 プロスタグランジンやロイコトリエンは、病原菌を退治してくれる白血球という細胞を病原菌が感染した部位に集める役割を持ちます。オメガ6からのアラキドン酸が問題です。
 これらの「生理活性物質」は発熱や痛みを生じさせたりしてしまうことがあります。このように「生理活性物質」は相反する作用を持っています。
  女性の場合、そのため、多く作られたプロスタグランジンは、生理のときに必要以上に出過ぎて、子宮内膜に収縮しなさいと命令をたくさん送ってしまい、生理痛が酷くなってしまうのです。ですから女性の場合、脂肪分の多い食事にならないように調整すると、生理痛・頭痛を和らげることに繋がります。
  このように相反する作用を持っている「生理活性物質」の摂取アンバランスは、「酸化ストレス・炎症体質」を作る基になっています。


3.タンパク質の摂り過ぎの問題


 高タンパク・高脂肪・低食物繊維の欧米型食事は、腸内環境にとって最大の敵と言えます。ミトコンドリアが最も多く存在するのが「腸」です。ですから、腸内環境が悪化すれば、ミトコンドリアの働きは悪化することになります。


■お腹をすかせて若くなる「週末断食」のすすめ


 自由に食べ物を食べさせた猿とカロリーを70 %に抑えた猿との二つの群に分け、20 年間比較した研究があります。カロリー制限した猿は、そうでない群に比べ、生活習慣病や老年病で亡くなる数が1/3程度で、しわや白髪が少なく、目の輝きも違っていたといいます。猿は人間と最も近い動物ですので、カロリーを抑えると若々しく長寿になると考えられます。
 しかし、実際に20 年もの間、3割もカロリーを減らし続けるのは至難の業です。その後、研究は進み、総カロリーを減らすよりもミトコンドリアを増やし長寿遺伝子のスイッチをオンにすることが大切なこと、そしてミトコンドリアを増やすには、空腹感が最も重要であることも分かってきました。
 更なる実験の結果、20 年間カロリーを7割に抑え続けるのと、週2日、30 %のカロリーにすることでは同じ効果があることが分かりました。カロリー制限に捉われるとストレスに繋がりますが、毎日食事制限をしなくても、時々空腹感を味わう「プチ週末断食」をお勧めします。空腹になると体はもっとエネルギーを作らなければと認識してミトコンドリアを増やし、エネルギーを作ろうとするのです。
 難しく考える必要はありません。平日は普段通りの食事を摂り、週末の1~2日だけ3割程度のカロリーにすれば良いのです。例えば朝は野菜ジュース、昼はざるそばなどの軽食、軽めの夕食にする程度で十分です。経験者の方はいずれも体調が良くなったと言います。但し、回復期が肝心ですから、回復期にはいきなり普通の食事をせずに徐々に普通の食事レベルに戻していくようにして下さい。


カロリー制限でミトコンドリアを増やす


 カロリー制限には細胞内のミトコンドリアを増やして活性化する効果があるといいます。


 健康で若々しく長生きするためには、この「ミトコンドリア」が元気であることが重要ともいわれますから、この面から見ても、カロリー制限は健康効果が高いと考えられます。
 ミトコンドリアは細胞内で、エネルギー源を作る仕事を担っています。
 私たちが食物から取り入れた糖分や脂肪などの栄養素と、呼吸で取り入れた酸素を利用して、効率的にエネルギー源である「ATP」を作りだします。筋肉に特に多く存在しています。
 お年寄りと若者のミトコンドリアを比べてみると、お年寄りの方がその量も少なく、機能も低下してます。
 私たちのすべての活動は「ATP」から放出されるエネルギーが元になってます。ミトコンドリアが活発に働いていて、しかも量が多いことが元気の秘訣ともいえるわけです。
 そして、その鍵を握るのが「AMPキナーゼ」という酵素。AMPキナーゼはATPをコントロールしているといわれます。このことは第2章で述べました。
 いつでも、体内のATP量をチェックしていて、少なくなればATP生産量を増やすように働きかけます。
 ATPが不足しているということはエネルギー不足ということです。なので、脂肪の蓄積よりも、ブドウ糖を細胞内のミトコンドリアに運んで、より多くのATPを作るようにしていきます。
 それと同時に、ATP生産工場であるミトコンドリア自体の量を増やすようにも働きかけます。


 カロリー制限をして摂取カロリーが減ると、当然、その材料であるブドウ糖(グルコース)の外部からの供給が一時的に減ってATP生産量も減ってきます。
 すると、それを感知したAMPキナーゼが活性化。この働きにより、先ほどのようにミトコンドリアを活性化させたり、量を増やしたりしていきます。
 また、カロリー制限をしていると無駄にたまった脂肪も分解されていきます。
 脂肪細胞に貯まっていた中性脂肪が少なくなっていくわけです。
 脂肪細胞は、ただ単に脂肪をため込むだけのものではなく、それ自身が生理活性物質を分泌しています。脂肪細胞に脂肪が貯まりすぎてぶくぶくになっているときは悪玉物質、脂肪が貯まっていないときは善玉物質が分泌されるようになっているのです。
 そして、善玉物質の1つに「アディポネクチン」というのがありますが、これがAMPキナーゼを活性化する働きも持っています。これも先日、詳しく述べました。
 こうしてみると、適度なカロリー制限をすることは、二重にも三重にもいい効果が得られると考えられます。
 そういえば、女優の黒木瞳さんも、以前、笑っていいともに出演されていたときに、美しさの秘訣をタモリさんに聞かれて、「腹八分目とミトコンドリアを増やすこと」というのを言われていました。
 適度なカロリー制限「腹八分」をして、結果ミトコンドリアが活性化し増えてもいます。 その結果が、今の黒木さんの若々しさ、美しさに繋がっているのかもしれません。あの美しさをみれば、非常に説得力のある考え方です。


  以上のように食べ過ぎ・過食はミトコンドリアの機能低下をもたらします。