アイスクリーム頭痛とは
夏の暑い日に、冷たいものを急に飲み込むと数秒後に頭痛がこめかみ、側頭部に起こります。刺すような、「脳が凍るような」、ときに脈うつ頭痛で、ひどい頭痛は10~30秒間も続きます。ただ、2~5分以内には必ずおさまります。喉(のど)の中央で飲み込むとこめかみに頭痛が、喉の片側に寄せて飲み込むとその側に頭痛がします。日本ではかき氷を食べたときに起こりやすいようです。氷をひとかたまりで一気に飲み込むと喉全体への強い冷刺激となり頭痛が生じます。3割以上の人が経験しており、とくに男の子(中学生に)多いことが報告されています。多くの人はつらい体験から、その後かき氷は注意深く食べているようです。
アイスクリーム頭痛の機序ですが、研究は少なく.理由は2つ考えられて,(1)短時間で消失してしまうため研究しにくいことと,(2)健康に悪い影響を残さないため,研究者に研究意欲が湧かないためと思われます.このため2つの仮説があります。
以下は、頭痛専門医の一般的な・普遍的な見解です。
1.2つの勘違い説(関連痛)
2つの勘違いが原因と言われています.つまり,刺激が強すぎて,三叉神経や舌咽神経における温痛覚の勘違いが生じるという,冷たさを痛みと間違ってしまう勘違いと,その痛みの部位まで間違ってしまうという勘違いです.
喉の奥の冷たい刺激がこめかみに痛みを生ずるのは、「関連痛」というメカニズムにより説明さています。
冷たさのレセプターと痛みのレセプターは別で、それぞれの感覚は異なったレセプターからの神経線維を経て脳に信号が伝えられます。ただ、人の痛みと冷たさ(温度)の感覚は同じ神経線維で伝わります。また喉からの感覚とこめかみからの感覚はいづれも、脳幹の三叉神経核という場所で同じように神経を乗り継いで脳に伝達されます。通常は、異なった種類の感覚と異なった出現部位はそれぞれ識別されて脳に伝わっていきますが、強い刺激が急に加わったときには感覚信号の伝達に混線が起こります。強い冷たさで喉の奥全体が刺激されると、冷たさを痛みとして感じます。さらに刺激が脳に伝わる途中でこめかみや頭からきている神経や耳からくる神経と混線し、のどの冷たさがこめかみや耳からの痛みと錯覚されます。このように内臓の痛みを体の他の部位の痛みとして感ずる現象は関連痛あるいは放散痛と呼ばれ、胆のうの痛みが右肩の痛みとして感じられることなどが良く知られています。頭部の血管の痛み、筋肉の痛み、皮膚の痛みはいずれをも三叉神経により脳に伝えられるため、痛みが伝わる途中の三叉神経核(中継所)で混線が起こることがあります。アイスクリーム頭痛がときに脈うつ頭痛と感じられる理由と考えられています。
2.血管における炎症説
喉元が急激に冷やされると,解剖学的に近い位置にある頚動脈も急速に冷却され収縮し,その後,身体は体温を維持しようと血流を増やし,逆に血管が伸展します.その際に血管の軽い炎症が一時的に生じます.言い換えますと,血管の急速な収縮と拡張により,炎症性物質が放出され,それが血管や硬膜などの血管周囲に分布する三叉神経を刺激し神経原性炎症を起こすという説です.これは片頭痛における三叉神経血管説と同じです.事実,アイスクリーム頭痛と片頭痛との関連が推測されていて,片頭痛患者ではアイスクリーム頭痛が多いという論文もあります.
結局、口腔粘膜の上のほうにある三叉神経の情報の読み違いというのです。
予期しなかった冷たい刺激が急に口の中に入ってきたときに、「冷たい」と伝えなければいけない情報を三叉神経が間違えて脳に「痛い」と伝えてしまうために頭が痛くなるというのです。
アイスクリーム頭痛は片頭痛のある人に起こりやすいようです。片頭痛のない人は3割で起こるのに対し、片頭痛のある人では7割に起こると報告されています。
このように頭痛専門医は、アイスクリーム頭痛の発生機序を説明されます。
どのように考えるべきでしょうか
先程述べましたように、片頭痛のない人は3割で起こるのに対し、片頭痛のある人では7割に起こると報告されています。起こり方として、三叉神経への刺激が引き金になっていることです。そして、かき氷・アイスクリームを食べたからといって全員に頭痛が起きる訳ではありません。片頭痛のない人は3割に対し、片頭痛のある人では7割ということは何を意味しているのでしょうか? 片頭痛のない人と片頭痛のある人は、謂わば連続しているものと考えるべきと思われます。片頭痛のある人でも、全員が起きるわけではありません。片頭痛のある人の場合、かき氷・アイスクリームを食べるという”三叉神経への刺激”が引き金となっていますが、これだけで起きる訳ではなく、これ以外の要因としての”準備状態”が根底にあって、かき氷・アイスクリームを食べるという”三叉神経への刺激”が引き金となって「頭痛」を引き起こしていると考えるのが妥当と思われます。
片頭痛のない人の場合、三叉神経核への刺激を引き起こす要因(例えば、ストレートネックを元々持っていて、”常時、三叉神経核が刺激”されているというようなこと)が存在するところへ かき氷・アイスクリームを食べるという”三叉神経への刺激”が追加され、これが”引き金”となって「頭痛」を引き起こしていると考えるのが妥当と思われます。 こうした場合での頭痛は、極く短時間であり軽くて治まってしまいますが、片頭痛のある方では、こうした要因以外に、「ミトコンドリアの働きを悪くする要因(例えば、マグネシウム不足)」「脳内セロトニン低下をもたらす要因」「体の歪み(ストレートネック)」などの諸々の要因が重なり合って関与していると考えるべきであり、 かき氷・アイスクリームを食べるという”三叉神経への刺激”が引き金となって「頭痛」を引き起こされた場合、片頭痛のない人に比べ、頭痛の程度も酷く、時間も長く、場合によっては「片頭痛そのもの」を誘発してくる場合も日常経験されるところです。
このように考えるなら、かき氷・アイスクリーム頭痛は、片頭痛のない人の場合と片頭痛のある人の場合とは、謂わば連続しているものと考えるべきと思われます。分かりやすくいえば、頭痛の持続時間で(アイスクリーム頭痛では10分以内に治まる)便宜的に分けているだけのことであり、長時間に渡れば片頭痛と診断しているに過ぎません。頭痛の起こり方を考える場合には本質的でないということを意味しています。国際頭痛分類というのは、このように便宜的に無理矢理分類していることから、本質的なことを見ていないということです。
このことは、以前にも記載した通りで、繰り返しに過ぎませんが・・
http://ameblo.jp/yoyamono/entry-11945074486.html
以上のように、アイスクリーム頭痛を考える場合、その根底には、以下のような要因の存在を念頭におく必要があるということです。
1.ホメオスターシス・・ストレスの関与
2.免疫(腸内環境)の関与
3.生理活性物質との関与・・脂肪摂取の問題
4.体の歪み(ストレートネック)の関与
5.セロトニン神経系の関与・・脳内セロトニン
6.ミトコンドリアの関与
このような要因が”準備状態”として、あらかじめ存在していることを考えなくてはなりません。こうした要因の重なり方は”ひとそれぞれ”ということになります。
このように寒冷刺激によって引き起こされるもので、アイスクリームそのものの成分によるものではありません。