片頭痛は人生の「1コマ」の”症状”に過ぎない 第2弾 | 頭痛 あれこれ

頭痛 あれこれ

 「慢性頭痛」は私達の日常生活を送る際の問題点に対する”危険信号”です。
 このなかで「片頭痛」は、どのようにして引き起こされるのでしょうか。
 慢性頭痛改善は、「姿勢」と「食生活」の改善がすべてであり、「健康と美容」のための第一歩です。

 女性の一生は、女性ホルモンに支配されていると言いますが、“女性の頭痛も女性ホルモンにかなり支配されています”。
  エストロゲンが急に変動することで、脳の血管や脳内物質のセロトニンに影響を及ぼして、頭痛が起こりやすくなります。
  このように、女性ホルモンのエストロゲンの影響があげられます。
 そして、女性の片頭痛は、思春期に初潮が始まる頃から出現し、更年期に入って、女性ホルモンのエストロゲンの分泌が次第に減少し、最終的に分泌の終了する老年期になって、片頭痛は消滅していきます。
 老年期では、緊張型頭痛のみになります。
 ということは、更年期以降、なお35年前後「片頭痛なし」で生活していくことになります。これ以降の生活が生死を分けることになります。


 一方、ミトコンドリアの働きは私達が生きるためのエネルギーを産生することです。
 私達のエネルギー産生は解糖系とミトコンドリア系の2つがあり、この2つのシステムを使い分けることで、外界の様々な環境に適応して生きています。
 そして、年齢によっても以下のように変化します。

 

  ・20歳位までは、解糖系が優位
  ・20~50歳代:解糖系とミトコンドリア系の比率が1対1
   (年代により、多少の比率は変わります)
  ・40~50歳代:解糖系からミトコンドリ系への移行が強くなります。
  ・60歳代以降:ミトコンドリア系が主体

 

 ミトコンドリアのエネルギー産生は、思春期にある20歳以下では、解糖系が優位になっており、20歳から40歳の成熟期では、ミトコンドリア系と解糖系は1:1の同比率になり、更年期に入ってからはミトコンドリア系への移行が強くなり、60歳になりミトコンドリア系が主体になってきます。
  20歳から40歳の成熟期では、女性ホルモンのエストロゲンの分泌も安定し、ミトコンドリア系と解糖系は1:1の同比率になり、片頭痛発作を繰り返すことになります。
 それは、生理時と排卵期に女性ホルモンのエストロゲンの分泌が低下することによって、「脳内セロトニンが低下する」ことによって、片頭痛発作を引き起こしてきます。
 さらに、この時期では、ミトコンドリア系と解糖系は1:1の同比率になっており、解糖系が働きやすい「低酸素」「低体温」「高血糖」の環境下に置かれると、ミトコンドリア系が働かなくなって、片頭痛発作を引き起こしてきます。


 思春期や更年期は、エストロゲンの分泌が安定しておらず、エネルギー産生系も一定していないため、片頭痛の起こり方も変わってくることになります。
 このように、60歳を過ぎますと、女性ホルモンのエストロゲンの分泌が止まり、エネルギー産生系がミトコンドリア系が主体になって、片頭痛は終息してきます。
 このように、60 歳以降では、片頭痛は、男性・女性ともに消滅し、緊張型頭痛だけが残存することになります。それは、「体の歪み(ストレートネック)」が生涯を通じて継続しているからです。
 ということは、片頭痛は、女性では、思春期から更年期までの間、男性では、20 歳以降 60 歳までの約40年間だけの人生の1コマだけに出現するものです。
 生涯を通じて、診られるものではないということです。

 ただ、生まれつきミトコンドリアの働きが極端に悪ければ、小児期から診られることもあり得るということです。


 ところが、60 歳を越えても、ミトコンドリアの機能を悪化させるような以下の要因が継続すれば、「酸化ストレス・炎症体質」が残存することにより、「後天性ミトコンドリア病」である現代病の生活習慣病、がん、認知症を引き起こしてくることになります。
 ミトコンドリアの機能とセロトニン神経系の機能は連動していることから、セロトニン神経系の機能を悪化させる要因、例えばストレスが持続的にが加われば、「脳内セロトニンの低下」がもたらされることによって、緊張型頭痛やうつ状態にまで進展することになります。 


 ミトコンドリアの機能を悪化させるような要因としては・・


   1.生活習慣の問題
 

       睡眠不足
       運動不足
        食べ過ぎ・過食
       早食い・ドカ喰い・・インスリン過分泌
       薬剤による影響・・とくに市販の鎮痛薬

 

  2.食事内容の問題
 

      マグネシウム不足
       必須脂肪酸の摂取のアンバランス 
       鉄不足
         食生活の欧米化・・腸内環境の悪化

   
 1.生活環境の問題


      活性酸素    野菜不足・・抗酸化食品の摂取不足
       有害物質

 

 こうしたことから、60 歳までの片頭痛が消失するまでの間に、こうした「ミトコンドリアの機能を悪化させるような要因」をすべてなくしておかなくてはなりません。
 これが、後の「後天性ミトコンドリア病」である現代病の生活習慣病、がん、認知症の予防に繋がってくることになります。

 片頭痛は”未病”の段階にあるもので、最終段階は「後天性ミトコンドリア病」である現代病の生活習慣病、がん、認知症です。
 片頭痛とは、この途中の段階にある、いわば”症状”に過ぎないものです。
 すなわち、「健康的な生活」が送れていないという警告信号である”症状”として、”片頭痛という症状”で、危険信号を発しています。
 言い換えれば、「治癒反応」として、片頭痛発作を起こしているのです。
 専門家達は、片頭痛に対して、トリプタン製剤の服用を勧めます。
 ところが、「治癒反応」である「頭痛(片頭痛)」をこうしたトリプタン製剤で「ホメオスターシス(自然治癒力)」を一方的に抑え込むことによって、「治癒反応」が停止・固定され、その結果 片頭痛は慢性化し、悪化してきます。
 これが、片頭痛が慢性化する最大の原因になっています。


 このように片頭痛とは、永い人間の一生のなかの「1コマ」の症状に過ぎないものです。


 女性の片頭痛の最大の特徴は、このように、女性には「生理」があることです。
 女性には、このような「生理」があるために、逃れることのできない生理現象であるが故に、「片頭痛が不治の病」とされていた理由にもなっています。
 しかし、生理に伴う「生理痛」で女性の”すべて”が苦しんでいるとは限らないことを知っておく必要があります。


生理周期とセロトニン

 

 生理周期と片頭痛の関連は1970年代に報告され、特に性ホルモンとして知られるエストロゲンの血中濃度の変化と深く関係していることが示唆されました(Somerville, 1971)。
 エストロゲンはセロトニン合成を促進し、セロトニンは血管収縮を引き起こすことから、排卵や生理に伴うエストロゲン血中濃度の急激な低下がセロトニン濃度の低下、ひいては脳血管の拡張を引き起こすという仮説が提唱されました。


 また、卵巣切除ラットを用いた実験では、エストロゲンを補充してやることでセロトニン放出を増加、あるいは血管径を収縮させることが出来ることが示され(Pardutz et al., 2002; Mehrotra et al., 2007)、性ホルモンであるエストロゲンがセロトニンを介し脳血管径に影響を与え、生理周期に同期した片頭痛発作を誘発している可能性が示唆されました。


 セロトニン神経の起始核である縫線核にはエストロゲンの受容体が豊富であり、性周期に伴う気分の変動についても、エストロゲン濃度の変動が影響していることが考えられます。


生理周期と片頭痛発作


 女性ホルモンのエストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)は、月経周期でその分泌量は大きく変わります。
 特にエストロゲン(卵胞ホルモン)が減ると、それに伴って神経伝達物質であるセロトニンも急激に減ります。
 その時に頭の中の血管が拡張することで片頭痛が起こると考えられています。このエストロゲンが減少するのが排卵日や生理の初日前後です。
 つまり排卵日や生理の初日前後にはエストロゲンが減少するためにセロトニンも減少→頭の中の血管が拡張して片頭痛が起こりやすいということなのです。

 女性は健常男性より 約52% 脳内セロトニンを産生する能力が低く、またセロトニンの前駆物質であるトリプトファンが欠乏すると、女性では脳内セロトニン合成が男性の4倍減少する、と言われています。


 このため、だいたいこうした時期は、女性の場合、初潮を迎える13歳頃に一致します。 こうした年代に女性の場合は、片頭痛を発症してきます。
 エストロゲンが低下することでセロトニン神経の機能が低下し、脳内セロトニン濃度が低下すると考えられています。


 このように、排卵や月経に伴うエストロゲン血中濃度の急激な低下がセロトニン濃度の低下、ひいては脳血管の拡張を引き起こすことが指摘されています。


 これが、片頭痛の発作を引き起こすと考えられています。

 このため、片頭痛は男性より女性に多い頭痛なのです。

 

 


 女性のライフステージからみた片頭痛


 以上のように、女性ホルモンのエストロゲンの影響があげられます。エストロゲンが急に変動することで、脳の血管や脳内物質のセロトニンに影響を及ぼして、頭痛が起こりやすくなるのです。片頭痛と気づかずにいる人も少なくありません。生理時に頭痛が起こると、生理痛と思って我慢している人の中に、実は片頭痛の人がいます。
 同様に、更年期障害と思っていても、実は片頭痛ということもあるのです。
 女性の一生は、女性ホルモンに支配されていると言いますが、“頭痛も女性ホルモンにかなり支配されています”。
 初潮から、妊娠、出産、更年期、閉経と、女性ホルモンの変動がある時期に、片頭痛が増加・減少する傾向があるからです。


 受験、就職、結婚、育児、仕事と家庭の両立、子供の独立、親の介護、夫の定年…、と女性のライフステージのポイントとなる時期が、女性ホルモンの変動する時期と重なることもあり、片頭痛が起こりやすく、女性を悩ませているのです。


 このように、女性は、男性よりも片頭痛に悩みやすいという特性があります。
 同じ痛みのようでも、小児から更年期まで大きな変化に富むライフステージが進んでいくに従い、片頭痛の内容は変化していきます。
 ここでは、片頭痛に悩む女性がたどりやすい、症状の変化を説明します。


【初潮から14歳頃まで】


月経周期に関係した片頭痛が始まる


 片頭痛は、初潮を迎える12歳頃から増加し始め、14歳ごろには“魔の14歳片頭痛”と呼びたいほど、頭痛症状が”一度”悪化します。
 これは生理周期による片頭痛に加え、友人関係や高校受験などの要因が加わるためです。 メンタル面の病気を気にしながら、片頭痛の治療をすることが重要です。
 これは「脳内セロトニンが低下」するために、悪化します。

 この思春期の 20 歳位までは、エネルギー産生系は解糖系が優位になっていることを忘れてはなりません。
 この時期はミトコンドリア系は優位になっていませんので、セロトニン神経系も脆弱な状態にあり、ストレスの影響をダイレクトに受けることになります。
 ですから劣位にあるミトコンドリアを保護するためにも、規則正しい生活が求められ、睡眠時間を減らさないことです。これが原則です。


【学生時代から社会人へ】


仕事は待ってくれない!鎮痛薬を多用する人も


 18歳頃には片頭痛はいったん落ち着き、学生時代は生理時の片頭痛が主となり少し一段落します。
 卒業して社会人になるとまた悪化します。月経周期による片頭痛に加え、生活リズムの乱れ、ストレスなどによる片頭痛が加わり、「仕事を休めない!」と鎮痛薬を多用するようになってきます。このような安易な市販の鎮痛薬の服用は、後天性ミトコンドリア病を作る根源にもなっています。
 結果、鎮痛剤を連用する薬物乱用による片頭痛が激増していきます。


【20代後半〜40代前半】


家事、育児、仕事・・・片頭痛が悪化しやすい時期


 結婚後は、自分の事だけで無く家事も増え片頭痛を悪化させる要因が増えます。しかし妊娠すると片頭痛の頻度は減少し、全く無くなる人も。つかの間の平穏が訪れます。
 出産後は、授乳による睡眠の分断、ホルモンの影響により、頭痛が再発して悪化。
 子育て中は、旦那さんは夜遅く帰ってきて、お弁当や行事などで早起きが必要に。
 行事も目白押しで忙しくなると同時に、睡眠不足になりやすくなります。睡眠不足は、”確実に”ミトコンドリアの機能を悪化させます。
 生理による片頭痛も悪化しやすい年頃なので、頭痛の頻度が加速度的に増加します。
 片頭痛は、音や光などの外界の刺激に過敏になり、いつもはかわいい子どもの声すらも、つらく感じることも。片頭痛の頻度を減らさないと、自分を責めたり追い詰めてしまったりすることになりかねません。


  この 20 ~45 歳代はエネルギー産生系は解糖系とミトコンドリア系の比率が1対1になっており、解糖系が同比率で働いていますが、解糖系が働きやすい環境である「低体温、低酸素、高血糖」の状況になることによって、この年代では片頭痛発作を繰り返すことになります。


 女性は月経の出血により鉄分が少しずつ失われていくことで鉄欠乏性貧血になる人が多く、20代、30代、40代と年齢が高くなるにつれて貧血の人が増える傾向にあります。40代になると女性の約3割が貧血になっています。
 体内で鉄が減少すると、貯蔵鉄であるフェリチンが使われ減っていきます。フェリチンが不足すると血液中の鉄分も徐々に不足し、最後にヘモグロビンが減少し貧血が起こります。
 貯蔵鉄のフェリチン、理想値は100~300 で、男性の99.9%はフェリチン100以上です。 50歳以上の女性の80%はフェリチン100以上です。
 しかし、15~50歳女性の80%はフェリチン30以下の鉄不足で、40%はフェリチン10以下の深刻な鉄不足です。
 鉄欠乏性貧血にまで至らない鉄欠乏状態である方々は成人女性の約40%存在します。


 鉄不足ですと電子伝達系の機能が低下し、十分なATPが産生できません。
 このように、鉄不足はTCAサイクルや電子伝達系での反応が進みにくいため、エネルギー不足で疲れやすい、強い冷え症などの症状が発現し、また脂肪が燃えにくくなります。
 このように、鉄分の不足は、ミトコンドリアのエネルギー代謝がスムーズに行かなくなるため、片頭痛を引き起こしやすくなってきます。


 私達の体には活性酸素を取り除く手段として、「抗酸化物質」が備わっています。
 このなかで、スーパー・オキサイド・ディスムターゼ SODの産出能力は25歳から下降しはじめ、40歳を過ぎて急速に低下することが分かっています。
 コエンザイムQも同様に40歳を境に減少してきます。


【更年期、そして閉経へ】


片頭痛が去っても、頭痛に伴う症状が残る!?


 閉経を迎えると片頭痛は次第に減っていきます。しかし鎮痛剤の連用を続けたまま更年期へと突入する人も多く、もともとは片頭痛の合併症だったはずの、肩こり、めまい感、不眠など、“もやもや”した症状が続く状態になります。
 頭痛は弱いけれど連日で、時には朝から痛むといったものに変化します。
 これは片頭痛に伴う症状(随伴症状)の方が「頭痛の痛みよりも目立つ状態」ともいえます。
  これは「体の歪み(ストレートネック)」が長期間に渡って放置されたためです。
 そして、エネルギー産生系も、更年期になってきますと、解糖系からミトコンドリ系への移行が強くなります。
 更年期の片頭痛は少なくなるものの、「女性ホルモンの減少」や「体の歪み(ストレートネック)」ストレスによる「脳内セロトニンの低下」の要因が関与するために、悪化してくる場合も多いのが実情です。
   そして、閉経を迎えるとやっと、片頭痛は次第に減っていきます。
 これは、エネルギー産生系の解糖系が殆ど働かなくなるためです。

 

 


月経関連片頭痛・・生理に関連して起きる頭痛


女性の片頭痛には、生理周期が影響


 毎月、生理がくる前に頭がズキズキ痛くなり、生理が始まると、おなかが痛む生理痛に加えて頭も痛くなるという人が多いのではないでしょうか。
 これを「月経関連片頭痛」と呼びます。排卵期と月経の間、生理の前後は、エストロゲン(女性ホルモン)が減るため、片頭痛が起こりやすくなります。


生理中の頭痛は、生理痛の一種じゃない!


 生理が始まると、腹痛に加えて、頭が痛くなる人が多くみられます(生理前2日ぐらいから、生理後7日ぐらいまで)。この頭痛を「痛み止めが効く生理痛(腹痛)と同類の痛み」と思い込んでいる人が多く、市販の鎮痛薬を飲み、効かなくても我慢してしまっている人がたくさんいます。
 生理時の頭の痛さは立派な「片頭痛」です。痛み止めが増えてしまったり、効かなくなったり、寝込むようになったりした時には片頭痛用の薬が必要です。
 痛み止めが効く腹痛とは別の対処をすることが必要です。


 女性の片頭痛患者さんの約半数は片頭痛発作が生理と関連して起こるということを自覚され、実際に頭痛ダイアリーで確認しますと、生理2日前から生理中に片頭痛が起こることが多いとわかります。生理に関連して起こる片頭痛発作は、痛みが強く薬が効きにくかったりします。しかし、生理前に頭痛があるとPMS(月経前症候群)と診断され片頭痛としての治療がなされていないことも多いです。また、患者さん自身も生理中に起こる片頭痛をいわゆる「生理痛の一部」と思ってあきらめていることもあります。
 このように片頭痛の大家とされる専門家は申されます。


妊娠中と片頭痛


 妊娠との関連ではエストロゲンとセロトニンという女性ホルモンが片頭痛と関係しています。エストロゲンは排卵や月経で量が減少します。この急なホルモン変化にセロトニンも連動して片頭痛を引き起こします。
 排卵や月経が停止する妊娠中はエストロゲンの増減が目立たないので、片頭痛も減少します。出産後にまた排卵がはじまると片頭痛も復活してしまうケースが多いようです。特に20~40代は痛みがピークに達しやすく、妊娠や子育て中に片頭痛が続くと疲労が増します。


 妊娠中(とくに後期)はホルモンが安定するために片頭痛から開放されます。


一般的に、妊娠中や授乳期には頭痛が軽くなります


 女性の片頭痛の患者さんでは、妊娠すると約80 % の人で頭痛が軽くなることが知られています。
 どのように軽くなるかといいますと、頭痛の程度が軽くなる場合と、頭痛の回数が少なくなる場合がありますが、80 % のうち過半数の人では、妊娠中にはまったく頭痛が出なくなってしまいます。妊娠のごく初期にはいくらか頭痛が残ることがありますが、中期以降になると非常によい状態が続きます。
 しかし、つわりが強い人の場合には、よい状態になったのはつわりが治まったせいなのか、頭痛が治まったからなのかよくわからないと答える人もいます。
 出産を終えると、早い場合には、出産のあとすぐに激しい頭痛が出てしまうこともあります。約半数の人では、出産をきっかけにして頭痛が復活します。 この場合、一般的には妊娠前に比べていくらか頭痛が強くなります。
 残りの半数の人では、授乳期の間は頭痛が軽い状態が続きます。しかし、妊娠前よりはよいのですが、妊娠中に比べるといくらか強い頭痛が出る傾向があるようです。そして授乳期を終えると、また頭痛が復活します。この場合も、出産直後から復活する場合と同様に、妊娠前と比べると頭痛が強くなることが多いようです。


妊娠中に片頭痛を起したら…


 程度や頻度が軽くなるとは言っても、妊娠中にも片頭痛は起こります。
 しかし妊娠中の片頭痛には困った点があります。
 それは、薬が使いづらいということです。
  妊娠期間によって胎児への影響の度合いは違いますが、特に妊娠初期の2か月目は、胎児の器官形成時期となるため薬は控えておいた方がよいでしょう。
 妊娠後期になると胎児の催奇形性はありませんが、胎児毒性が問題となるので、やはり控えるべきでしょう。
 では、実際に発作が起こってしまったらただ過ぎるまで耐えるしかないのでしょうか?
 医師に指示を仰ぐ必要がありますが、妊婦における片頭痛発作には、カロナール等のアセトアミノフェンなら認められることが多いです。
 医師から許可が出た薬を使い、症状が増悪しないように部屋を暗くして、安静にしましょう。
 また、妊娠期間中だけでなく出産後にも主な片頭痛薬であるイミグラン・ゾーミッグ・マクサルトといったトリプタン製剤は、使用が制限されています。
 使用後は24時間あけて授乳するようにという指導がされており、片頭痛はできるだけ起こさないように予防したいところです。
  特に妊娠中から出産後は身体の変化だけでなく、夜中の授乳等の育児による心身へのストレスも加わるため、規則正しい生活を送り十分な睡眠をとることが難しくなります。
 しかし、一度発作を起してしまうと薬は使いづらいので、家族の協力を得て、できるだけ日常生活にも気を配りたいところです。


授乳期の片頭痛


出産後のホルモンと、睡眠不足が原因


 出産するとそれまでホルモンを作っていた胎盤が失われ、体内のホルモン環境が激変。 子宮を収縮させ、母乳の分泌を促し、赤ちゃんへの愛情を増進するオキシトシンとプロラクチンというホルモンに主役が切り替わります。こうしたホルモン環境の変化が、片頭痛を再発・悪化させます。
 また2〜3時間おきの授乳でまとまった睡眠がとれず、睡眠リズムの崩れにつながることも要因のひとつです。


 母乳育児中は夜も授乳があり、十分に休むことができません。
  睡眠不足は、ミトコンドリアの働きを悪化させる最大の要因になっています。
 睡眠不足やストレス、体の疲れなどは、頭痛を引き起こす原因になります。
 産後のホルモンバランスの乱れや骨盤のゆがみ、肩こりなどの影響もあるでしょう。
  特に、授乳中に前屈みの姿勢になり、おかしな姿勢を強いられることになり、元々「体の歪み(ストレートネック)」が存在すれば、こうした前傾姿勢は知らず知らずのうちに後頸部の筋肉に負担をかけることになります。
  このため、後頸部筋肉群にかかった刺激は常時、三叉神経核に送られ続けられることになります。これが慢性頭痛、とくに片頭痛を引き起こす原因になってきます。


 近年、オキシトシンという神経伝達物質が注目されています。


 オキシトシンは愛情ホルモンまたは幸福ホルモンを呼ばれており、この物質が十分に分泌されていると、心が満たされ幸せな気分になります。
 哺乳類だけが持っている物質と言われています。
  特に、女性が出産する時に、陣痛を促進させるためにも分泌されます。母乳の分泌も促進します。子供に愛情を抱き育むためには欠かせないホルモンです。
 家族愛、夫婦愛、親子愛、カップル間の愛情など、心の中で愛情を十分に感じていると、オキシトシンは分泌されます。オキシトシンを活性化するには、愛情を育む、人に親切にする、感情を率直に表す、などが効果的です。


 このようにオキシトシンは、セロトニンと同様に、快適な生活を送るために必要なホルモンになっています。


授乳期の片頭痛の対策


 赤ちゃんに授乳をしている女性は葉物野菜やマグネシウム入りのミネラルウオーターを積極的に飲んで、片頭痛を和らげています。


 アスピリンを含有した鎮痛剤や、エルゴタミン製剤は使えません。
 授乳中は、産科から処方されるアセトアミノフェンで対応していきます。
 あまりに片頭痛が酷い場合には、トリプタン製剤(スマトリプタン)を服用します。
 服用後12時間は搾乳(12時間が経過すれば母乳中にはほとんど検出されません)、その間は人工乳にします。
 通常はアセトアミノフェン、ひどいときにはスマトリプタンという方法も良いでしょう。
 授乳中の母親が頭痛で病院を受診すると「カロナール」という薬がよく処方されます。
 「カロナール」は、乳児の解熱剤としてもよく使われる薬です。カロナールの有効成分「アセトアミノフェン」は胃の副作用が起きにくく、赤ちゃんでも授乳中ママでも服用OKとされています。
 「カロナール」は小児科で処方してもらうことができる薬です。赤ちゃんが小児科を受診した際に、ママの頭痛について先生に相談してみるのも1つの方法です。


 薬の服用以外では、マグネシウムが有効です。緑の葉物野菜を食べたり、マグネシウムが豊富に含まれるミネラルウオーターを飲んだりすることで痛みを和らげることができます。


更年期の頭痛


 女性の閉経の前後5年間(約10年)のことを「更年期」といいます。更年期の女性の体は、卵巣の機能が低下し、女性ホルモンであるエストロゲンの分泌量が急激に減ります。
 このエストロゲンの急激な減少によって引き起こされる症状は「更年期障害」といわれ、「顔のほてり(ホットフラッシュ)」「動悸・息切れ」などの身体的な症状と、「疲れやすい・憂うつ」「もの忘れ・神経質」などの精神的な症状があらわれるようになります。
 これらの症状は40歳から60歳頃にみられるものですが、近年では若年の傾向にあります。また、症状の種類や程度、時期がさまざまですので、自分が更年期障害であることに気づかない場合もあるようです。
  女性に頭痛が多いのは、女性ホルモンのエストロゲンの影響があります。エストロゲンが急に変動することで、脳の血管や脳内物質に影響を及ぼして、頭痛が起こりやすくなります。


 女性の一生は、女性ホルモンに支配されていると言いますが、“頭痛”も女性ホルモンにかなり支配されています。
 初潮から、妊娠、出産、更年期、閉経と、女性ホルモンの変動がある時期に、片頭痛が増加・減少する傾向があるからです。
 受験、就職、結婚、育児、仕事と家庭の両立、子供の独立、親の介護、夫の定年…、と女性のライフステージのポイントとなる時期が、女性ホルモンの変動する時期と重なることもあり、片頭痛が起こりやすく、女性を悩ませているのです
  50代で更年期を迎え、頭痛がひどくなる人もいます。
 更年期世代の女性に多いのは片頭痛と緊張型頭痛です。


女性ホルモンの低下と更年期障害の関係
 

 女性ホルモンのエストロゲンは、子宮に作用して月経を起こす、脳の視床下部の体温調節中枢などに作用する、骨を作る働きを促進する、活性酸素を消去する、心臓や血管に作用する、皮膚に作用してシミのない弾力のある肌を作るなど、身体のさまざまな部位に作用しています。そのため、エストロゲンが減ることで生じる更年期障害は生理不順、ホットフラッシュ、関節痛、不眠・憂うつ、動悸、シミ・たるみと、さまざまなのです。


なぜ更年期の重い人と軽い人がいるのか


「顔のほてり」や「うつ状態」を引き起こす活性酸素


 更年期障害の発症には、女性ホルモンであるエストロゲンの急激な減少が深く関与しています。さらに、年齢的には子供の反抗期や受験、結婚といった家庭の問題や、仕事の対人関係などの心理的なストレスがかかる時期。このようなストレスと女性ホルモンの減少が重なることで更年期の症状があらわれやすくなり、「顔のほてり」や「うつ状態」などのさまざまな症状が出てくるのです。


ストレスは活性酸素を発生させる

 
 心理的ストレスや肉体的ストレスを受けると、体内ではたくさんの活性酸素が発生してしまいます。実はこの過剰な活性酸素が更年期障害・片頭痛を引き起こす引き金となっています。しかも活性酸素の発生量の多い人ほど、更年期障害が重いといわれています。


女性ホルモンのエストロゲンは活性酸素を消す「女性の強い味方」


 エストロゲンには、活性酸素を消す抗酸化作用があります。
 女性ホルモン自身が活性酸素を減らすわけではありません。
 まず、女性ホルモン(エストロジェン)が活性酸素を減らすメカニズムですが、女性ホルモンは、活性酸素を減らす酵素を増やす働きがあるのです。
 しかも、その増やし方は巧みで、活性酸素が少なくなると活性酸素を減らす酵素を増やす働きも失われるのです。つまり、完全に活性酸素をなくしてしまうことはないのです。活性酸素には、いろいろな役割があって活性酸素を完全になくしてしまえばよいというものではないのです。うまく制御しながら活性酸素を減らすエストロジェンの働きは巧みで、そのために女性は長生きできるのです。


 エストロジェンにはもうひとつの役割、ミトコンドリアを増やす機構があります。エストロジェンはミトコンドリアに直接働きかけてミトコンドリアを増やしてくれます。


ミトコンドリアの働きを悪くする「活性酸素」
 
 活性酸素は、体内に入り込んだウイルスや細菌をやっつけ、殺菌する役割を持ちます。
 一方で細胞を酸化させ老化促進や健康トラブルにつながるデメリットも持ち合わせます。
 ミトコンドリアは、その活性酸素の生産源として注目されました。
 私達が呼吸した際に取り込む酸素の90%以上が、ミトコンドリアで使用されます。ミトコンドリアがエネルギーを作る過程で、酸素の一部が活性酸素に変わると考えられているのです。 皮肉なことに、ミトコンドリアから作られる活性酸素は、ミトコンドリア自身も傷つけます。傷ついたミトコンドリアは働きが悪くなるだけでなく、より多くの活性酸素を作るという悪循環が生まれるのです。


 女性ホルモンがミトコンドリアの活動を助ける
 
 女性ホルモンには、活性酸素を減らすメカニズムがあることが分かっています。女性ホルモンは、活性酸素を減らすための酵素を増やす働きがあるのです。
 しかも、活性酸素が減ってくると、酵素を増やすのを止め、活性酸素がなくならないように調整してくれます。
 体を酸化させ老化を促進する活性酸素ですが、完全になくなると、体内の殺菌効果も弱くなります。そのため、上手く調整する女性ホルモンの働きではとても重要と言えるでしょう。 女性の平均寿命が男性よりも10歳ほど長いのは、すぐれた抗酸化物質である女性ホルモンの存在が役立っているのです。
 出産や閉経でホルモンバランスが崩れると、体調不良や病気になりやすいのも、そういった理由があるのかもしれません。

 女性ホルモンの抗酸化力は抗酸化ビタミンであるビタミンCやビタミンEなどよりもはるかに高く、活性酸素から女性の心と体を守る強い味方として働いているのです。
 成熟期の健康な女性はエストロゲンが十分に分泌されており、脳の視床下部などにある活性酸素はエストロゲンによって消され、増えすぎることはあまりありません。
 しかし、更年期の女性はエストロゲンの分泌量が急激に減少することによって活性酸素を消す力が弱まるため、体が活性酸素にさらされやすくなります。


顔のほてりやうつ状態を引き起こす活性酸素


 体温調節を行う脳内の「視床下部」という部分が多くの活性酸素にさらされると、ホットフラッシュを引き起こすホルモンが分泌され、顔がほてる、汗をかくなどの不快な症状があらわれます。
 脳は活性酸素にさらされると、傷ついたり、機能が低下する危険性があります。そこで、活性酸素から脳を守るエストロゲンの代わりに、活性酸素を消す「ノルエピネフリン」という物質が放出されるのですが、ノルエピネフリンはホルモン分泌を促す働きがあるため、活性酸素を消すとともに、ホットフラッシュを引き起こすホルモンの分泌を異常に増やしてしまうのです。
 さらにストレスによって脳がより多くの活性酸素にさらされると、うつ状態を引き起こすコルチゾールというホルモンがたくさん分泌されます。そして血液中のコルチゾールが高濃度のままになると、脳の機能が低下し、うつ状態に陥ってしまうのです。

 

活性酸素を消すと更年期障害は軽くなる
 

 更年期障害の女性の脳内は過剰な活性酸素にさらされていて、症状が重い方は活性酸素を消す力が低下して、脳機能の低下や調節力の乱れが生じやすくなっています。この過剰な活性酸素が、うつ状態、もの忘れ、不安感、そしてホットフラッシュなどを引き起こす大きな要因といわれています。
 従って、過剰な活性酸素を消すことが更年期障害を軽くする重要なポイントなのです。


活性酸素を消す2つの方法


●1.亜鉛・セレンを摂取して酵素の数を増やすこと


 SODやGH-Pxなどの酵素は多くの活性酸素を消すことができますが、必須微量ミネラルの亜鉛・セレンなどの摂取が不足すると酵素の数が減少します。現代人は必須ミネラルが摂取不足の傾向がありますので、亜鉛・セレンなどのミネラルをしっかり補給して酵素を増やし、過剰な活性酸素を消して更年期をさわやかに過ごすことが大切です。


●2.抗酸化物質を積極的に摂取すること
 

 最強の抗酸化物質でもある女性ホルモンのエストロゲンのように、活性酸素を消す抗酸化物質を積極的に摂取することが大切です。ビタミンCやビタミンEなどにも活性酸素を消す力がありますが、細胞内には吸収されにくく、効果が出にくいようです。
 近年カキ肉からビタミンCやビタミンEよりも活性酸素を消す能力が高く、しかも細胞内に吸収されやすい抗酸化物質「CG7」が発見され注目されています。吸収されやすい抗酸化物質を摂取し、活性酸素を効果的に消して、すがすがしい毎日を送りましょう。


エストロゲン様作用を有するもの


 イソフラボンが活性酸素を抑制. イソフラボンは活性酸素を抑える抗酸化作用と、女性ホルモンのエストロゲン様の働きがあります。イソフラボンを摂取することにより、体内の増えすぎた活性酸素が抑制され、細胞や血管の老化を食い止めます。
 イソフラボンの抗酸化作用は細胞と血管の老化を防止し、病気から体を守るほかにも、しわやたるみ、 しみなどの肌の老化を遅らせ、若々しい素肌を保つのに有効です。


 大豆イソフラボンの特徴は、女性ホルモン「エストロゲン」(卵胞ホルモン)に似た働きをし、女性の美しさや若々しさを手助けしてくれる事にあります。
 加齢とともにエストロゲンの分泌量が減少すると、やがて更年期、閉経を迎え、それに伴い、「更年期障害」と呼ばれる体と心のトラブルがみられることがあります。そこで大豆イソフラボンは、エストロゲンの不足を補い、トラブルを予防してくれるのです。


 ザクロはエストロゲン様作用を有することで注目されていましたが、抗酸化作用においても突出した活性を有することが明らかとなりました。
 ザクロ、プルーン、ブルーベリー等の抗酸化作用は、主に、アントシアニンやタンニンなどのポリフェノール類によるものと考えられます。
 
 
 このように、女性ホルモンの働きを補助するために抗酸化食品を積極的に摂取する必要があります。


女性に多い頭痛 薬物乱用片頭痛


市販の鎮痛薬の弊害


 私達は、日常的に感じる極く軽度の頭痛に対して、多くの方々は安易に「市販の鎮痛薬」を服用しています。

 
  このような日常的に感じる極く軽度の頭痛に対して、市販の鎮痛薬を服用を繰り返せばどのようになるのでしょうか。


 こうした市販の鎮痛薬すべては、人体にとっては害(有害なもの)になるのです。これらを解毒する際に、活性酸素が発生し、このためにミトコンドリアの働きを悪くさせることによって、頭痛を増強させます。すなわち、市販の鎮痛薬が原因となって「後天性ミトコンドリア病」を作ってくることになります。
 また、これら薬剤はいずれも”化学的ストレス”となって、脳内セロトニンを低下させ、”痛みの閾値”を下げるため痛みを感じやすくさせるために、さらに、頭痛を引き起こしてくることになります。


 このようにミトコンドリアと脳内セロトニンの2つのが関与して、市販の鎮痛薬によって、「薬物乱用頭痛」を引き起こし、かえって頭痛を酷くさせる原因になってきますので注意が必要です。
 こういったことから、頭痛治療は、”薬剤乱用頭痛との戦い”といっても過言ではありません。このような”頭痛薬によって頭痛が引き起こされてくる”というジレンマがあることを知っておく必要があります。
 このため、「日常的に感じる極く軽度の頭痛」に対して、日常的にテレビで宣伝される通りに、市販の鎮痛薬を服用し、これまで述べてきましたような慢性頭痛の要因を念頭に置くことなく、お茶を濁しておれば、必然的に、頭痛は着実に増悪の”みちすじ”を辿ることになります。
 ここに、ご家族に片頭痛持ちの方がいらっしゃれば、確実に「片頭痛」へと移行していくことになってしまいます。


 まとめ

 

 以上、生理に関連して起きる片頭痛は、月経時のエストロゲンの低下に伴う脳内セロトニンの低下が主要因になっています。月経時のエストロゲンの低下は、生理現象であり、どうにもなりませんので、対策として、日頃から脳内セロトニンを増やす工夫をする必要があります。
 女性は健常男性より 約52% 脳内セロトニンを産生する能力が低く、またセロトニンの前駆物質であるトリプトファンが欠乏すると、女性では脳内セロトニン合成が男性の4倍減少する、と言われていることを想い出す必要があります。
 脳内セロトニンを増やすには、セロトニン生活に加えて、食事から補うしかありません。
 その詳細は、以前にも記事にしています。
 その上で、マグネシウムの補充、脂肪を摂りすぎない、鉄不足を解消することです。
 そして、女性のすべてが、生理時の片頭痛で苦しんでいる訳ではないことを知っておく必要があります。どこかに原因があるはずです。