専門医ってこんなことするの???・・群発頭痛について | 頭痛 あれこれ

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 「慢性頭痛」は私達の日常生活を送る際の問題点に対する”危険信号”です。
 このなかで「片頭痛」は、どのようにして引き起こされるのでしょうか。
 慢性頭痛改善は、「姿勢」と「食生活」の改善がすべてであり、「健康と美容」のための第一歩です。

 先日、これまで大阪に住んでおられ群発頭痛の診断で、学会でも超有名な頭痛専門医で診てもらっておられた方が、こちらに引っ越されたことから、来院されました。
 年齢・性別は都合により伏せさせて頂きます。20年来、約3年おきに約2カ月間の群発期があるとのことでした。この群発期の間は毎日、2,3回、2時間ばかり頭痛発作に見舞われるとのことでした。ここまでは、特別なことはありませんでしたが、治療内容にはまさに驚愕させられました。


 まず、予防薬として群発期に毎回、ワソラン40mg が1錠毎食後処方されていたとのことでした。
 このため、これで効いていたのかお聞きしますと、全く発作そのものは抑制されていないということでした。にも関わらず、毎回、これが処方されるとのことでした。
 群発頭痛にこのような半端な量では効くはずはないと申し上げますとキョトンとした不思議そうな顔をされます。このお薬を使う場合、まず、この倍の量を使わなければ、まず効かないし、効かなければ、もう少し量を増やすか考えないといけないと説明し、これでダメであれば、次回の群発期には別の予防薬を考える必要があると申し上げますと、さらに怪訝な顔つきをされる始末で、群発期の予防薬はワソランだけでないと説明しました。


 さらに、驚かされたことは、発作のたびにイミグランの皮下注射を自分でされておられたようです。それも、この方は1日に3回前後発作に見舞われるため、毎回、このような高価なイミグランの皮下注射をすることが経済的に無理なため、1回だけ注射をされ、後の2回はただひたすら我慢して耐えて我慢されるとのことでした。しかし、毎日、1回は
イミグランの皮下注射を群発期が過ぎ去るまでするとのことでした。こういったことから、これまで大阪では、群発期が始まると同時に100回分のイミグランの皮下注射を処方してもらっていたということです。これで、大阪では保険請求が通っていたようです。
 しかし、和歌山県というか田辺市では、群発頭痛といえども、イミグランの皮下注射は月の2回しか認められず、これ以上処方でもしようものなら、すべて査定対象となってしまうことから、通常、2回分しか処方することはありません。このように100回分の処方を行って、98回分が査定されれば医院は潰れてしまいます。


 このように説明しますと患者さんは、逆にビックリ仰天されました。患者さんの疑問とされることは、効きもしない予防薬を飲んで、頭痛発作時に我慢しなさい、ということかということです。このため、私の方法を説明致しました。大体、群発頭痛の場合、頭痛発作の起きる時間帯は決まっていることが多いことから、頭痛の起きる時間帯を把握して、その起きると予測される1時間前に、あらかじめエルゴタミン製剤を飲んでもらえば、まず殆どは発作は抑制され、苦しまずに済む人が殆どであると説明しますと、さらに驚かれる始末です。


 そして、さらに驚かされたのは、群発期が過ぎ去った後の期間はどのような指示が出されているのかをお聞き致しました。そうしますと、群発頭痛の原因は分からないから、間歇期には、タバコとお酒は止めるようにと指示され、これを厳守されておられたようです。


 この超有名な頭痛専門医がこのようにされておられる事実を目の当たりにして、これが専門医のすることなのだろうか、と不思議な思いにかられました。まさに、「慢性頭痛診療のガイドライン」の通りにされ、決しておかしなことはされておられないはずです。
 しかし、患者さんには満足感を与えているのかどうか、甚だ疑問に思えてなりません。


 今回の学会の抄録集でも「群発頭痛の治療」についての演題がありましたが、ここでも間歇期での治療に関しては全く触れられることはありません。ここが全く疑問に思えてなりません。


 私自身、専門家ではなく、今回、専門医がどのような指導をされておられるのかを知る絶好の機会でしたので、興味深かったのですが、これが専門医のしていることかと落胆させられました。こういう、私は、どのような考えで、発作間歇期の指導をしているのでしょうか?
 私の方法は、どなたにもコンセンサスはありませんが、多くの群発頭痛の方々には支持して頂けているように思っています。その思考過程は以下のようなものです。


 群発頭痛の場合、最初は片頭痛のようなパターンをとりながら、ある時期から群発頭痛へ移行したり、片頭痛と群発頭痛との間を行ったり来たりする場合も経験されます。
 群発頭痛は「体内時計」の乱れによって起きてくることが従来から指摘されています。 体内時計は、ミトコンドリア、セロトニンと関係があります。この2つによって制御されています。こうして考えれば、緊張型頭痛・片頭痛・群発頭痛の慢性頭痛は、一連のものと考えなくてはなりません。
 慢性頭痛の患者さんで、頸椎X線検査を行ってみますと、「体の歪み(ストレートネック)」の出現率は、緊張型頭痛で84%、片頭痛で95%、群発頭痛では100%と全例にみられます。
 そして、ムチウチの事故に遭遇しますと、その後、ストレートネックが形成・増悪してきて、このために緊張型頭痛・片頭痛・群発頭痛のいずれの形でも頭痛が引き起こされてきます。
 さらに、内田信友先生は、「体の歪み(ストレートネック)」を持つ群発頭痛の患者さんに先生の考案される「頭痛エクササイズ」を毎日行わせることによって、群発期が短縮された症例を紹介されていました。こうしてみますと、群発頭痛と「体の歪み(ストレートネック)」は決して無関係とは言えないような気がしてなりません。

 さらに、当ブログでもお示し致しました、「睡眠時頭痛」の起こり方の経過は「群発頭痛」をまさに彷彿させるものです。もう一度、掲載してみることにします。


ネット上で示される「睡眠時頭痛」の典型例


 43歳の男性がズキンズキンと脈打つ頭痛に襲われたのはいまから15年前の28歳のときでした。残業や徹夜も多く、不規則な生活を送っていたことのことです。片頭痛と思い込んでいた男性は、頭痛のたびに市販の痛み止めを飲んでやり過ごしていました。
 しかし、年を追うほどに片頭痛の頻度は増加してきました。週に一度から2~3回と徐々に増えてくるようになりました。そのたびに飲む薬も、効きが悪くなってきた気がします。1日2回までの服用限度を超えて飲むのが日常になっていったのです。
 そんな日々が続くなか、片頭痛は治まるどころかむしろ悪化の一途をたどります。10年が過ぎるころには、朝起きたときから夜寝るまで、1日に何度も痛みが襲ってくるようになっていました。
 このころには1日に用量の倍の量を毎日飲み続ける状態に…。まとめ買いした1か月分の頭痛薬を、2週間たらずに使い切っていたのです。
 そして2年前、男性をそれまでなかった頭痛が襲います。仕事が早く終わって珍しく22時に床に着いた男性は、深夜2時に左目奥の激痛で目が覚めたのです。ハンマーで殴られたようなズキズキする痛みでした。
 初めて経験する痛みに慌てて頭痛薬を流し込んだ男性。やがて痛みは治まり、再び眠りに着きました。しかし、この日を境に夜中の頭痛は毎晩、襲ってくるようになります。しかもひどいときには、1晩に2回も頭痛で目覚めることがあるほどです。
 起きているときに加え、寝ているときにまで容赦なく襲ってくる痛み。睡眠不足と薬の飲みすぎも手伝って、男性は仕事中にも意識がもうろうとするようになってしまったのです。
 こうして病院を訪れてみると、片頭痛と何らかの頭痛が組み合わさっているという診断。片頭痛を薬で治療しながら複雑に入り組んだ症状を整理することになりました。
 その後、男性は1年半をかけて片頭痛を克服。夜中に目覚める頭痛だけが残りました。 そして、詳しく調べてわかった病名が「睡眠時頭痛」です。睡眠中の脳の状態をコントロールする脳幹の異常が原因といわれています。
 そもそも脳幹には、痛みを感じるとそれを抑える物質を出す役割があります。しかし市販薬を大量に飲み続けることで痛みが強制的に抑えられ、脳幹が本来の役割を必要ないものと勘違い。その機能に異常が発生したのでした。
 睡眠時頭痛とは、睡眠中に痛みで目が覚める頭痛のこと。詳しいメカニズムはまだわかっていませんが、睡眠中の脳の状態をコントロールする脳幹の異常が原因とされています。
 この男性の脳幹の異常を引き起こすきっかけと考えられるものこそ、市販薬の飲みすぎです。そもそも私たちの体は、痛みを感じると脳幹がその痛みを抑える物質を出すようになっています。
 しかし、長期にわたり用量以上の頭痛薬を飲み続けると、薬の成分によって痛みが強制的に抑えられるため、脳幹が本来の役割を必要ないものと勘違いして、その機能に異常が発生します。
 痛みを抑える物質を出さなくなるばかりか、睡眠中の脳を安静に保つこともできなくなり、ちょっとした刺激で脳が興奮。頭痛がおきて目を覚ますようになったと考えられるのです。
 そして、原因解明の決め手となったのは頭痛が就寝から4時間後におきていたこと。私たちの脳は睡眠中はおよそ2時間おきに、深い眠りと浅い眠りを繰り返しています。そして、頭痛に襲われていたのは浅い眠りのときでした。
 じつは浅い眠りのときには脳が活発に活動するため、血流が増加します。それが刺激となって、睡眠時頭痛を引き起こす一因になっていると考えられているのです。
 こうして男性には、メラトニンというホルモンの働きをよくする新しい薬を処方。睡眠中の脳の状態をコントロールするメラトニンの働きをよくして、脳に安静に保つことが睡眠時頭痛のもっとも有効な治療法なのです。

 これは、ある専門家がネット上で紹介されていたものです。コメントも同じ専門家のものです。



 目覚まし時計頭痛とは、「国際頭痛分類 第3版β版」では「睡眠時頭痛」のことです。
 目覚まし時計のように毎日決まった時間に頭痛が起きるというものです。
 若年層にはあまり見られず、患者の多くは60歳以降の方です。
 びっくりするほど正確に頭痛が来るので、最初は何事かと思う方もいるようです。
 症状は10年以上続き、夜中に目覚まし時計頭痛が起きるタイプの方は不眠症に悩まされることもあります。
 日中に起きたとしても日常生活の妨げになるのが問題です。
 頭痛の持続時間は2時間以内が一般的で、ほとんど毎日同じ時間に頭痛が起きます。
 こうしたことから、目覚まし時計頭痛という別名があります。
 目覚まし時計頭痛の原因はどうやら生体リズムと関係があるようです。
 生体リズムがある時間を刻むと血管を拡張させる働きが自動的に起きるために目覚まし時計頭痛も引き起こされると言われています。

 このように、「目覚まし時計頭痛」を専門家は考えているようです。


 それでは、「目覚まし時計頭痛(睡眠時頭痛)」は、どのように考えるべきでしょうか。


 冒頭でご紹介した方のように、片頭痛に対して、市販の鎮痛薬を頻回に服用することにその「目覚まし時計頭痛」の発症の要因があります。すなわち、この市販の鎮痛薬を頻回に服用することによる薬剤乱用頭痛に原因があります。
 こうした市販の鎮痛薬は、人体にとっては害(有害なもの)になるのです。これらを解毒する際に、活性酸素が発生し、このためにミトコンドリアの働きを悪くさせます。
 また、これら薬剤はいずれも”化学的ストレス”となって、脳内セロトニンを低下させ、痛みの閾値を下げるため痛みを感じやすくさせるために、薬剤乱用頭痛を引き起こしてくることになります。このように「ミトコンドリア働きの悪さ」と「脳内セロトニンの低下」2つのが引き起こされてきます。これが根本的な原因となっています。
 市販の鎮痛薬を頻回に服用することによって、ミトコンドリアの働きを悪くさせ、これが「セロトニン神経系」の機能まで悪くさせ、さらにこの上、”残業や徹夜も多く、不規則な生活を送っていたこと”から、セロトニン神経系の働きを減弱させ、益々、「脳内セロトニン低下」を来したと考えるべきです。このため、片頭痛が増悪するに至ったわけです。
 そして、「ミトコンドリア働きの悪さ」と「脳内セロトニンの低下」によって「体内時計が乱れてきた」と考えるべきです。
 脳幹の縫線核は、脳内セロトニンを分泌する大切な場所です。
 セロトニンを分泌する縫線核は、呼吸中枢にセロトニンを送って呼吸量を調整しています。縫線核は毛細血管中にセンサーを持っていて、血液中の酸素量などをチェックしているのです。体内の酸素量が不足したときにはセロトニンの分泌量を増やし、呼吸中枢を刺激します。
したがって、セロトニンが不足すると中枢神経を充分に刺激できなくなります。そうなると酸素不足のままか、より不足した状態におかれることになりますので、息苦しくて睡眠が何度も中断し、熟睡できないことになります。
 セロトニン神経の活動は睡眠中に弱くなり、深い眠りを演出します。朝方になるとセロトニンも増えるのです。
 問題の頭痛は就寝から4時間後に起きていました。私たちの睡眠は睡眠中はおよそ2時間おきに、深い眠りと浅い眠りを繰り返しています。そして、頭痛に襲われていたのは浅い眠りのときでした。じつは浅い眠りのときには脳が活発に活動するため、血流が増加することによって、過剰な活性酸素が発生することによって片頭痛発作を引き起こすことになり、これに脳内セロトニン不足ため、メラトニンが不足することにより、睡眠中の”中途覚醒、頭痛”(「睡眠時頭痛」)を引き起こすに至ったと考えられます。
 このように考えますと、「睡眠時頭痛」は”群発頭痛”のようなものなのかもしれません。
 そして、根源的には、片頭痛も群発頭痛も一連のものと考えるべきと思われます。


 頭痛の専門家は、冒頭でも述べましたように、このような複雑化した頭痛に対して、「頭痛ダイアリー」を患者さんに記録させることによって”謎解き”をされ、この記録をもとに、”片頭痛”とか”群発頭痛”とか”睡眠時頭痛”というように「国際頭痛分類 第3版β版」に従って頭痛診断を行い、”適切とされる薬剤”を処方するに過ぎず、頭痛そのものを”根源的に”考えようとはされることはありません。


 この症例からは、「群発頭痛」は「睡眠時頭痛」と同じような起こり方をしているのではないかと推測されます。「群発頭痛」は、従来から体内時計の乱れによる頭痛とされ、この体内時計はミトコンドリアとセロトニンによって制御されています。
 こうしたことから、群発頭痛は片頭痛の延長線上にあるものと考えております。これは、頸椎X線検査での「体の歪み(ストレートネック)」の出現率も関係しています。


 このため、まず、当医院で作成した「片頭痛の生活習慣の改善」を熟読して頂き、これまでの生活習慣の問題点を抽出してもらい、何か問題点が見つかるはずですので、これから真っ先に是正して頂くことを勧めています。そして、ミトコンドリアを活性化させ、脳内セロトニンを如何にして増やし、体の歪み(ストレートネック)を是正し、「ホメオスターシスの三角」を乱れを正すことに重点を置いてもらいます。
 この中でも最も優先課題とすることは、「体内時計の乱れ」の是正です。このため、早寝・早起きを習慣化させ、起床時には必ず5分間は太陽の光(朝日)を浴びることを日課としてもらうことです。
 これに加えて、体の歪み(ストレートネック)を是正をしてもらうことです。このためには、日常の作業環境を点検し、前屈みの姿勢を長時間持続させない配慮をして頂き、さらに「背骨伸ばしのストレッチ」と「仙腸関節のストレッチ」を毎日行って頂きます。


 このような基本的なことを「発作間歇期の間」に徹底的に実行して頂いております。
 このことで、少しずつ成果が上がってきていることが実感されてきています。


 今回の患者さんも、ご多分に漏れず、専門医からは発作間歇期の間は何もこのような指導もされることなく、いつ群発期に見舞われるのかと戦々恐々として生活され、群発期になれば幾度か自殺を考えたことがあったと述懐されていました。このような悲惨な状況にある患者さんに対して、今回の専門医のように「群発頭痛の原因はまったく不明です」と患者さんを地獄に突き落とすような言動は少なくとも慎むべきと思われます。少なくとも、現段階において、どのように対処すべきかを専門医としての指針を示すべきです。
 確かに、「群発頭痛の原因はまったく不明」であることは事実です。しかし、専門医として、自分は「群発頭痛」という頭痛をどのように考え、現段階においてはどのように対処すべきか、といった方向性を患者さんに示すのが専門医のあり方と思われます。こうした方向性は、あくまでも「これまでの経験」に裏付けられたものであることは当然です。
 しかし、今回の専門医のように「慢性頭痛診療のガイドライン」に記載されていることだけをするのであれば、一般開業医と何ら変わりはなく、余りにもお粗末としか言えないようです。そして、これまでも効果のない予防薬を延々と処方されるといった無節操ぶりは一般開業医の眼からみても甚だ疑問としか思えません。これが、専門医なのかと、今回ほど呆れかえったことはなく、腹立ち紛れに記事に致しました。
 これが専門医なのかと寒々とした思いにかられるばかりでした。これが専門医による頭痛外来の実情のようです。まさにお粗末としか言いようがないようです。

 少なくとも、専門医たるものは一般開業医からみても規範となるような頭痛診療を行うべきと常々思っており、特に当地区のように専門医不在の地域に対して、学会を主導される方々は世界のトップレベルにある頭痛診療の真髄を示すべきと考えております。