学会を主導される方々は「国際頭痛分類第3版 β版」を頭痛診療および研究の”絶対的な基準”とされます。その理由は、これを作成したのが国際頭痛学会だからです。学会を主導される方々は、日本の業績よりも欧米の論文を無条件で評価する考え方から、国際頭痛学会の先生方が述べられることは何ら検証もすることなく、エビデンスありと無条件で受け入れます。この点を理解することなく「日本の頭痛診療および研究」は理解できないことになります。しかし、国際頭痛学会とは、どのようなものかを知ることが大切になってきますが、その実態は間接的にしか垣間見れません。それを推測できるのは、「国際頭痛分類」であり、Headache Master School 2013 in Asia、Headache Master School Japan(HMSJ)しか、ありません。
国際頭痛学会とは・・
1962年に米国神経学会の頭痛分類が発表されるまで、世界共通の頭痛分類はありませんでした。それまでは各人各様の分類が勝手に使用されていたのです。それまでの頭痛分類にも「片頭痛」という病名はありましたが、どのような頭痛が片頭痛なのか定義がありませんでした。各医師の判断に任されていたのです。ですから、A医師の片頭痛とB医師の片頭痛が同じものを指すのかは、誰にもわからなかったのです。このような状況では頭痛の治療法の開発や比較研究は満足に行えません。
1988年、「国際頭痛学会」が国際頭痛分類と診断基準を発表しました。このことによって頭痛診断の国際的な標準化が行われ、診断や治療に関するデータの集積や比較検討が可能となったのです。(このことは、後ほど詳しく説明致します)
2004年には、それまでの研究の進歩とエビデンス、批判と意見を取り入れて、初版を踏襲・改良した国際頭痛分類第2版が公表されました。
2013年7月に「国際頭痛学会」は国際頭痛分類第3版(ICHD-III)のbeta版を発表しました。
国際頭痛分類の作成当初から実務に携わっているJoe Olesen氏は、「頭痛診療に携わるすべての医師が使用すべき」との見解を示されていました。
今回、国際頭痛学会理事長のDr. Alan Rapoport先生は、「国際頭痛分類第3版 β版」へと改訂されるに当たって、以下のように述べておられます。
現在、世界的に直面している問題として、頭痛診療に携わりながらも、国際頭痛分類を使っていない医師が少なくないことが挙げられます。頭痛の研究が広く行われている米国でさえです。たとえば、私たちが一般開業医を対象とした講演会等で国際頭痛分類について説明するとします。聴衆から返ってくるのは「複雑過ぎる。診療現場で活用する時間がない」という拒否反応です。
こうした状況下で国際頭痛分類を普及させるのは極めて困難です。それでも私たちは普及に努めていかなければなりません。たとえば、日本であるタイプの頭痛の研究がなされ、米国でも同様の研究を行う場合、全く同じ症状の患者を対象に研究が行われることが理想です。共通の診断基準を用いていれば、それも可能でしょう。また、同じ基準の下で診断がなされていれば、病名を知るだけで、その患者がどのような状況にあるか理解することができます。いずれにしても私が今、強く願っているのは、より多くの日本の医師に、「国際頭痛分類第3版 β版」を使用して戴きたいたいということです。
「国際頭痛分類第3版 β版」には200を超える頭痛があり、下位分類にも300以上の頭痛が収載されています。その数は膨大です。さらに、翻訳の過程で英語から置き換える適切な日本語がなく、新たな用語を作成する必要性が生じることを考えれば、作業は困難を極めるでしょう。しかし、それがなされることによって、我々は頭痛について“共通の言語”で会話することが可能になるのだと思います。
このような経緯を経て、「国際頭痛分類第3版 β版」の日本語訳が2014に作成されました。
このように「国際頭痛分類 第3版β版」を必ず、頭痛診療および研究を行う際に使用すべきとされます。この真の目的は何なのでしょうか?
このようなことは、これまでネット上では公開されており、これが全世界の頭痛の頭痛診療および研究をされる方々の共通した認識とされ、これが一般の私達にも徹底して伝えられてきたことです。ネット上では、「国際頭痛分類」が”常識”とされています。
実際には、どのようなものだったのでしょうか
寺本純先生は、その著書「こうして治す片頭痛 薬物乱用頭痛といわれたら」(講談社)で、このような「国際分類」について以下のように詳細に述べておられます。
頭痛に関する医学分類は1962年にはじめて行われました。この分類は、「アドホック委員会による分類」としてよく知られており、いくつかの病名だけが羅列されただけのものですが、はじめて世界的に頭痛を医学分類したことで画期的なものでした。
これに続いて、1987年に「国際頭痛学会」が作成された「国際頭痛分類と診断基準」は、単なる病名の羅列ではなく、診断基準をも示して一気に頭痛の診断技術の向上をはかろうとしたものでした。便宜上、この分類を”旧分類”と呼ぶことにします。
ところが、この旧分類は、診断技術の向上を図るばかりでなく、1980年代はじめにイギリスで合成されたトリプタンを意識的に評価する目的で作成されました。
このように「国際頭痛分類と診断基準」は、欧米のトリプタン製薬会社とトリプタン御用学者が作成したものです。この点が忘れてはならない重要なことです。
トリプタンが医学的に薬剤として評価されるためには、一定の基準に基づいて診断された患者のなかでの治療成績を調べなくてはなりません。
この旧分類では、片頭痛の患者であっても、さまざまな条件のためにトリプタンの処方に向かない症状を示す場合には、その患者を片頭痛とは診断できないような基準をつくってしまったのです。たとえば、ほぼ毎日のように頭痛が起きる変容性片頭痛などは、この基準に従って診断しますと、緊張型頭痛になるように仕組まれています。
しかも、この旧分類のなかには、薬剤誘発性頭痛という独立した項目が設けられています。そして、鎮痛消炎薬とエルゴタミンが薬物乱用頭痛を起こす薬剤として示され、鎮痛消炎薬なら1カ月あたりアスピリン換算で50グラム、エルゴタミンなら毎日2ミリグラム以上が、薬物乱用頭痛を招く基準量として規定されました。
ところでこの診断基準の目的は、薬物乱用頭痛を防止するためというよりも、鎮痛消炎薬とエルゴタミンを多め使っていると危険だと、暗に示唆することにありました。このような基準をみれば、普通の医師なら、それなら問題のなさそうなトリプタンを処方しよう、という気になるに違いないと見越してのことが理由のように思われます。
この当時からエルゴタミンの短所とトリプタンの長所を比較した報告が多くされていました。このような比較をすれば、トリプタンは優れている、という結果になるのは目に見えていました。こうして、トリプタンの開発国のイギリス、さらに欧州、アメリカではトリプタンが爆発的に売れました。ビートルズ旋風も去り、ロールスロイスのジュットエンジンもアメリカGE社に押されがちとなり、北海油田も限界がみえてきたイギリスにとっては、トリプタンは世界をリードする格好の商品でした。開発した製薬会社がエリザベス女王から表彰されるほど、トリプタンは国家的な製品だったのです。
1999年のバルセロナの国際頭痛学会で、初めて「トリプタン誘発性頭痛」が報告されました。トリプタンを多用しすぎるといくら飲んでもトリプタンが効かなくなる、こうした現象はイタリアで多発していました。このように、当初からトリプタンが多用される布石はありました。
それは、エルゴタミンとの比較試験を行った結果、エルゴタミンよりトリプタンのほうが有効時間が短いことが分かっており、トリプタンが体内から排出されたときには、再発性(反跳性)頭痛がおこりやすいことが、すでに知られており、再発性の頭痛が起これば起こるほど、それを抑えるためにトリプタンが使われるわけです。
2003年に、「国際頭痛学会による診断基準を伴う分類」の改訂分類が発表されました。
これを、便宜上”新分類”とします。これが2013年に改訂される前の「国際頭痛分類 第2版」の基となるものです。この新分類では、薬物乱用頭痛の基準が変わりました。
鎮痛薬については月に15日以上、エルゴタミンについては月に10日以上となり、はじめてトリプタン乱用頭痛が設けられ、月に10日以上と規定されました。名称も、誘発頭痛から多用頭痛(日本語訳では「乱用頭痛」)に改められました。
1987年の旧分類は、トリプタンを評価するために作成されたものです。はじめからトリプタンを評価しやすい診断基準をつくり、それを用いて頭痛抑制薬を評価するわけですから、トリプタンが最も優れているというエビデンスが得られるのは当たり前です。
トリプタンの使用を月10回云々と入れざるを得なかったのは、製薬会社にとっては心外でしょうが、これはトリプタンの商品価値を下げないための苦肉の策とされています。
といいますのは、トリプタンの使用を月に10回とした根拠は明確にされていません。
聞くところによれば、イタリアではトリプタンが効かなくなってしまった患者例を集計すると、月に10回以上、しかも半年~1年間服用しつづけた患者のなかにトリプタンが効かなくなった人が多かったという結果を根拠にしているように言われています。
このように寺本純先生は、「国際頭痛分類」そのものは、国際頭痛学会が作成されたとされるものの、「欧米のトリプタン製薬会社とトリプタン御用学者が作成したもの」と断じておられることに注目しなくてはなりません。
そして、極論すれば「国際頭痛分類第3版 β版」の真の目的とすることは、片頭痛を明確に定義することによって”片頭痛と間違いなく診断”して、この片頭痛に対して”トリプタン製剤を処方させる”ためのものです。これが、この「国際頭痛分類 第3版β版」の本質と考えるべきものであり、それほど”大層なもの”ではありません。
問題は、このように頭痛を細かく分類してしまったことによって、別個の頭痛とされている頭痛同士の関連性を考える際の”障害”にもなっていることです。例えば、緊張型頭痛と片頭痛は全く別個の頭痛なのか、といった単純なことです。
「慢性頭痛の診療ガイドライン」作成の経緯
2000年にわか国にトリプタン製剤が導入されたことを契機に、日本神経学会が2002年に日本神経学会による治療ガイドラインの1つとして作成された「慢性頭痛治療ガイドライン2002」に始まり, その後2006年には日本頭痛学会が作成した「慢性頭痛の診療ガイドライン」が発表されました.
日本頭痛学会では、この「国際頭痛分類 第2版」を踏襲して「慢性頭痛の診療ガイドライン」が作られました。このため欧米の文献を疑うことなく全面的に受け入れているわけです。頭痛の分類そのものは、全く同じ分類になっています。
そして昨年の2013年には、ここ数年の頭痛診療の目まぐるしい変化, 薬物治療を中心としたエビデンスの集積を背景に, 日本神経学会・日本頭痛学会の共同監修により, 従来のガイドラインの基本的な考えを踏襲しつつ改訂した「慢性頭痛の診療ガイドライン2013」が作成・発行されましたが、今回は予防薬を中心としたものが主なものであり、ほとんど変わり映えがしないようです。「慢性頭痛の診療ガイドライン2013」では、「国際頭痛分類 第3版β版」をそのまま踏襲した形になっています。
そして、これが日本の頭痛診療の現場では、「慢性頭痛の診療ガイドライン2013」が「片頭痛の治療指針」として使われています。
2006年の日本頭痛学会の「慢性頭痛の診療ガイドライン」作成に関して寺本純先生は、その著書「こうして治す片頭痛 薬物乱用頭痛といわれたら」(講談社)で以下のように述べておられることを忘れてはなりません。これまでも述べたことですが・・
”立派な肩書きの先生方でないとガイドラインの「重み」がないため、あまり頭痛に詳しいとは思われない「専門医」が登場してガイドラインの作成にあたりました。さらに、日本の医学界は、欧米従属主義の考えから背後に存在する問題点、日本人の特性などを考慮することなく、海外の文献的エビデンスにただ追随しているのが実情です。こうしたことから、日本の業績よりも欧米の論文を無条件で評価する考え方から、それまでに欧米のトリプタン製薬会社とトリプタン御用学者が作成していた「国際頭痛分類 第2版」を無条件に踏襲した形で「ガイドライン」が作成されることになりました。”
(「国際頭痛学会」が作成したとされますが、このように欧米のトリプタン製薬会社とトリプタン御用学者が作成していたものであるということです。)
このため、その具体的な内容は、トリプタン製剤を”第一選択薬”とし、これに付随した予防薬を中心とした「薬物療法」が全てとなりました。そして、これ以外のものは、すべてエビデンスなしとされてしまいました。これは、欧米のトリプタン製薬会社とトリプタン御用学者が作成していたものであったため、当然のなりゆきでしかありません。
このようにして「国際頭痛分類 第2版」を無条件に踏襲した形で「ガイドライン」が作成されたということです。
ということは、この「国際頭痛学会」そのものが、トリプタン御用学者によって構成されていたことを意味しております。
Headache Master School 2013 in Asia
1999年から、「ADITUS Japan」がトリプタン製剤のひとつである”〇ー〇ッ〇”の製薬会社によって結成され、学会を主導される方々は、率先して、日本全国の脳神経外科・神経内科を中心とした医師へ片頭痛の啓蒙活動というよりは宣伝活動を展開されることになりました。これは、我が国にトリプタン製剤が導入される段階の準備でした。
そして、2013 年3 月「国際頭痛学会」主催でHeadache Master School 2013 in Asia が東京で行われました。世界のトップエキスパート14名が来日し、頭痛医学の最新の進歩を参加者一人一人に伝授されました。
日本頭痛学会は、これが、日本の頭痛診療・教育のあるべき姿を示すものと心酔され、日本頭痛学会独自のHeadache Master School Japan(HMSJ)が日本の頭痛教育プログラムの中心として据えられ,まずは竹島多賀夫先生をリーダーとして大阪で開催されました。これが昨年7月の(HMSJ-Osaka)でした。そして本年度のHeadache Master School Japan(HMSJ)2015(東京)でした。
日本の頭痛診療・教育のあるべき姿とされる「Headache Master School 2013 in Asia」 とは、一体どのようなものだったのでしょうか? これを知ることが大切になります。
学会誌では、2013 年3 月「国際頭痛学会」主催でHeadache Master School 2013 in Asia を受講された先生は感想を以下のように述べ、絶賛されます。
1.国際頭痛分類の改訂について
Goadsby先生に国際頭痛分類改訂第III版(β版)の解説をして戴きました。
テーマは”Good morning ICHD-IIIβ”で,セミナーのキックオフを兼ねた講演となりました。Goadsby先生は演壇をおりて聴衆に近づき,face to face の質疑応答を交えての講演を行い,まさに冒頭のアイスブレーキングとなりました.
国際頭痛分類の改訂については,どこがポイントかわかりにくく、慢性片頭痛をあえて新しい片頭痛のタイプとしたのは,片頭痛の病態の進行性につきさらなる検討が必要であるからとの説明でした。
TACにHemicrania continuaが編入されたのは,①TACの病態の一部である結膜充血,流涙などの副交感神経の関与とともに,②痛みの片側性の重要性が認識されたためとのことでした。片頭痛が片側のみの頭痛でないことはよく知られていますが,頭痛が片側だけに起こる疾患か否かの問診は,TACの診断に重要であることが再認識されました.
2.片頭痛の中枢性発生機序Central Mechanism
Charles先生,Burstein先生といった片頭痛の病態研究の世界的権威から,片頭痛の病態についての最も新しい知見を学ぶことが出来ました.頭痛の病態が画像化されるとともに片頭痛では脳に何か起こっているのかが理解でき,また慢性片頭痛の研究の進歩により,片頭痛が脳にいかなる変化を起こしているかを知ることが出来ました.
脳幹,特に視床下部から中脳を巻き込んで片頭痛がgenerateされ,大脳皮質,頭蓋内外血管,三叉神経で発症し(trigeminal-vascular),三叉神経脊髄路核,視床,大脳辺縁系,扁桃体,前頭葉内側面で痛みが増大,遷延,記憶される(central sensitization)といったメカニズムが図示されました.様々な方法の進歩で病態が画像として捉えられ,病態が解明されていく状況には,多くの参加者が驚きと興奮とを感じました.
3.頭痛の問診,実技指導
我々すべてが日常的に行っている頭痛患者の診察を,世界のトップエキスパートはどのように行っているかはきわめて興味のあるところです.今回は,Dodick先生,MacGregor先生が実際の患者さんを診察して見せてくれました.
初対面の患者さんでしたが,スムーズな問診の流れの中に所々に問診のポイントを解説しながらの実技でした.問診の緻密さ,病状を的確に捉えるすごさは圧巻でした.
両先生の問診の実技指導が完璧だと感服していたところ,Purdy先生とその後Ferrari先生が割って入り,自分の流儀を中心に問診の極意を披露してくれました.それぞれの先生が培ってきた問診法は,やはり頭痛医学の中心であることを実感しました.
4.トリプタンから学んだこと
トリプタンから何を学んだかについて,トリプタンを最も良く知っているFerrari先生にその功罪につき話して頂きました。我々にとって診療の直近の問題であり,欧米での経験には学ぶところが多かった.ポイントとしては,①NSAIDs無効の場合にトリプタン追加投与はOK,②トリプタン投与は頭痛発症30分以内が理想,③前兆時には服用しない(無効とのエビデンスあり),①2~3回トリプタン使用し,再燃のある場合は,長時間作用型トリプタンを使用する,⑤副作用についてはあらかじめ話しておく,出現しても次の治療法が勧めやすい,⑥経口,点鼻トリプタン無効の場合は,皮下注射を推奨する,⑦トリプタンによるMOHには十分に気を付ける,などが話されました.
5.慢性頭痛の臨床,小児思春期の頭痛
慢性片頭痛と慢性緊張型頭痛の臨床についてRapoport先生とSchoenen先生が明解な話しを,また小児・思春期の頭痛は,Guidetti先生から成長期の子供たちにとって頭痛がいかに負担となっているかについての印象的な話しがありました.
中枢性痛み感作については,①脳内に痛み増幅系(過敏,混線,記憶)が根づいてしまう,②幻肢痛が原点,③痛みの神経回路がPain matrix痛みマトリックス(基盤,母体,子宮,生み出すもの)が形成されるとの話しでした.
6.片頭痛の研究,最先端
片頭痛の研究と最先端のハイライトはDodick先生が先ず全体を網羅し,Burstein先生が自身の信ずるポイントを強調しました。研究の前線をすべてチェックしているすごさ,また自分なりの考えをもって新知見を消化できる洞察力に感嘆しました.
7.その他のセッションのハイライト
TACと略称されるようになったTrigeminal Autonomic Cephalgiaについては,命名者で,疾患概念の確立に努力しているGoadsby先生から直接話しを聞くことが出来ました.
MOHは見逃してはならない頭痛ですが,治療は困難なことが多い.断薬をすべきか否かについてディベート形式の講演とディスカッションがCharles先生(断薬すべき)とDiener先生(予防薬で治療すべき)とで行われました.日本でも近年強い鎮痛薬が処方できるようになり,患者からの痛みの訴えに麻薬に近い鎮痛薬が安易に処方される傾向がみられますが,今後MOHが大きな問題になると考えられます。ディスカッションでも多くの意見が出されました.
女性の頭痛については.MacGregor先生の講演がありました.頭痛とホルモンとの関係についてはわかりにくい点が多いが,講演ではわかりやすく解説されました.
Schoonman先生のバルプロ酸による予防療法も明解でした.
Gobel先生の頭痛の統合医療についての話しは参加者を驚かせました.頭痛センターに先端の医療を結集し,チーム医療の理想を追求する努力とエネルギーに感銘を受けた参加者が多い.ベッド数が200近い大病院のすべてが頭痛の外来患者と入院患者の診断,治療,教育に特化した頭痛センターは他にないものです.エビデンスのある治療はすべて行い,治療のアウトカムの向上を至上命令とする施設があることを知るだけでも受講生の励みになりました.
手技的治療は耳なれない用語ですが,頭痛の治療ではボツリヌストキシン注射,大後頭神経ブロックあるいは刺激療法が含まれます。Dodick先生,Schoonman先生から解説がありました.
以上が、Headache Master School 2013 in Asia の内容と感想です。
ここでは、片頭痛が”多因子遺伝”とか、”ミトコンドリアの機能障害による頭痛”である、とか、「体の歪み(ストレートネック)」の関与などは、まったく論じられることなく、すべてトリプタン製剤を中心とした研究業績がもとになっています。
そして、世界のトップエキスパートとされる14名の先生方は、1980年当時、トリプタン製剤が開発され、1990年代に至ってこれが臨床応用になった当時から、研究を進めておられた方々で、すべて研究の根底には”トリプタン製剤”があり、こうしたことから、寺本純先生には「トリプタン御用学者」と皮肉られたようです。結局、トリプタン製剤の作用機序の論点からすべて片頭痛の病態を説明され、実地臨床では片頭痛を如何に正確に・効率よく診断し、的確にトリプタン製剤を処方するか、ということのようです。
このようにして、現在の学会を主導される方々は、エビデンス、エビデンスとEBM医学を第一とされながらも、国際頭痛学会の考え方を全く無条件に踏襲・賛同されます。
このため、日本の業績は、国際頭痛学会の考え方と比べて、遅れているといった先入観念・思い込みがあるため、一切受け入れることはありません。考え方そのものは、すべて、国際頭痛学会の考え方の”二番煎じ”でしかありません。それを端的に示すものが、Headache Master School Japan(HMSJ-Osaka)での講義内容です。私も受講し驚いた次第です。私見は一切挟まないのが特徴的でした。
以上のように学会を主導される方々は、国際頭痛学会の方針は絶対的なものであり、無条件で踏襲され(ここにはエビデンス云々は存在しないことになります)、当然のごとく「国際頭痛分類 第3版β版」は頭痛診療および研究の”絶対的な基準”とされることから、日本の業績はすべて容認されることはありません。こうした方針はすべて「慢性頭痛診療のガイドライン」にも反映されています。
これが、現実の日本の頭痛診療および研究の”ありのまま”の姿です。
そして、学会員と一般の方々は、これが当然のあり方と思い込まされています。
これまでの頭痛研究
これまでの頭痛研究は、主として片頭痛を中心に研究が進められ、その結果、緊張型頭痛は片頭痛とまったく別の範疇の頭痛として置き去りにされました。それは、慢性頭痛の中心は片頭痛であり、トリプタン製剤が導入されたことにより”片頭痛の特効薬”として、片頭痛の病態もトリプタン製剤の作用機序の面から説明するための謂わば傍証としての研究が中心となりました。
以上のように、慢性頭痛を緊張型頭痛と片頭痛を明確に区別して・別の範疇の頭痛と考えることになりました。
国際頭痛学会が作成される「国際頭痛分類第3版 β版」は、個々の頭痛をすべて明確に定義することから、このなかの慢性頭痛と定義される、それぞれの頭痛相互がどのような関係にあるのかといった論点で、論じられることはありません。
また、この「国際頭痛分類第3版 β版」は先程から繰り返し述べていますように、元を正せば、欧米のトリプタン製薬メーカーおよびトリプタン御用学者が作成したものです。 トリプタン製薬メーカーの真の目的とすることは、製薬市場拡大の基盤として片頭痛を存続させ続けることです。片頭痛を存続させるためには、片頭痛が、単一遺伝子から生じるものがあることから、すべて単一遺伝子による”遺伝的疾患”であるかのごとく思い込ませることが必要になってきます。こういったことから、片頭痛は”多因子遺伝”か否かということは、無視され、議論されることは全くないわけです。
「国際頭痛分類 第3版β版」を”絶対的な基準”とすることから、トリプタン御用学者は当然のこととして、片頭痛の病態は、Headache Master School 2013 in Asia の片頭痛の中枢性発生機序Central Mechanismでも示されるように、トリプタン製剤の作用機序からだけでしか説明されないことになります。こうしたことから、トリプタン製剤が片頭痛の”特効薬”とされ、これ以外の考え方は、一切、問答無用で排除されることになっています。
このため、「片頭痛がミトコンドリアの機能障害による頭痛」という考え方(Welch KMA, Ramadan NM Review article; Mitochondria, magnesium and migraine. J Neurol Sciences 134 ,9-14 ,1995)は徹底して排除されることになってしまいます。
さらに、「国際頭痛分類 第2版」での改訂以来、頭痛と頸椎病変の定義が極めて曖昧になったことから、頭痛と「体の歪み(ストレートネック)」はエビデンスなしとされ、カイロプラクター・整体師・鍼灸師による施術をエビデンスなし、とされ全く評価されることはありません。これもガイドラインでもはっきり明記されています。
アメリカのカイロプラクターは「体の歪み(ストレートネック)」を基本としながら、「国際頭痛学会」はまったく、論外とされ、トリプタン製剤がすべてとなっています。
このように、日本の専門家は「国際頭痛分類 第3版β版」を”絶対的基準”とすることから、緊張型頭痛と片頭痛は全く別の範疇の頭痛であり、緊張型頭痛と片頭痛が連続したものであるとの機能性頭痛一元論を否定され、「体の歪み(ストレートネック)」を否定することにより、慢性頭痛とくに片頭痛の骨組み・屋台骨を取り去ってしまいました。
先日も述べましたが、専門家は、片頭痛の病態をトリプタン製剤の作用機序からしか説明されないことから、「脳過敏」さらに「片頭痛の慢性化」がどこからくるのか、が説明できなくなったことから、片頭痛はもともと「脳のなかに異常のない頭痛」とされて来たにも関わらず、片頭痛は「中枢性疾患」という考え方に変更され、すなわち、慢性頭痛という「脳のなかに異常のない頭痛」でなくなりました。
このようになることによって、片頭痛は慢性頭痛とは袂を分かって、別の頭痛(二次性頭痛の範疇)になりました。緊張型頭痛との距離が、遙かかなたに遠くなりました。
このようにして、片頭痛の本質が、また覆い隠され、ベールに包まれてしまいました。 この結果、慢性頭痛解明の糸口が全てを奪われることになったわけです。
このため、片頭痛は”不思議で・神秘的で・不可解な頭痛とされることに至りました。
このように、本来、「国際頭痛分類 第3版β版」は、「頭痛の分類・診断基準」にすぎないはずでありながら、このなかにトリプタン製剤を絡め・関与させることによって、慢性頭痛(とくに片頭痛)を考える際に、上述のような制約を設けることによって、現実に片頭痛の病態解明への道を全て閉ざしてしまったことを意味しています。
このようなことがありながら、日本の専門家は何ら疑問を抱くことはありません。
まさに、学会員すべては学会を主導される方々に”唯々諾々”と盲従されます。
以上から言えることは、トリプタン製薬メーカーは「国際頭痛学会」にも多大な影響を及ぼしているものと考えるべきものです。それを証明するものが「国際頭痛分類 第3版β版」であり、これによって、片頭痛を解明する糸口が闇に葬られてしまいました。
このため片頭痛を独立させて個別にいくら研究を行っても、本態解明には至ることはなく、現実に、片頭痛研究そのものが迷走を重ね、2000年以降、片頭痛研究の進展は見られなくなってしまったわけです。本来、片頭痛研究はあくまでも、緊張型頭痛との関連から、慢性頭痛全般的(トータル)な観点から解明すべきものです。
このようにして、全世界の頭痛領域は、 DR.RATH HEALTH FOUNDATION の「製薬業界は一般大衆を欺いている」を”地で行っている”ようです。
”製薬業界は私達の社会をコントロールし続けます。製薬業界の求めるところは医学研究をコントロールし、医療従事者をこの製薬業界に依存させることです。この権力を確実に手放さずに済むよう、製薬企業は立法機関およびメディアをうまく操っています。全メディアを通じた大規模な宣伝キャンペーンでは、医薬品のPRおよび宣伝部門によって、製薬業界の真実を隠そうと煙幕が張られています。
製薬企業は、ルイ・パストゥール、ロバート・コッホ等の医学上のパイオニアと重ね合わせて自社のイメージを描こうとしています。彼らは人道主義に基いて疾病の根絶を目指していると主張しています。しかしながら、真実はまったくその逆です。つまり、製薬業界は、製薬市場拡大の基盤として疾病を存続させ続けることが目的なのです。コーデックス・カルテルは、意図的な疾病の根絶妨害をその目的としています。したがって、製薬業界は人類救済の伝統にもとづいてではなく、自らの利益を維持するために無数の人間を犠牲にする組織的犯罪者のグループであるIGファルベン社の伝統に基づいて運営されているのです。”
このようにして、トリプタン製薬メーカーは「国際頭痛学会」に影響を及ぼし、「国際頭痛分類第3版 β版」を頭痛診療および研究の”絶対的な基準”とさせ、片頭痛が”多因子遺伝”ではなく、片頭痛が、単一遺伝子から生じるものがあることから、すべて単一遺伝子による”遺伝的疾患”であるかのごとく思い込ませ、緊張型頭痛と片頭痛は全く別の範疇の頭痛であり、緊張型頭痛と片頭痛が連続したものであるとの機能性頭痛一元論を否定され、「体の歪み(ストレートネック)」を否定することにより、慢性頭痛とくに片頭痛の骨組み・屋台骨を取り去ってしまいました。片頭痛の病態をトリプタン製剤の作用機序からしか説明されないことから、「脳過敏」「片頭痛の慢性化」の原因は説明できなくなったことから「中枢性疾患」とまでされるに至ってしまいました。
このようにして、片頭痛は”不思議で・神秘的な・不可解な頭痛とされているようです。
そして、片頭痛は永久に存続し続けることになっています。
専門家は・・
その結果、専門家の方は一般の方々から、以下のように批判されている始末です。
頭痛専門医について「論文を読んでいるのかもしれませんが、本を読んでいません。 本を読んでないため、一般人より医学知識が遅れています。学校時代から、暗記は限りなくできますが、考えることをしていません。結果的に、患者を見ず、権威とされる欧米の頭痛学者や「国際頭痛分類 第3版β版」や「慢性頭痛診療のガイドライン」に従うだけの医療になってしまいます。
日本の医学会が、欧米医学の受け売りで、いかに頭を使っていなかったか、ばれてしまいます。
このように批判されようとも、専門家はどなたも”我、関せず”の態度を示され、どなたも反論はなさらないようです。
学会は、「国際頭痛学会」がすべてであり、Headache Master School 2013 in Asia が、日本の頭痛診療・教育のあるべき姿を示すものと考え、日本の頭痛教育プログラムの中心として,Headache Master School Japan(HMSJ)が頭痛診療を行う医師の教育の一貫として定期的に開催されます。
Headache Master School Japan(HMSJ)では、受講者には「国際頭痛分類」を骨の髄まで徹底して頭に叩き込まれ、これから逸脱した考え・知識では「頭痛専門医」にはなれません。
このような「頭痛専門医の認定医試験」に合格された方々は、その考えの根底には「国際頭痛学会」の作成する「国際頭痛分類」を遵守しなければ、その存在意義を失うことを意味しています。これが”すべて”なのです。
頭痛診療を担当される診療医には「慢性頭痛診療のガイドライン」を片頭痛治療の指針とさせます。ここには、片頭痛治療の第一選択薬として、トリプタン製剤が記載されることになっています。
このようにして、トリプタン製薬メーカーは、頭痛領域すべてに・完璧に浸透し尽くしています。これが、マスコミを通して徹底されることになっています。
まさに完璧すぎる程の完璧さで、この牙城は崩れることはないように思われます。
学会は、「国際頭痛分類 第3版β版」を”葵の御紋”として君臨します。
こうしたことから、私のいう以下のような「慢性頭痛」の病態は絶対的に、容認されることはありません。
まず、片頭痛と緊張型頭痛は連続した一連のものです。
さらに、慢性頭痛の基本的病態には「体の歪み(ストレートネック)」が存在します。
片頭痛は”ミトコンドリアの機能障害による頭痛”です。
そして、片頭痛の大半は、”多因子遺伝”です。
その”環境因子”として、以下の6項目があります。
1.ホメオスターシス・・ストレスの関与
2.免疫(腸内環境)の関与
3.生理活性物質との関与・・脂肪摂取の問題
4.体の歪み(ストレートネック)の関与
5.セロトニン神経系の関与・・脳内セロトニン
6.ミトコンドリアの関与
しかし、逆に考えれば、このように考えることによって「慢性頭痛」の病態解明の糸口になるということを意味しています。
少なくとも、慢性頭痛という頭痛は、緊張型頭痛・片頭痛・群発頭痛・その他の一次性頭痛として個別に論ずるべきものではなく、「脳のなかに異常のない」慢性頭痛として、あくまでもトータルに一括して、全体的に捉えるべき頭痛であり、ここを突破口にしない限りは解明されないと考えるべきものです。
しかし、こういったことを論文にして投稿しますと、査読者による査読(review)を受ける必要があります。
現在の頭痛の分野において支配的規範となる「物の見方や捉え方」に凝り固まった頭の弱い専門医による審査です。
新しい「物の見方や捉え方」の学術的意義を理解できず、却下(reject)されるリスクが大で、却下されなくても色々イチャモンをつけ書き直しさせられます。
また、新しい「物の見方や捉え方」なので、従来の論文の引用ができませんので単行本からの引用ばかりとなります。
そうすると、”科学的根拠が乏しい、エビデンスがない”と判断されてしまいます。
つまり、論文は従来の「物の見方や捉え方」の範囲内での科学的真実は受け入れますが、新しい「物の見方や捉え方」の科学的真実は受け入れられないシステムとなっています。
現在、学会を主導される方々は、「国際頭痛分類第3版 β版」しか信じない方々です。
こうした方々へ、まさに正反対の立場からいくら論文を書こうが、却下されることは目に見えていることであり、まさに四面楚歌の状況にあるといっても過言ではありません。
これほどまでに制約が張り巡らされていることを読者の皆さんは知っておく必要があります。このようにして、科学的真実は覆い隠されてしまうことになっています。
しかし、学会を主導される方々とまさに正反対の論点で考えてみれば、慢性頭痛解明に至るまでの道筋は、それ程、遠い世界でないように思っております。
このように考える限りは、現在の頭痛の専門家からは、細々とした断片的な”科学的事実”は明らかにされても、一切、”慢性頭痛の全体像”に関する科学的真実は明らかにされることはあり得ないことがお解り頂けたかと思います。
このような現状が存在しますので、片頭痛の病態解明などは、”夢のまた夢”ということになります。このため、専門家は無批判・無気力となり、客寄せパンダとしての頭痛専門医の称号さえ手に入れば、後はどうでもよいと思っておられるようです。
このようにトリプタン製薬メーカーの影響は、国際頭痛学会にまで及び、国際頭痛学会は「国際頭痛分類 第3版β版」を作成され、学会を主導される方々は国際頭痛学会の先生方の言いなりであり、「国際頭痛分類 第3版β版」を頭痛診療および研究の”絶対的基準とされることから、学会員はどなたも異論を挟むことは許されません。
そして、国際頭痛学会は、2,3年ごとに「国際頭痛分類」を改訂され、頭痛をさらに細分類されますが、これに対して学会は日本語訳に追われ、学会員は改訂の都度、改訂の意図の解釈に翻弄され、常に、専門家同士の議論は、「国際頭痛分類」の改訂の解釈につぃてだけの論議となってしまい、本質的な議論に至ることはなく、研究どころの騒ぎではありません。このようにして、慢性頭痛の研究は進展することはありません。これが、これまで繰り返されてきたことです。このような過ちをいつまで繰り返されるのでしょうか。
このようなことは、トリプタン製薬メーカーの”思う壺”であったはずです。
どうして、このような単純なことが専門家には理解できないのでしょうか?
そして、部外者が口を挟もうとすれば、「国際頭痛分類 第3版β版」という印籠を振りかざして、”この紋所が目に入らぬか、頭が高い”と威嚇され徹底して排除されることになります。(まさに、馬鹿じゃないかと、ほとほと呆れかえってしまいます。)
このようにして、片頭痛は根絶されることなく、永久に存続することになります。
そして、トリプタン製薬メーカーは潤い、専門家の行う「頭痛外来」は繁盛し、お互いが潤って、万々歳ということのようです。果たして、こんなことでよいのでしょうか。
このため、片頭痛の改善などは、「頭痛外来」で望むことは不可能であり、あくまでも患者さん個人・個人の工夫でしか改善されて来なかったということであり、このことは歴史が証明しているということです。
こうしたことを、専門家の方々は”真剣に”考えておられるのでしょうか?
ここが、まさしく”素朴な、素朴な、素朴な疑問”です。