”緊張型頭痛”と”片頭痛”は区別できるの??? | 頭痛 あれこれ

頭痛 あれこれ

 「慢性頭痛」は私達の日常生活を送る際の問題点に対する”危険信号”です。
 このなかで「片頭痛」は、どのようにして引き起こされるのでしょうか。
 慢性頭痛改善は、「姿勢」と「食生活」の改善がすべてであり、「健康と美容」のための第一歩です。

 これまで、緊張型頭痛と片頭痛は一連のものであり連続したものと述べました。
 しかし、専門家およびネット上では、緊張型頭痛と片頭痛は明確に区別されるとされます。果たして、これが真実なのでしょうか。
 そして、『慢性頭痛の診療ガイドライン2013』では、緊張型頭痛と片頭痛はあたかも全く別の範疇の頭痛であるかのごとく記載されております。
 ネット上では、両者の特徴が記載されてはいますが、実際、頭痛が起きた場合、多くの方々は、どちらの頭痛なのか区別が困難に思われるのが実情ではないでしょうか?
 実際、緊張型頭痛も片頭痛も「体の歪み(ストレートネック)」を共通の基盤として発症してくることから、大半の場合は、片頭痛の方は、まず最初は緊張型頭痛のようなパターンから始まり、いつの間にか片頭痛へと移行するケースが多いようです。こうした場合は、両方の頭痛が重なり、殆ど区別は不可能と思われます。
 頭痛を最初に経験し、極く軽い場合は、緊張型頭痛と考えてよいかもしれません。
 また、生まれつきミトコンドリアの働きが極端に悪く、さらに生後の生活習慣・食習慣からさらにミトコンドリアの働きが悪くなっている場合は、いきなり片頭痛のパターンで発症することもありうるということです。こういった方々は、頻度的に少ないようです。
 この中間の状態にあるものが大半であり、多くの場合、両者は厳密には区別できません。
 こうしたことから、厳密に区別すべきかどうか問題があります。

 しかし、”頭痛発作時にどのように対処するか”考える場合、両者の典型的な症状を知っておくことも大切になってきます。そこで、最初に両者の特徴について述べます。


それぞれの特徴として・・一般的には


 片頭痛はずきんずきんとした脈打つような、比較的強い頭痛が頭の片側に起こり、階段の上り下りなど体を動かしたり、頭を振ったりすると痛みがさらに強くなります。 痛みが強くなってくると吐き気がしたり吐いたりすることが多く、光や音、匂いなどに過敏になります。したがって、片頭痛が始まると、部屋のカーテンを閉め、電気やテレビを消して,洗面器をかかえてじっと寝込む、ということになります。片頭痛の始まる前に生あくび、空腹感、いらいら、手足のむくみなどが起こり、これから片頭痛がくるのがわかる人もいます。また片頭痛持ちの1~2割の人は前兆といって、目の前にきらきら光るジグザグがみえたり、視野の半分が見えなくなったりします。 片頭痛は数時間から長い場合は3日間ほど続くことがあります。片頭痛は1ヶ月に2~3回、というように時々起こり、そのときはつらい思いをしますが、発作が治まればけろっとしているのが特徴です。このような発作は典型例で、片頭痛といっても両側が痛んだり、後頭部、目の奥、頭頂部などが痛む人もいます。


 これに対して、緊張型頭痛は“頭を鉢巻で締めつけられるよう”、“帽子をかぶっているよう”、というように,鈍い痛みが頭の両側に続きます。身体を動かしても痛みは強くならず、長く続けば食欲が落ちたりしますが,吐いたりすることはありません。 頭痛は数時間~1日でよくなることもあれば、長期間毎日続くこともあります。


 片頭痛と緊張型頭痛の主な違いは、動くとさらに痛みが増すのが片頭痛、痛みが強くて吐いてしまうのが片頭痛、ということになります。また片頭痛が始まっているときに入浴するとさらにひどくなることが多いのですが、緊張型頭痛では痛みがやわらぎます。

 このような特徴的な症状から専門家は、両者は明確に区別され・すべきとされます。
 しかし・・・・・・


緊張型頭痛がひどくなると片頭痛になる?

 

  「日常的に肩こりを自覚していて,疲れたり睡眠不足になると肩から後頭部に重い感じの痛みが上がってくる。後頭部の鈍痛で終わるときもありますが,我慢していると頭全体がガンガン痛んで吐き気も出現し,ひどいと嘔吐する。ガンガン痛いときには,家族の話し声もうるさく感じて,静かな部屋で暗くして横になると少し楽になる」といった患者さんはよく遭遇します。ひどい頭痛はおそらく片頭痛と診断して問題はないでしょう。後頭部の鈍痛に関しては、緊張型頭痛と診断される場合が多いと思われます。このように緊張型頭痛で始まり、程度が強くなると拍動性の頭痛を伴うものを、オーストリアのランス Lance は緊張・血管性頭痛 tension-vascular headache と命名しました。
 このように緊張型頭痛も片頭痛も一連のものです。
 このような方々は、必ずといってよいくらい、頸椎X線検査を行いますと「体の歪み(ストレートネック)」が診られるのが特徴です。


片頭痛が緊張型頭痛に化ける?

 「20歳ころから時々片頭痛発作を起こし結婚後片頭痛発作が頻繁になるが、40歳ころから緊張型頭痛が加わってきて、50 歳を過ぎると寝込むようなひどい頭痛発作は起こらない代わりに、だらだらと重く締め付ける感じの頭痛が続くようになった。」このような患者さんは古い分類で混合性頭痛としていた典型例です。

 国祭頭痛学会分類では、以前のものは片頭痛で、中年以降の頭痛は緊張型頭痛と診断されるでしょう。このようなパターンを片頭痛が加齢とともに変化したということで、米国の Mathewは変容性片頭痛という概念を提唱しています。ただ国祭頭痛学会分類の範疇としては現在のところ認められていません。 このことは、緊張型頭痛でも片頭痛でも根底に「体の歪み(ストレートネック)」が存在していることを意味しています。


 一方、片頭痛の治療に市販の鎮痛薬・トリプタン製剤などを乱用していますと頭痛が発作性の型から、連日性になっていくことがあります。いわゆる薬物乱用による「慢性連日性頭痛」ですが、これも 変容した片頭痛の一種と考えられています。このような場合は、ただ単に症状の上からは、区別できないことになります。
 市販の鎮痛薬・トリプタン製剤などは、すべては、人体にとっては害(有害なもの)になるのです。これらを解毒する際に、活性酸素が発生し、このためにミトコンドリアの働きを悪くさせることによって、片頭痛を増強させます。また、これら薬剤はいずれも”化学的ストレス”となって、脳内セロトニンを低下させ、痛みの閾値を下げるため痛みを感じやすくさせるために、薬剤乱用頭痛を引き起こしてくることになります。
 このように「体の歪み(ストレートネック)」が持続し、これに「ミトコンドリアの働きの悪さ」と「脳内セロトニンの低下」の3つが重なることによって、持続性に毎日頭痛が引き起こされてくることになります。
 こういったことから、症状の上から”頭痛”を捉えることには無理があります。こうしたことから、慢性頭痛を考える際には、その根源的な意味合いを考える必要があります。


 ここに「国際頭痛分類 第3版β版」で頭痛を診断するには問題が多く、同一の患者さんでは、ある時期は緊張型頭痛であり、ある時期には片頭痛となり、さらに経過すれば、また緊張型頭痛に逆戻りといった具合に、訳が分からなくなってきます。


片頭痛と緊張型頭痛の多くは症状は重複


 また、頭痛の起きている最中でも、片頭痛と緊張型頭痛の症状の多くは重複していて、個々の症状のみで診断することは困難です。たとえば、軽度~重度の頭痛、両側性および片側性の頭痛は両者に認められます。
 また、片頭痛、緊張型頭痛ともに拍動性でないことが多く、さらに、緊張型頭痛の特徴と認識されることの多い「肩こり」も多くの片頭痛で随伴しています。


  片頭痛因子(血管症状)
    
    拍動痛
    片側性
    高度頭痛
    悪心・嘔吐


  緊張型頭痛因子(筋症状)


    締め付け感
    圧迫感・頭重
    後頭部の頭痛
    肩こり


片頭痛の本質は「エスカレーシヨン」


 慢性頭痛患者の症候・因子を調査した複数の研究では、片頭痛と診断された患者と緊張型頭痛と診断された患者の頭痛は、性状・質的の差ではなく、頻度・程度の差であり、その病態は連続した「境界不明瞭な」「連続体」であると考えられています。
 片頭痛患者さんは、頭痛発作が始まったが、それほど酷くならずに済んだという経験をすることがあります。酷くならない発作は、片頭痛の診断基準を満たさないことが多く、緊張型頭痛と診断せざるを得ませんが、これを上手に説明したものが一次性頭痛(機能性頭痛)一元論です。1回1回の片頭痛発作に注目し、スタートは同しでも、軽く済めば緊張型頭痛、エスカレートしてひどくなれば片頭痛発作になるという考え方です。
 片頭痛患者の多くは,大半は10~20代という人生の早い時期に頭痛発作が起こるようになり、その後数年から数十年にわたり頭痛発作が繰り返されますが、この「頭痛持ち人生」の間に頭痛発作の頻度や程度は変化します。
 片頭痛患者では,若い時期は発作頻度が少ないが重篤な発作が起こり、年齢が上がるとともに頭痛発作の頻度は増えるが程度は軽くなるというパターンをとることが多いようです。加齢とともに片頭痛らしさが減り、緊張型頭痛のような頭痛発作が多くなってくる、いわば「頭痛持ち人生」の間に片頭痛と緊張型頭痛が連続しているような状態です。このような片頭痛は変容性片頭痛と呼ばれ、国際頭痛分類とは別の概念ですが、日常臨床では広く受け入れられています。
 専門家は、このように「国際頭痛分類第3版 β版」をもとに頭痛診断を行おうとされますが、現実には無理があるということです。

 Cadyは片頭痛と緊張型頭痛は”共通の病態生理”を持つと考えられるとして,一次性頭痛一元説について以下のように述べています。
 (私は、この共通の病態生理として「体の歪み(ストレートネック)」を挙げました。)
 片頭痛の発生過程は,まず患者の”遺伝素因”にホルモン状況の変化や睡眠時間の変化,アルコール摂取などの”環境因子”が加わることで,片頭痛が起こりやすくなること,すなわち脳の感受性が高まることから始まります。
 次いで,気分や食欲の変調,肩こり,感覚や意識の変化,疲労などの前駆症状があり,症例によっては眼がチカチカするなどの前兆を伴って頭痛が出現します。ここまでが前駆期で,次の頭痛期は一般的に軽度の頭痛で始まり、病状が進行すると中等度~重度となり、光過敏や音過敏が増強,悪心・嘔吐などを伴って国祭頭痛学会分類診断基準を満たすことになります。そして頭痛が頂点に達すると,中枢性のアロディニア(異痛症)を呈することになります。
 つまり,一次性頭痛一元説では,頭痛が軽度の段階でおさまる場合は緊張型頭痛とみなしています。ひどくなれば片頭痛へ移行するということです。
 言い換えれば、天気に喩えますと、片頭痛は「雨」、緊張型頭痛は「曇り」に相当し、両者には明瞭な差があります。雨は曇り空から降り出します。つまり、緊張型頭痛が先行します。雨の降り方もさまざまであり、片頭痛の臨床症状の”多彩さ”と一致します。


 以上のように、慢性頭痛の患者さんの中には片頭痛と緊張型頭痛を併せ持つ人も多く、二種類の頭痛が別々に起こる人もいれば、両方の頭痛が同時に起こっていると考えられるような人もいます。両方の頭痛が同時に起こっているような場合には片頭痛の要素も緊張型頭痛の要素も併せ持っことが極めて多いのです。


 頭痛持ちの患者さんのお話を聞いていると、若い頃は強い頭痛が起こると必ず吐いてしまい3日間は寝込んだけれど、50歳すぎてからは強い痛みはなくなり、なんとなく一日中頭が重い、という状態が増えた、という人がいます。
 機能性頭痛一元論を提唱される竹島多賀夫先生は、「ほとんどすべての慢性頭痛の患者は片頭痛と緊張型頭痛をもっており、片頭痛の割合が多い患者が片頭痛で、半々くらいであれば混合性頭痛、緊張型頭痛が主であれば緊張型頭痛の患者としているだけで、厳密にいえばほぼすべての患者は混合性頭痛であると考えておられるようです。


 このことは、緊張型頭痛も片頭痛も共通して、「体の歪み(ストレートネック)」がみられるからに他なりません。
 しかし、専門家には「体の歪み(ストレートネック)」という概念が存在しませんから、極めて曖昧な説明に終始せざるを得ないようです。


どのように考えるべきでしょうか


 このように、大半の慢性頭痛の方々は、緊張型頭痛と片頭痛を併せ持っています。 ということは、緊張型頭痛とか片頭痛とか敢えて区別すべきではありません。
 日常生活に支障を来す程であれば、片頭痛であり、支障がなければ緊張型頭痛です。


 頭痛が起こり始めた時、この頭痛がどこへ行くかはミステリーなのです。緊張型で終わるのか、緊張型頭痛経由片頭痛なのか、片頭痛直行なのか。これは患者さんにも分かりませんし、医者にはもっとわかりません。(引き金がどの程度重なるかで左右されます。)
 頭痛体操やストレッチ、階段の上り下りをしてみても見極めがつかない場合は、飲み慣れた使いやすい鎮痛剤を飲んで戴いて、30 分後に頭痛が悪化してくるようならトリプタン系薬剤を飲んで下さい。また、朝から痛い場合は片頭痛と考えられますし、ご自分の経験上片頭痛だとわかる場合には、最初からトリプタン系薬剤を服用して下さい。


 以上のように、緊張型頭痛も片頭痛は明確には、現実に区別できないということがお分かり頂けたかと思います。その理由は、緊張型頭痛も片頭痛も共通して、頸椎レントゲン検査で、「体の歪み(ストレートネック)」を高頻度に認めます。このため、このように臨床症状には、重複するものが多いということです。
 片頭痛は緊張型頭痛と連続したものです。緊張型頭痛から、片頭痛へと移行して発症してくるということです。
 ただ、先程も述べましたが、なかには、ミトコンドリアの働きが極端に悪いような場合は、いきなり片頭痛のタイプから発症してくる場合も当然あります。この点も重要な点です。こうした場合でも、頭痛の程度はいつも同じとは限らず、さまざまです。

 このように、片頭痛にしても緊張型頭痛の場合も、どのような”症状”があるかということで「国際頭痛分類 第3版β版」という国際頭痛学会が定めた基準に従って診断されていますが、この基準でもクリアカットには区別できません。必ず、この境界領域にあるものが現実に記載されております。この理由は緊張型頭痛と片頭痛が連続したものであるからに他ならないからです。
 単純な表現をすれば、日常生活を送る際に、支障を来す程の激しい頭痛の場合は、片頭痛であり、支障を来す程でない軽い場合は緊張型頭痛ということになります。ということは、この中間に位置するものが当然存在するということに他なりません。


 こうしたことから、実際に頭痛が起きた場合、今回はどちらの頭痛なのかを、その都度、自分で判断する必要があります。ここが実際の対処の仕方の難しい点です。
 多くの片頭痛の方々は、「典型的な片頭痛」の経過を示し、「予兆期」に”生あくび”が出たり肩が異常に凝ってきたりというように”頭痛信号”を自覚されておられるようです。 片頭痛で、前兆を伴われる方でも、毎回、前兆があるかといえばそうではなく、ときに前兆なしで片頭痛が始まることもあり、一定してはいません。
 こうしたことから、自分の「片頭痛の経過」を、あらかじめ把握しておくことが大切になってきます。そして、間違いなく「片頭痛の発作」であると判断できれば、即座に「トリプタン製剤」を服用することです。こうして、たちまちの発作に対処しましょう。


 結局、緊張型頭痛も片頭痛も連続したものであり、症状の上でも共通した部分が多く、根底には「体の歪み(ストレートネック)」が存在し、厳密には区別は困難です。ということは、”日常生活を送る上で支障があれば”片頭痛であり、”支障がなければ”緊張型頭痛といった程度の大雑把な考え方をすべきであり、その両者には6つの共通した病態が存在することから、治療を進めるに当たっては、この6つの観点から生活習慣の問題点を探ることであり、何ら区別して考える必要はないということです。
 すなわち、この2つは共通の病態が存在しますので、治療上は全く差はありません。
 問題は、”頭痛発作時の対処の仕方”だけであり、片頭痛と確かに判断できれば、トリプタン製剤を服用すればよいだけのことであり、区別ができなければ、最初は、市販の鎮痛薬を服用し、30分経過をみて、なお増強すれば、トリプタン製剤を服用すればよいだけのことです。気楽に対処すべきです。
 問題は、緊張型頭痛であれ片頭痛であれ、そのときに服用する薬剤で頭痛が治まったからと言って決して、それで安心してはならないということです。治まったからといって、その原因(6つの共通した病態)は残っており、鎮痛が根本的治療にはなっていません。
 それ以降、再発をさせないように工夫を凝らすことが必要になってきます。


その緊張型頭痛と片頭痛に共通の病態とは、以下のようなものです。


 1.ホメオスターシス・・ストレスの関与
 2.免疫(腸内環境)の関与
 3.生理活性物質との関与・・脂肪摂取の問題
 4.体の歪み(ストレートネック)の関与
 5.セロトニン神経系の関与・・脳内セロトニン
 6.ミトコンドリアの関与


 このような6つの病態から、根本的に対処しなくてはなりません。
 結局、片頭痛と緊張型頭痛の相違は、ミトコンドリアの働きの悪さという”遺伝素因”があるかだけということですが、これにしても臨床的に”遺伝素因”が明確でない場合も多く、生活習慣の問題からミトコンドリアの働きを悪くさせている場合も当然のこととしてあり得るということです。(基本的には”代謝異常”かもしれません)
 この6つの要因が、あなたの生活習慣のどのような問題点から関与しているのかを点検していくだけのことです。問題点がみつかれば、是正しておく必要があります。


 以上、緊張型頭痛とか片頭痛とか厳密に拘る必要は全くないということです。
 日常生活に支障を来す程の頭痛かどうか自分で判断すればよいということです。


 参考までに、以下のような成績があります。これは、以前述べたことですが・・


片頭痛の”緊張型頭痛”はsmall migraine


     片頭痛
   big(true)migraine
  連続体
緊張型頭痛
          緊張型頭痛
small migraine       (脳内セロトニンの関与)
            
 ということは、片頭痛での緊張型頭痛はsmall migraine で、本格的な片頭痛はbig true migraine で、これが連続しているということです。
 緊張型頭痛はこれとは別に、独立して、存在するということです。
 この差異は、「片頭痛素因」の有無で決まるとされています。


・片頭痛患者は片頭痛、片頭痛様、緊張型頭痛を経験します
・各頭痛に対するスマトリプタンの効果を二重盲検法で検討しました
・249 患者/ 1576 回の中等度~高度頭痛について分析しました
・投与後4時間目に、すべてのタイプの頭痛においてトリプタンはプラセボに勝りました

・片頭痛66 % : 48 % P < .001
・片頭痛様71 % : 39 % P< .01
・緊張型頭痛78 % : 50 % P < .001
(早期服用のために有効率が高い?)


 片頭痛患者さんは片頭痛、片頭痛様、緊張型頭痛を経験します。各頭痛に対するスマトリプタンの効果を249 患者に対して1,576 回の中~高度頭痛について分析した結果、投与後4時間目に、すべてのタイプの頭痛においてトリプタンはプラセボに勝りました。つまり、片頭痛の前の緊張型頭痛(仮面片頭痛)にもトリプタンが有効ということになります。症状の上では”緊張型頭痛”でも、本質的には”片頭痛small migraine” ということです。


 このような結果からは、起こり始めの緊張型頭痛の段階でもトリプタン製剤が有効ということのようです。
 私は、決してトリプタン製剤礼賛者ではありませんが、このような成績があるということを示すためにご紹介申し上げました。
 本来、「緊張型頭痛も片頭痛も一連のものである」ということを明らかにさせるためのご紹介と考えて頂きたく思っております。



 緊張型頭痛と片頭痛が明確に区別されるといった考え方は、日本に2000年にトリプタン製剤が導入された段階で、トリプタン製薬メーカーが、トリプタン製剤を片頭痛の”特効薬”として、誇大宣伝する際に、「緊張型頭痛と片頭痛が明確に区別される」とマスコミを通じて盛んに啓蒙活動が繰り返された時代的な産物にすぎません。このため、訳の分からない専門医が、単に、これを信じ切っているだけのことで、エビデンスあるものではなく、トリプタン製薬メーカーに振り回されているだけのことを忘れてはなりません。


 以上、緊張型頭痛も片頭痛も共通して「体の歪み(ストレートネック)」があり、敢えて、緊張型頭痛か片頭痛かなどに拘る必要はありません。二次性頭痛でないことを、発症当初に厳密に区別しておけば済むことです。後は、日常生活を送る上での生活習慣の問題点の有無を6つの病態の視点から点検し、問題点があれば、これを是正するだけです。
 慢性頭痛全体から考えていく(トータルでみる)ことが大切になります。
 いずれにしても、鎮痛はたちまちは必要ですが、市販の鎮痛薬・NSAIDS・エルゴタミン製剤・トリプタン製剤を使うにしても、月10回以下を目標として、発作回数を減らすようにしなくてはなりません。とくに予防薬を併用する場合、この点が重要になってきます。 最初の起こり始めの軽い頭痛である”緊張型頭痛”を市販の鎮痛薬だけで痛み(頭痛)だけとってお茶を濁していますと、最終的に”片頭痛”へと移行し、この段階でもトリプタン製剤だけで頭痛を抑えておれば、その根底にある病態は進行していきますので、終着駅である”慢性片頭痛”(トリプタン乱用による薬剤乱用頭痛)という頭痛地獄に陥ることになります。このように連続したものであるとの観点から、緊張型頭痛の段階で”芽を摘んでしまう”ことが重要で、片頭痛まで移行させてはならないということです。