「慢性頭痛治療ガイドライン」って何??? | 頭痛 あれこれ

頭痛 あれこれ

 「慢性頭痛」は私達の日常生活を送る際の問題点に対する”危険信号”です。
 このなかで「片頭痛」は、どのようにして引き起こされるのでしょうか。
 慢性頭痛改善は、「姿勢」と「食生活」の改善がすべてであり、「健康と美容」のための第一歩です。

 わが国の慢性頭痛に関するガイドラインは, 2002年に日本神経学会による治療ガイドラインの1つとして作成された「慢性頭痛治療ガイドライン2002」に始まり, その後日本頭痛学会は, 慢性頭痛診療のレベル向上・標準化, プライマリケア医への普及を目的に, 「慢性頭痛の診療ガイドライン2006」が発表されました。
 この「慢性頭痛の診療ガイドライン2006」作成に先立って、厚生労働省科学研究費補助金,こころの健康科学研究事業として、平成14 年から16 年の3年間に渡って「慢性頭痛の診療ガイドライン作成に関する研究」が北里大学医学部の坂井文彦教授が主任研究者となり、これまでの文献のエビデンスの有無を検討されました。
 ここでの研究は、主に慶応系の先生方が中心となって、これまでの文献のエビデンスの有無を検討されました。このことは忘れてはならない点です。
 2013年には、 ここ数年の頭痛診療の目まぐるしい変化, 薬物治療を中心としたエビデンスの集積を背景に, 日本神経学会・日本頭痛学会の共同監修により, 従来のガイドラインの基本的な考えを踏襲しつつ改訂した「慢性頭痛の診療ガイドライン2013」が作成・発行されました。今後 3 年毎に日本頭痛学会により改訂の予定とされています。.
 このガイドライン作成の目的は,これまで日本では効果的な頭痛診療のプロセスがなく,不十分とされていた慢性頭痛の標準的医療を普及させることとされています。


  「慢性頭痛の診療ガイドライン2013」 http://taku1902.jp/sub124.pdf


 この「慢性頭痛診療のガイドライン」が作成された背景には、2000年にわが国にトリプタン製剤が導入されたことがあります。このことは昨日も述べました。
 
 このガイドライン作成に関して寺本純先生は、その著書「こうして治す片頭痛 薬物乱用頭痛といわれたら」(講談社)で以下のように述べておられます。


 ”立派な肩書きの先生方でないとガイドラインの「重み」がないため、あまり頭痛に詳しいとは思われない「専門医」が登場してガイドラインの作成にあたりました。さらに、日本の医学界は、欧米従属主義の考えから背後に存在する問題点、日本人の特性などを考慮することなく、海外の文献的エビデンスにただ追随しているのが実情です。こうしたことから、日本の業績よりも欧米の論文を無条件で評価する考え方から、それまでに欧米のトリプタン製薬会社とトリプタン御用学者が作成していた「国際頭痛分類 第2版」を無条件に踏襲した形で「ガイドライン」が作成されることになりました。”


 その具体的な内容は、トリプタン製剤を”第一選択薬”とし、これに付随した予防薬を中心とした「薬物療法」が全てとなりました。そして、これ以外のものは、すべてエビデンスなしとされてしまいました。

 この事実は、「国際頭痛分類 第2版」を無条件に踏襲した形で「ガイドライン」が作成されたことです。ということは、この国際基準そのものが、欧米のトリプタン製薬会社とトリプタン御用学者が作成していたことを意味しており、当然の結果として ”トリプタン製剤を”第一選択薬”となってしまいました。それまで、汎用されていた”セデスG”やカフェルゴットが次々に、あらぬ理由のもとに市場から姿を消すことになりました。

 余談ですが、私も片頭痛があった時代は、セデスGだけが頼みの綱でした。といいますのは、服用後10分もしないうちに、あたかも雲が晴れていくような感じで効いてきて、服用後のスットする爽やかさが未だに脳裏から離れることはありません。当時セデスG1包は10円で、トリプタン製剤は1錠1,000円です。この安さが魅力でもありました。
 このようにして、トリプタン製剤の無かった時代のまさに強力な鎮痛薬であったセデスGがこの世から姿を消してしまい、トリプタン製剤が片頭痛治療での”一人舞台に”までのし上がったでした。


トリプタンが第1選択薬となった過程


 頭痛に関する医学分類は1962年にはじめて行われました。この分類は、「アドホック委員会による分類」としてよく知られており、いくつかの病名だけが羅列されただけのものですが、はじめて世界的に頭痛を医学分類したことで画期的なものでした。
 これに続いて、1987年に提唱された「国際頭痛学会による診断基準を伴う分類」は、単なる病名の羅列ではなく、診断基準をも示して一気に頭痛の診断技術の向上をはかろうとしたものでした。便宜上、この分類を”旧分類”と呼ぶことにします。
 ところが、この旧分類は、診断技術の向上を図るばかりでなく、1980年代はじめにイギリスで合成されたトリプタンを意識的に評価する目的で作成されました。
 トリプタンが医学的に薬剤として評価されるためには、一定の基準に基づいて診断された患者のなかでの治療成績を調べなくてはならないからです。
 この旧分類では、片頭痛の患者であっても、さまざまな条件のためにトリプタンの処方に向かない症状を示す場合には、その患者を片頭痛とは診断できないような基準をつくってしまったのです。たとえば、ほぼ毎日のように頭痛が起きる変容性片頭痛などは、この基準に従って診断しますと、緊張型頭痛になるように仕組まれています。
 しかも、この旧分類のなかには、薬剤誘発性頭痛という独立した項目が設けられています。そして、鎮痛消炎薬とエルゴタミンが薬物乱用頭痛を起こす薬剤として示され、鎮痛消炎薬なら1カ月あたりアスピリン換算で50グラム、エルゴタミンなら毎日2ミリグラム以上が、薬物乱用頭痛を招く基準量として規定されました。
 ところでこの診断基準の目的は、薬物乱用頭痛を防止するためというよりも、鎮痛消炎薬とエルゴタミンを多め使っていると危険だと、暗に示唆することにありました。このような基準をみれば、普通の医師なら、それなら問題のなさそうなトリプタンを処方しよう、という気になるに違いないと見越してのことが理由のように思われます。
 この当時からエルゴタミンの短所とトリプタンの長所を比較した報告が多くされていました。このような比較をすれば、トリプタンは優れている、という結果になるのは目に見えていました。こうして、トリプタンの開発国のイギリス、さらに欧州、アメリカではトリプタンが爆発的に売れました。ビートルズ旋風も去り、ロールスロイスのジュットエンジンもアメリカGE社に押されがちとなり、北海油田も限界がみえてきたイギリスにとっては、トリプタンは世界をリードする格好の商品でした。開発した製薬会社がエリザベス女王から表彰されるほど、トリプタンは国家的な製品だったのです。
 1999年のバルセロナの国際頭痛学会で、初めて「トリプタン誘発性頭痛」が報告されました。トリプタンを多用しすぎるといくら飲んでもトリプタンが効かなくなる、こうした現象はイタリアで多発していました。このように、当初からトリプタンが多用される布石はありました。
 それは、エルゴタミンとの比較試験を行った結果、エルゴタミンよりトリプタンのほうが有効時間が短いことが分かっており、トリプタンが体内から排出されたときには、再発性(反跳性)頭痛がおこりやすいことが、すでに知られており、再発性の頭痛が起これば起こるほど、それを抑えるためにトリプタンが使われるわけです。

 2003年に、「国際頭痛学会による診断基準を伴う分類」の改訂分類が発表されました。
 これを、便宜上”新分類”とします。これが現在使用されている「国際頭痛分類 第2版」の基となるものです。この新分類では、薬物乱用頭痛の基準が変わりました。
 鎮痛薬については月に15日以上、エルゴタミンについては月に10日以上となり、はじめてトリプタン乱用頭痛が設けられ、月に10日以上と規定されました。名称も、誘発頭痛から多用頭痛(日本語訳では「乱用頭痛」)に改められました。


 1987年の旧分類は、トリプタンを評価するために作成されたものです。はじめからトリプタンを評価しやすい診断基準をつくり、それを用いて頭痛抑制薬を評価するわけですから、トリプタンが最も優れているというエビデンスが得られるのは当たり前です。
 トリプタンの使用を月10回云々と入れざるを得なかったのは、製薬会社にとっては心外でしょうが、これはトリプタンの商品価値を下げないための苦肉の策とされています。
 といいますのは、トリプタンの使用を月に10回とした根拠は明確にされていません。
 聞くところによれば、イタリアではトリプタンが効かなくなってしまった患者例を集計すると、月に10回以上、しかも半年~1年間服用しつづけた患者のなかにトリプタンが効かなくなった人が多かったという結果を根拠にしているように言われています。
 そして、日本頭痛学会では、この新分類を根拠として片頭痛の診療ガイドラインがつくられています。このため欧米の文献を疑うことなく全面的に受け入れているわけです。この点が、それ以降の「日本の頭痛研究者」に対する影響力を考えるなら、計り知れないものが存在します。
 このように頭痛専門医が金科玉条のものとされる「国際頭痛分類 第2版」の診断基準そのものは、トリプタン製剤の適応を決めるためのものとされる理由がここにあります。


 また2000年に我が国でトリプタン製剤が販売されるようになってから、先程の「慢性頭痛の診療ガイドライン」が作成され、第1選択薬として「トリプタン製剤」が優先的にあげられております。そして、この「ガイドライン」はトリプタン製薬会社を介して、日本全国津々浦々の医療機関に広く配布されたほど徹底したものでした。ここが最も重要視すべき点です。
 このようにして製薬メーカーが中心となって徹底した売り込み戦略が開始されました。 このため、学会をも巻き込んだ形でガイドラインが作成された点を忘れてはならない点です。いわばガイドラインはトリプタン製薬会社が作成したかのような印象がありました。 これが、今後の片頭痛治療・研究の方向性を決定的に左右した時点でした。


「慢性頭痛の診療ガイドライン」のもうひとつの目的は・・


 昭和50年代から、日本ではCTの画像検査が可能となり、脳神経疾患を診療する診療科では必須の検査機器となり、このため脳神経外科領域には必ずCTが設置されるようになりました。このため頭蓋内病変の検査が脳血管撮影を行わなくても手軽に行えるようになり、この当時からベンケーシーの影響も後押しして、頭痛患者さんは、まず脳神経外科を受診される風潮が生まれました。(これは、現在のような「頭痛外来」ができる前です)。
 このようにして患者さんは「頭痛を訴えて」まず、脳神経外科を受診されます。しかし、問題の脳神経外科では、型どおり「問診・神経学的検査・CT検査」をされ、異常がなければ、「心配ありません」とただ言われ、鎮痛薬を処方され、追い返されることになります。 ここでいう「心配ありません」という意味合いは、「脳神経外科的に診て”心配ありません。手術の必要はありません”」ということであり、ここでは「慢性頭痛」が”病気として”取り扱われないことになってしまいました。このため、たとえ片頭痛であっても一律に”鎮痛薬の処方”でお茶を濁されることになっていました。こうした受難の時代が、「頭痛外来」が設置されるまでの約30年近く続くことになりました。こういった風潮というか名残はいまだに継続しているのが実情です。こういった風潮を是正するために日本頭痛学会が主導して、トリプタン製剤が発売になった時点から「片頭痛にはトリプタン製剤という”特効薬”があります」という宣伝が大々的に展開されるようになったわけです。こういったことから、学会で作成された「ガイドライン」は、このような脳神経外科医に対して作成されたものとも言えます。こういったことがガイドライン作成の別の目的になっていました。大半の脳神経外科医は、このガイドラインに従って、片頭痛治療を行われます。

 このため、大半の脳神経外科医は「片頭痛治療は、もっぱら”トリプタン製剤”の処方がすべて」といった感覚しか持ち合わせていないのが実情です。
 しかし、神経内科医は、トリプタン製剤出現以前から、エルゴタミン製剤を中心とした薬物療法と同時に「生活習慣の指導(セルフケア)」を謂わば「車の両輪」として行っていました。こういったことから、慢性頭痛の診療には、脳神経外科よりは神経内科医の方が長けていたはずにも関わらず、一般の方は、「頭痛は脳外科」といった流れは現在でも変わらないように思われます。これだけ、同じ「頭痛外来」と銘打っても相違があります。
 こういったことから、片頭痛の場合、大半の脳神経外科関係の「頭痛外来」では、薬物療法がすべてであり、詳細な「生活指導(セルフケア)」がなされることはありません。


 このようにして作成された「ガイドライン」の経緯からすれば、これまでの日本独自の慢性頭痛に関する臨床研究は、トリプタン製剤販売促進という大義名分から、すべてエビデンスなしとされ、片頭痛治療のすべては、トリプタン製剤一色になってしまった訳です。
 こうしたことから、緊張型頭痛は、まさに取るに足らない頭痛であり、頭痛は片頭痛が一番大切なものとされ、さらに、片頭痛が多因子遺伝であり、その”環境因子”としては、”ミトコンドリアと脳内セロトニンに関与したものである”といった考えは否定され、「片頭痛は遺伝的疾患であり、原因は不明で、神秘的な・不思議な病気」であるという考えが貫かれ、片頭痛は進行性の「中枢神経疾患」とされるに至っております。

 これを防ぐためと称して、頭痛発作時には毎回”トリプタン製剤”を服用しましよう、そうでもないと「脳過敏症候群」に至ってしまうと脅迫される現実があります。片頭痛が、進行性の中枢性疾患であれば、死に至ることを意味します。これまで、片頭痛そのもののために死に至った方々がおられるのでしょうか?


「慢性頭痛の診療ガイドライン」の最大の問題点
 
 神経内科医は、トリプタン製剤販売以前から、エルゴタミン製剤を中心とした薬物療法と同時に「生活習慣の指導(セルフケア)」を謂わば「車の両輪」として行っていました。
 そして、現在でも神経内科関係の専門医は、「片頭痛のセルフケアー自己管理」を完璧に行う限り、”9割”の方々はうまくコントロールされると豪語されていることも忘れてはなりません。
 こうしたことを指摘されながら、このガイドラインには「生活習慣の指導(セルフケア)」の項目が一切存在しません。それも、「慢性頭痛の標準的医療を普及させること」を目的としたガイドラインの作成の目的があったはずです。このガイドラインではEBMが重視され、エビデンスなきものは掲載されないことになっています。そうなれば、現在の神経内科関係の専門医が言われる「9割の方々はうまくコントロールされる」はハッタリとでも申されるのでしょうか? それともエビデンスがまだ確立されていないのでしょうか?
 このガイドラインには「生活習慣の指導(セルフケア)」の項目が一切存在しないことから、頭痛医療の何たるかが理解されない若い頭痛診療医は、「生活習慣の改善の指導」を全く行うことなく、安易にトリプタン製剤を処方され、その結果として、トリプタン乱用による薬剤乱用頭痛を併発させ悲惨な患者さんを生み出していることは忘れてはなりません。


 当時、ガイドラインが作成された段階で、医療ジャーナリストの梅田美津子さんには以下のような批判がブログ上でなされた程です。


―安易なガイドラインこそが危ない―


 平成17年5月2日付日経新聞に「頭痛の悩み専門医が診断」のタイトルで、「慢性頭痛」を正確に診断・治療する専門医を日本頭痛学会が認定するという内容が発表された。
「慢性頭痛」とは、脳梗塞とか脳血栓のように、深刻な病気ではないのに頭が痛い症状のことで、3 種類に大別されるらしい。ずきずきした激しい痛みを生じる「片頭痛」、肩や首筋のコリを伴う「緊張型頭痛」、決まった時期に起こる「群発型頭痛」で、最も多いのが「片頭痛」と「緊張型頭痛」の混合型だといわれる。実際、日本人の4割が慢性頭痛で悩んでいるそうだが、緊張型頭痛などはパソコン世代にとっては日常の悩みの種だろう。
 1998 年には「全国慢性頭痛友の会」が発足し、現在700 名の全国会員で構成されている。
 サイトには、慢性頭痛に悩む方の日記や経験があちこちにあり、その苦悩や、ときにはユーモラスな闘いぶりを知ることができる。
 頭痛に限らず、万人に効く薬はないことから、結局は色々な鎮痛剤を試すことになり、医学は進歩しているといっても慢性頭痛の原因はおろか治療法さえ確立されていないのが現状である。古来から存在するのに治療法がないという点では風邪と同じということだ。
 さて、記事の内容は「頭痛の専門医を頭痛医として認定する」、「慢性頭痛の診療ガイドラインを作成する」ことにより、患者の悩み解消につながるといったもの。科別ではなく、症状別のガイドラインは珍しいことから、多少は「患者中心」のように見えるが、根本的な考え方は間違っているように思える。
 慢性頭痛の解消法は、「自分にあった適切な鎮痛剤を見つけ」、「ストレスや疲労などを避け」、「リラクゼーションを試み」、「頭痛と上手に付き合う」ことに尽きるようだ。さらにそれ以前に、重篤な脳血管疾患との鑑別を早期に行うことが絶対不可欠である。とすれば、慢性頭痛の対処に必要なのは、専門医ではなくむしろ一般医の役割であるはず、診断してもこれといった治療法がないなら(恐らくは確固とした治療法は生まれない)、ガイドラインを作っても慢性頭痛の解消にはつながらない。慢性頭痛に悩む人は、「診断」後の慢性頭痛からの開放こそを切に期待しつつ、鎮痛剤に依存する精神的ストレスから逃れたいのである。
 厚労省は何かというと「学会」を持ち上げ、「ガイドライン」を作ることで安全なところに身を置くことと引き換えに、疾患の多様性と他の治療の可能性をつぶしてしまう。ここからも、今の医療に必要なのは、専門医ではなくむしろ一般医(かかりつけ医やホームドクター)であるはずなのに、医学教育改革をせずにガイドラインばかり作ってお茶を濁しているのだ。
 医学が進歩したというより、診断学のみが進歩し患者の苦しみや訴えは置き去りにされている。仮に、リラクゼーション効果を期待できる「東洋医学」「インド医学」など西洋医学以外の医療とのダイナミックな融合を図ることで、慢性頭痛に代表されるストレスが深く関与した現代病はかなり解決できるように思う。
 しかし現実は、いずれの取り組みからも逃げ、重い腰をあげようとはしない。これではせっかくの症状別ガイドラインも、結局は自己満足の産物で終わってしまうに違いない。


 さらに、船瀬俊介さんには・・


 そして、船瀬俊介さんには「クスリは飲んではいけない!」(徳間書店)で以下のように指摘されています。

 

 日本では8%の人が片頭痛持ちといわれている。概算で約1000万人が片頭痛持ちということになる。製薬メーカーにすれば気の遠くなるほど嬉しい市場だ。
 それでいて「医学界でも原因は分からない」とは呆れる(あきれる)。
 だから頭痛薬は痛みの原因を治すものではない。痛みの伝達神経をブロック(妨害)して感じなくさせるだけ。しくみはモルヒネ(麻薬)と同じ。
「長く続けると新たな頭痛の原因になることも」 「特効薬T乱用控えて」(「東京新聞 )
 
 現在、病院での片頭痛治療は、軽度から中度なら消炎鎮痛剤が使われている。
 中度以上では特効薬系薬剤が “奨励”されている。
 勧めているのは、刊行される治療「ガイドライン集」。
 製薬メーカー、医学界・厚労省によって作成されるが、実質はメーカーが作っているようなもの。名を連ねた教授らには、億単位の多額 “寄付金がメーカーから支払われる。
 担当役人には、天下りなど “特典”が準備されている。
 さて、問題の片頭痛薬。頭痛発作が激しいときでも「効果が得られる」という。
 よって、発作の不安から患者を開放する。“特効薬”として医師は処方している。
 ところが…「この薬を使うことで。痛みがすぐに治るために、飲み過ぎにつながりやすく『薬物乱用頭痛』の問題が出てくる。」と「東京新聞」(前出)は警鐘を鳴らす。
 とりわけ「薬を月に10日以上服用する人に起こりやすい」という。
 つまり常用者を苦しめている耐え難い頭痛の原因は、片頭痛特効薬だった…という落ちである。“愛用者” は「まさか…」とキツネにつままれた思いだろう。
 おそらく処方する医師は、“特効薬”が慢性頭痛の原因となる---という重大副作用について一言も教えてくれなかったはず。そうでなければ、常用するバカはいない。
 片頭痛の正体が薬物乱用頭痛だから、薬物 “特効薬”をやめるのが先決。
 そのとき起こる激しい頭痛は、まさにドラッグ中毒の禁断症状そのもの。耐えるしかない。呆れたことに政府は、これら頭痛を抑えるための“予防療法”まで準備している。
 それもまた薬物療法。「頭痛日記」をつけさせ、発作が「起こりそう」と思ったときに、予防薬を飲むことを勧める医師もいる。そこにカルシウム拮抗薬「ロメリジン」が待ちかまえてる。頭痛は無くなるのではなく、発作回数が減る程度。
 そのかわり今度は「ロメリジン」による副作用が現れてくる…というエンドレスの悲喜劇…。以上…、ちょっと耳を疑いますね。
 薬には主作用と副作用,、そして依存性がありますので、ご注意を!



 このように、頭痛とは全く”門外の漢”の方々に「ガイドライン」は酷評されている事実をどのように考えるべきなのでしょうか?



「製薬業界は一般大衆を欺いている」


 こうした事実は、DR.RATH HEALTH FOUNDATION の「製薬業界は一般大衆を欺いている」を思い出す必要があります。それは、・・
http://www4.dr-rath-foundation.org/japan/chemnitzprogramme/chemnitz08.html


 ”製薬業界は私達の社会をコントロールし続けます。製薬業界の求めるところは医学研究をコントロールし、医療従事者をこの製薬業界に依存させることです。この権力を確実に手放さずに済むよう、製薬企業は立法機関およびメディアをうまく操っています。全メディアを通じた大規模な宣伝キャンペーンでは、医薬品のPRおよび宣伝部門によって、製薬業界の真実を隠そうと煙幕が張られています。
 製薬企業は、ルイ・パストゥール、ロバート・コッホ等の医学上のパイオニアと重ね合わせて自社のイメージを描こうとしています。彼らは人道主義に基いて疾病の根絶を目指していると主張しています。しかしながら、真実はまったくその逆です。つまり、製薬業界は、製薬市場拡大の基盤として疾病を存続させ続けることが目的なのです。コーデックス・カルテルは、意図的な疾病の根絶妨害をその目的としています。したがって、製薬業界は人類救済の伝統にもとづいてではなく、自らの利益を維持するために無数の人間を犠牲にする組織的犯罪者のグループであるIGファルベン社の伝統に基づいて運営されているのです。”


年間なんと5000億円! 製薬業界と医師の“癒着”構造


 2012年度に製薬会社が医師や医療機関に提供した金額は、総額4410億円に上ることが明らかになりました。巨額の資金の流れが判明したことで、今後はその関係も厳しく問われることになります。
 新薬を開発する医薬品メーカーの業界団体、日本製薬工業協会(製薬協)が今年から「透明性ガイドライン」に沿って、医師や医療機関に支払った研究費や講演会の謝礼、接待費などの公表に踏み切りました。
 9月17日現在、製薬協の会員企業70社のうち公表済みの49社分を合計すると総額4410億円に達していました。
 ちなみに2013年度の国の科学研究費(科研費)の予算額は2381億円で、製薬業界の資金提供は、49社分だけでも2倍近くに相当。70社分となれば、5000億円規模に上ると予想されます。



 2000年以来、トリプタン製剤が次々に4つのトリプタン製薬会社から5種類発売になりました。その都度、発売前には全国の多くの施設で”治験”が行われ、発売後は”市販後調査”が行われ、こうした施設には多額の謝礼が支払われています。こうした方々のなかにはこの謝礼をもとに”トリプタン製剤”の宣伝を目的とした書籍を次々に出版されます。これに対しても、メーカーとして支援の手を差し伸べます。

 このような事実は、さらに次のような点が如実に示しています。毎年、頭痛学会総会が開催されます。この総会では、他の学会と異なる点は、シンポジウム、教育講演、ランチョンセミナー、イブニングセミナー、招待講演等々、多数行われますが、これら全てが「トリプタン製薬」の製薬メーカーを中心に、製薬メーカーがスポンサーとなって名を連ねており、まさに奇異な思いにさせられます。
 あたかも、「トリプタン製薬」の製薬メーカー協賛の発表のような印象を感じさせられます。これが、学問を論じる場なのかと疑いたくなります。
 そして全国各地で、頭痛研究会や勉強会が開催されますが、必ずといってよいくらいトリプタン製薬会社がスポンサーになっています。
 当地域では「関西頭痛懇話会」が存在しますが、これも某トリプタン製剤の製薬メーカーがスポンサーになり、年2回、高級ホテルで開催され多額の金額を拠出されています。



 製薬メーカーが多額の資金を提供されるのは「ガイドライン」作成時とされます。
 こうしたことから、3年おきにガイドラインの改訂が行われる理由かもしれません。
 「慢性頭痛の診療ガイドライン」に「生活指導」の項目が入れられない理由として、エビデンス云々以前の問題より、トリプタン製薬メーカーの関与があると考えるべきかもしれません。


 少なくとも、エビデンスを重視される余り、「生活習慣の改善」という最も重要な事項が欠落したガイドラインは、ガイドラインとしての価値があるのでしょうか?
 本来、片頭痛はミトコンドリアの機能障害による頭痛であり、治療の基本はミトコンドリアの機能を改善させるための生活習慣の改善に置かれなくてはなりません。
 トリプタン製剤は単なる”鎮痛剤”にすぎないはずです。にもかかわらず、メインに据えられています。
 トリプタン製剤を片頭痛治療の第一選択薬にしたことは、何か別の理由でもあるのでしょうか?
 以上のように「慢性頭痛の診療ガイドライン」だけをみても、トリプタン製薬メーカーの関与が色濃く反映されていると考えるべきなのかもしれません。



( 注 ) 年間なんと5000億円! 製薬業界と医師の“癒着”構造


 この点に関しては、本年4月1日に朝日新聞にも同様の記事が掲載され、具体的に「糖尿病関係の方々」の実名を挙げ、どこの大学および施設に対して、それぞれの製薬会社から幾ら支払われていたかが明らかにされていました。
 ここで、頭痛関係の専門医に対して、同様に、実名を挙げ、公開すべきでした。これはネットで調べれば、分かるようになっています。
 しかし、朝日新聞と個人のブログとでは社会的な信用度と役割があるはずで、一律に記載は許されることではありません。このようなことを個人のブログで公開すれば、たちまち名誉毀損で訴えられることは必定です。現実に、記事にもしましたが、船瀬俊介さんは、このあたりをオブラートに包んだ形でしか述べておられません。これが個人のブログの限界と思って下さい。
 さらに、「厚生労働省科学研究費補助金,こころの健康科学研究事業」として、国家予算がどの位、支出されていたのかも明確にすべきでした。
 このように「慢性頭痛の診療ガイドライン」作成にあたり、国および製薬メーカーが、その費用を提供している事実だけは明確にしました。
 こういったことからDR.RATH HEALTH FOUNDATION の「製薬業界は一般大衆を欺いている」が真実を語っているように思われます。


 このように「慢性頭痛の診療ガイドライン」作成に関する経緯を知ることは、現在の「頭痛診療および研究」を理解するための必須の知識と考えております。


 興味ある方は、ネット上でお調べになれば、これらが明確になるはずです。


 今回は、歯切れの悪い記事となってしまったことをお断り申し上げます。