最近の片頭痛研究領域では,片頭痛の発症機序の考え方に、片頭痛前兆の研究や片頭痛特効薬トリプタンの作用メカニズムなどから、現在では血管の疾患ではなく、大脳の深い部分にある間脳あるいは脳幹と呼ばれる器官の付近に「片頭痛発生器」があると考えられるようになってきています。つまり片頭痛は「中枢神経疾患」であると考えられています。 こうしたことから、中枢神経性の要素を考慮することがすでに近年の研究の主流になってきており,片頭痛の予防の考え方も中枢神経の興奮性(脳過敏)の抑制に変化しつつあり,片頭痛の予防薬の開発目標は、皮質拡延性抑制をいかに抑える薬を見つけるかが鍵になっています。そして、今後の新薬の開発に躍起になっている現状が存在します。
この中枢神経の興奮性(脳過敏)の抑制を目的として、脳過敏症候群なる説も輩出され、専ら「抗てんかん薬のデパケンで治療する」のが原則とされ、これに従わない医師は「ヤブ医者」呼ばわりされている現状があり、デパケン以外の「抗てんかん薬」の新薬が多数検討されるに至り、さらに片頭痛は進行性疾患とされるに至っております。
現在、このような考え方で片頭痛研究は進められていますが、・・・
このような”考え方”のおかしさは、以下の点からも明らかです。
片頭痛が本来、脳のなかに異常のない頭痛と、明確に”定義”しておきながら脳のなかに異常がある”中枢性疾患”としたことです。この矛盾をどう説明されるのでしょうか?
百歩譲って、仮に片頭痛が進行性の中枢性疾患であるとすれば、行き着く先は”死”を意味しています。
古来から、極めて多くの方々が片頭痛に罹患されましたが、こうした方々は片頭痛が原因で無くなられたのでしょうか?
このように単純に考えても、こうした考え方の誤りは明白です。
どうして、このような考え方に至ったのでしょうか?
それは、まず、片頭痛の病態をトリプタン製剤の作用機序の観点からだけで、考えたことにあります。片頭痛の病態はもっと別にあるはずです。これまで述べた通りです。
さらに、皮質拡延性抑制の要因を”脳循環動態”のみから考えることにあります。
これも、もっと別にその要因は存在するはずです。これもこれまで指摘しました。
結局のところ、一次性頭痛とされる脳の中に異常のない頭痛である慢性頭痛全体を俯瞰するような”総説”を描くことができなかったことによるものです。
片頭痛が、慢性頭痛のなかでどのように位置づけされるのかを俯瞰しなくてはなりません。こうした ”設計図もしくは羅針盤”ないがために、こうしたことが、これまで慢性頭痛の定義そのものを変更せざるを得なくなっています。
これまでも述べてきましたが、中枢神経の興奮性(脳過敏)の要因は、本来、以下があるはずです。
”脳過敏”を引き起こす要因
1.ミトコンドリアの機能低下にマグネシウム不足
2.脳内セロトニンの低下
3.体の歪み(ストレートネック)の長期間の持続
この点に関しては、以下の記事で述べたばかりですので、省略します。
慢性頭痛の周辺 その44 脳過敏
http://ameblo.jp/yoyamono/entry-12001284444.html
以上から、片頭痛が”中枢性疾患である”とする考え方には無理があります。
少なくとも、
1.ミトコンドリアの機能低下
2.脳内セロトニンの低下
3.体の歪み(ストレートネック)の長期間の持続
から、考えるべきものです。