なぜ、頭痛治療上”規則正しい生活”をしなくてはならないのでしょうか | 頭痛 あれこれ

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 「慢性頭痛」は私達の日常生活を送る際の問題点に対する”危険信号”です。
 このなかで「片頭痛」は、どのようにして引き起こされるのでしょうか。
 慢性頭痛改善は、「姿勢」と「食生活」の改善がすべてであり、「健康と美容」のための第一歩です。

 これまで、片頭痛治療に際して、”おくすり”を服用すると同時に「規則正しい生活を行って、食事をバランスよく摂り、睡眠を十分にとり、リラックスするように」と、生活指導がなされてきました。なぜ、なのでしょうか?


生体リズムと規則正しい生活


 規則正しい生活を送りましょう。幼い頃から、何度も聞いた言葉ではないでしょうか?
 規則正しい生活とは、生まれつき体に備わっている生体リズムに沿った生活という意味で、最も自然で健康的な生活と言えます。
 しかし、現代の生活環境は、健康的な生活を崩す要因が多く、24時間営業の飲食店や夜通しの娯楽、コンビニやテレビ・パソコンなどの普及により急激に変化しています。このような変化により、体の生体リズムにも悪影響が及んでいます。
 生体リズムを無視した不規則な生活を送ると、様々な不調を感じるようになります。生体リズム、自律神経、ホルモン、免疫はすべて連帯しているため、生体リズムが乱れると自律神経やホルモンバランスにも悪影響が及んでホメオスタシス機能を乱すのです。


ホメオスターシスとは


 外部の環境変化にかかわらず、体温や血圧、血糖値など、体内環境を常に最適な状態に保つ仕組みを恒常性(ホメオスターシス)と呼びます。さまざまな変動は、この恒常性を維持するための「環境に対する適応力」といえます。
 恒常性には自律神経、内分泌系、免疫系の3つの働きが深くかかわっており、それはストレスなどに大きく影響されます。例えば自律神経を失調させるストレスは内分泌を乱し、免疫力も低下させてしまいます。3つの相関関係は「ホメオスターシスの三角形」と呼ばれます。
 自律神経系の調節には、”セロトニン神経系”が関与し、内分泌系は”ホルモン”と”生理活性物質”が関与し、免疫系には”腸内環境”が重要な位置を占めております。


具体的にどのように働いているのでしょうか


 免疫系・内分泌系・神経系の”三つどもえ天秤”の維持システムをホメオスターシスと呼び、体の中では常にこのホメオスターシスによって書ききれないほどの維持機能を常にバランスよく保ちながら生涯にわたって健康を司っています。
 何らかの原因があり、体のどこかでわずかな維持機能の狂いが起こってもホメオスターシスの3つのシステムが、常に、必ず正しい均衡に戻そうとしてくれます。


 ですから少々のことでは病気になって現れることはありません。
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 しかし、こうした狂いの積み重ねにホメオスターシスが対応仕切れなくなると
やがて病気となって発現してきます。
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 ですから目先の症状を抑えても、ホメオスターシスの狂いを修正しなければ、再発・余病なども含め、完治に至らないことがあります。
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 このホメオスターシスを常に理想的に維持することが大事になってきます。


 免疫力・・・注目される言葉ですが、栄養と免疫力は、ホメオスターシスによってコントロールされ切り離せない関係にあることから、免疫力は栄養によって強くも弱くもなります。免疫力(免疫細胞)は、ホメオスターシスの一部にしか過ぎませんから内分泌系や神経系が密かに低空飛行を強いられている時は三つ巴のバランスが崩れていることを意味しているため免疫細胞が、独断で、且つ突出して働くことが出来る環境も望みにくくなります。
 このことが、免疫力を引き上げるだけでは、健康を取り戻しにくい理由です。

 ・・・たとえば
 免疫力を落とす感染症の陰に内分泌系や神経系の不具合が隠れていると免疫力UPの手段だけでは、ホメオスターシスは思うように動いてくれないことがあります。
 望みを託したい免疫細胞と言えどもただの細胞です・・・。
 栄養失調や周辺環境のサポートなしには働けません。
 免疫細胞は、互いに情報交換をするといった勉強もしなければなりませんし、合図を送ったり、合図を受けて行動に出たり、仲間を増やすことも必要です。

  ビタミンとミネラル補給をすることで、「免疫力が上がった!」と実感することは
 不思議でもなんとも無いことです。
  そこには<ビタミンとミネラルに支えられた正しい代謝>という過程を経ることで
 <免疫細胞が働くことが出来る環境づくりが整う >という関連性があるわけです。


 身体に必要な様々な栄養素が<代謝>を通じて備わることで


 ・交感神経と副交感神経(両方で自律神経と呼びます。)は正しく働き、
          ↓
 ・臓器を正常に動かすことが可能になります。
          ↓
 ・各臓器が正しく働くことで、漸く必要なあらゆるホルモンが分泌され
          ↓
 ・栄養は効率よくそれぞれの細胞にエネルギーの元として取り込まれ
          ↓
 ・これらを受け取った細胞たちは、代謝を重ね、不要物質を放出し
          ↓
 ・元気になり、活躍し
          ↓
 ・さらには正しい遺伝子を持つ細胞の生まれ変わりを可能にします。


 不要なもの(外部からの侵入や老廃物の排泄)を徹底して排除できる体内環境を整えることが出来るのも、十分な栄養があってこその技であり、力であって、健康は・・・元気な細胞の正しい働きなくしては得られません。
 
 食から見たホメオスターシスに大事なのものは・・・


 代謝の原動力になる栄養素と代謝を促進させる補酵素であり、水分と共に有害物質を排泄に導くことに尽きます。


   *新鮮で十分な水
   *ミネラル
   *ビタミン
   *必須アミノ酸群
   *3大栄養素 タンパク質、脂肪、炭水化物
   *4番目の栄養素と言われる2つの食物繊維
   *有害物質の除去は言うまでも無く・・
  
          
 これら必要なモノを体が求める場所に送り込む為には、口から入るご飯の質と量はもちろんのことですが、前提である<有効に取り入れる腸環境>が無くてはなりません。
 ご飯に見合うだけの(内分泌に不足する)消化酵素も必須です。

 そして、害になるものは、そこから一歩も中には通さないという強く、且つ柔軟な腸そのものを、各種栄養で作り上げることが必要です。

 理想はあくまで理想であって・・・
 しかしながら、時には栄養摂取自体が厳しくなる場合も起こります。
 その時には『命を支える強い何かの力』を求めざるを得ませんが・・・

 健康な時期よりも病気を抱えている時期ほど、沢山の必須アミノ酸群とビタミンとミネラルが必要であり、これらを使って健康な時期よりも高い代謝効率を経て必要エネルギーレベルを確保し、かつ解毒を促進させ強い&正しい遺伝子を持つ新しい細胞を生み出しホメオスターシスから底上げを図らなければ、健康は取り戻せません。
 本来は、病気になる前に必要なことです。


内分泌に不足する消化酵素


 <代謝を促すための触媒の働き>を受け持つ酵素は、体内合成が出来るものとそうでないものがあり、体内合成出来るものであっても生涯における量は限られています。
 もし、外から供給されなければ、生合成に頼る以外に手段はありません。
 結果として、ホメオスターシスの内分泌系は疲弊することになります。
 健康を維持するには、消化と吸収を助ける意味でも、腸管免疫を守る意味でも、ホメオスターシスの疲弊を遠ざける為にも、食品から摂取できるものは、積極的に取り入れることが重要です。


慢性頭痛は「生体のリズムの乱れ・歪み」によるものです


 「脳の中に異常のない頭痛」の一次性頭痛(慢性頭痛)は、「生体のリズムの乱れ・歪み」から生じてきます。


 自律神経系の調節には、”セロトニン神経系”が関与し、内分泌系はホルモンと”生理活性物質”が関与し、免疫系には”腸内環境”が重要な位置を占めております。

 緊張型頭痛は、環境因子の色彩の濃い頭痛です。この発症には、身体的ストレスと精神的ストレスが関与します。身体的ストレスには「体の歪み(ストレートネック)」が関与してきます。精神的ストレスには、「セロトニン神経系」が関与します。


 片頭痛は、私達の体を構成する細胞の中にある”ミトコンドリアの機能障害”による頭痛です。ミトコンドリアは食事から摂取した栄養素から生きる為に必要なエネルギーを作り出していて、エネルギーを常時たくさん使う細胞であるほど、ミトコンドリアの数が多く存在し、ミトコンドリアは、私たちの”活力源”ともいえるものなのです。
 そして、私達が日中活動している際に常時活動している神経系が「セロトニン神経系」です。このように常時エネルギーをたくさん使うセロトニン神経系は、ミトコンドリアの働きが悪くなりますと、同時にセロトニン神経系の働きまで悪くなってきます。
 「セロトニン神経系」は、脳の中心にある「脳幹」の、さらに中央に位置する「縫線核」という部分にあります。そして、大脳皮質や大脳辺縁系、視床下部、脳幹、小脳、脊髄など、あらゆる脳神経系と結合し、脳の広い範囲に影響を与えている神経系です。
 ミトコンドリアは、全身を支え、姿勢を整える筋肉グループ「抗重力筋群」に多く存在し、ミトコンドリアの働きが悪くなれば当然のこととして「体の歪み(ストレートネック)」引き起こしてきます。
 セロトニン神経は直接体を動かすのではなく、筋肉を緊張させることによって、重力に対して姿勢を保つために働く筋肉に働きかけていることから、セロトニンが不足してきますと、セロトニン本来の働きである「正しい姿勢の保持」が、困難となり、「体の歪み」を招来し、結果的に「ストレートネック」を引き起こします。
 このように、脊椎起立筋群に対して、ミトコンドリアの働きの悪さは、”筋肉そのもの”への関与、さらに脳内セロトニンは、”神経系の要因”として、関与しています。
 片頭痛の場合、「ミトコンドリアの働きの悪さ」に「脳内セロトニン低下」が加わることによって、姿勢保持が困難となり、前屈みの姿勢が長期間に渡って持続することによって、容易に体の歪み(ストレートネック)を形成してくることになります。


 そして、「体の歪み(ストレートネック)」は、慢性頭痛の起点となる緊張型頭痛の発症要因となるとともに慢性頭痛(片頭痛を含めて)の骨格ともなっています。


ストレスによる影響


 このように、免疫系・内分泌系・神経系の3つの相関関係は「ホメオスターシスの三角形」によって、人の体はコントロールされているのですが、それがストレスにさらされることでバランスを崩し、慢性頭痛に繋がっていくことになります。


(1)ストレスとセロトニン神経系


 ストレスを受けると、脳にある視床下部がそれを感知し、副腎から副腎髄質ホルモン(カテコールアミン)と副腎皮質ホルモン(コルチゾールなど)の分泌を促します。また間脳の橋の青斑核にあるノルアドレナリン神経からはノルアドレナリンが、交換神経末端からはアドレナリンが分泌されます。
 さらに、ストレスが続くと交感神経が過敏となり、アドレナリンやノルアドレナリンの分泌が高まります。セロトニンは過剰に分泌されたこれらのホルモンを抑制して、自律神経のバランスを整える働きも担っています。人間の感情の基本は、"快"と"不快"です。快を感じた時にはドーパミンが分泌され、不快を感じた時にはノルアドレナリンが分泌されます。どちらにしても過剰の分泌は問題ですので、この時、セロトニンが働いて過剰分泌にブレーキをかけます。
 脳の中で”快・不快”を感じるのは大脳辺縁系といわれる場所です。辺縁系には記憶の中枢である「海馬」や、情動を感じる「扁桃体」があります。扁桃体の刺激は視床下部という場所に伝わり脳内に色々なホルモン物質が出て自律神経を刺激します。幸せな気分はセロトニンやエンドルフィンが放出され、不快や恐怖ではアドレナリンやノルアドレナリンが放出され交感神経の働きを強めます。
 嫌なことを経験しますと、海馬が”嫌な記憶”を扁桃体に伝えます。扁桃体では不快・恐怖・緊張といった反応が起こり、この刺激は視床下部に伝わりアドレナリンやノルアドレナリンが放出されます。アドレナリンは血管を収縮させますから肩や頸の筋肉の血流が減って筋肉の栄養が不足し、筋肉でできた老廃物を外へ運び出せなくなります。このため筋肉が凝ってしまうのです。これにより、肩こりが起こり、緊張性頭痛が引き起こされます。
 このようにして、体がストレスを受けると、最終的にストレスの影響を緩和するために副腎皮質ホルモンが分泌されます。
 副腎気質ホルモンはセロトニンが神経細胞を伝わっていく時にセロトニン回収口を塞いでしまいます(脳内セロトニンは生成量が少ないので、8割程度は回収しながら溜まりを作り、一部だけを神経の伝達に使う仕組みになっています)。
 副腎皮質ホルモンが回収口を塞ぐと、一時的に神経伝達に使われるセロトニンは増えるのですが、ストレスが長く続くと貯まりが少なくなって、セロトニン不足を起こすことになります。
 このようなことが繰り返し起きますと、セロトニンの再回収口は完全に機能を失い、慢性的なセロトニン不足を招きます。
 縫線核に細胞体を持つセロトニン神経系(セロトニンが神経伝達物質)は脊髄後角でシナプス接続して、痛みを抑制します。


 以上のことから、慢性的にストレスに晒されることによって、「脳内セロトニン不足」を来すことによって、痛みを制御ができなくなって、頭痛を感じやすくなります。


(2)ストレスとマグネシウム(ミトコンドリアの関与)


 通常、ストレスがかかるとアドレナリンが分泌されます。
 アドレナリンによって心拍数が上がって、血圧上昇、血管収縮、筋肉収縮が起こります。
 こうやって外部からのストレスに身体が対処しようとするわけです。しかし、こういった作用には必ずマグネシウムが必要で、ストレスがかかる状況が続けば、マグネシウム欠乏に陥ります。
 ストレスの研究で有名な、ハンス・セリエによれば、身体の短期的な闘争反応、逃避反応から、慢性的ストレスに移行する際にもマグネシウムが消耗されると言います。また副腎(ストレス調整臓器)は、コルチゾールやストレスホルモンであるノルエピネフリンを作り出しますが、ノルエピネフリンはアドレナリンに似た作用を示し、同じくマグネシウム不足を生じさせます。
 またストレスによる副腎の酷使は、マグネシウム不足を生みますが、体内のマグネシウムレベルが低い時にストレスにさらされると、より多くのアドレナリンが放出されてしまうのです。
 アドレナリンは、イライラや怒りっぽさ、短気、感情の爆発などを作り出すので、まさに悪循環の流れが出来上がるわけです。こういった悪循環をストップさせるのには、マグネシウムレベルを回復させることが重要になってきます。
 またストレス反応が続く間は、アドレナリンの放出を促進するのにカルシウムが必要とされますが、元々カルシウムが過剰になっているとアドレナリンが溢れかえってしまいます。しかし十分にマグネシウムがあれば、余剰カルシウムを抑えてくれ、通常レベル以下にしてくれるので、ストレス反応が抑制されます。

 ストレス状態にある人の尿に含まれるマグネシウム濃度を測ると通常時に比べてマグネシウムの排泄量が増えています。
 これは、ストレスに対する防衛反応として、ノルアドレナリンというホルモンが分泌されるときにマグネシウムが消耗されたためです。
強いストレスを感じると体内のマグネシウムがどんどん使われ、益々ストレス状態が悪化するという悪循環に陥ります。


 マグネシウム不足が持続すれば、ミトコンドリアの働きをさらに悪くさせることに繋がることになり、片頭痛を悪化させる”元凶”にもなってきます。


(3)ストレスと活性酸素


ストレスがたまると活性酸素が増える


 活性酸素を増やす要因には、食生活の乱れやタバコや大量の飲酒、過激なスポーツ、紫外線など、さまざまな要因があります。しかしそれだけではなく、ストレスも重要な要因のひとつです。代表的なメカニズムには、次のようなものがあります。


1.ストレスを受けると、ストレスに対抗する「副腎皮質ホルモン」が分泌される。この分泌と分解の過程で、活性酸素が発生します。
2.ストレスは、「抗酸化ビタミン」ともいわれるビタミンCを大量に消費します。
3.緊張が続くと血管が収縮し、一時的に血流が阻害されます。その後、血管が拡張したときに、血液が勢いよく流れますと、大量の活性酸素が発生します。
4.ストレスがあると高血糖になりやすい。この状態も、活性酸素が増える一因となります。


 イヤな仕事や勉強、人間関係などのストレスも、体内で活性酸素がドッと増えます。よく、ストレスから胃潰瘍、十二指腸潰瘍になった、とききますがこれも活性酸素が犯人です。ストレスにより血管が強く収縮し血流障害がおき、虚血状態に陥った後、血流が再開する時大量の活性酸素がドッと洪水のように発生するのです。
 ストレスホルモンの一種であるコルチゾルが免疫機能の重要な役割をになうNK細胞の機能を停止させ、生成時に活性酸素も発生させます。


 ストレスが体にダメージを与える理由は、体内のあらゆる栄養素が消耗し、瞬間的に血管が収縮して血行が悪くなります。この血流が再開されるときにドッと大量の活性酸素が発生するのです。
 体内のあらゆる栄養素が血液中に動員され、筋肉や副腎といったストレスとの闘いで活躍する組織に優先的に送られるのです。その一方、そのほかの組織は逆に栄養を絞りとられる結果となります。ストレスに対処するのに直接関係しない臓器(消化器や皮膚など)に送られる血液量が最小限に絞られます。
 ストレスが解消されると、これらの臓器にも血液が戻ってきます。このときにも、活性酸素が大量に発生すると考えられています。現在のように繰り返しじわじわとストレスが続く状況では、体にとって大きな負担となります。例えば、ストレスがかかると心拍数や血圧が上がるのは、身に迫る危険に対抗するために自律神経により様々な臓器が調整された結果です。身に迫る危険に対抗するための、体の仕組みになっています。


 もう少し詳しく説明しますと、精神的なストレスによりアドレナリンが分泌されると、血糖値(血液中のブドウ糖濃度)は上がり、体脂肪も分解され始めるため体脂肪からの遊離脂肪酸が生成されるようになります。
本来、これらの体の変化は獣(外敵)などに襲われた時に人間が外敵と戦ったり逃げたりする時にエネルギー不足を起こさないための緊急的体勢の備えとして身に付いたものと考えられます。
通常、体脂肪のエネルギーへの利用は空腹時(食事を摂らない時)にエネルギーの不足分を補うために生じ、生成した遊離脂肪酸は直ちに体に必要なエネルギーとして使用されます。
 しかし、エネルギーとして必要性がほとんどなく、単に精神的なストレスだけによる緊張のためだけに生成した遊離脂肪酸は血中の遊離脂肪酸濃度を高めるだけの結果となります。ストレスから開放されると消費されるあてのない遊離脂肪酸は一時的に血中の濃度を高めるだけの結果となってしまうのです。
 その結果、血小板に直接作用して血小板の凝集を促進することや脳血管壁を傷つけ活性酸素を発生させるなどの現象を引き起こすと考えられます。
 このため、ストレスを受けている時に発症するのではなくストレスから開放された時に片頭痛を発症しやすくなるのです。
 このようにして放出された遊離脂肪酸が血小板に直接作用して血小板の凝集を引き起こすことにより脳血管内のセロトニン濃度が上昇することで片頭痛を発症すると考えられます。
 または、遊離脂肪酸が脳血管壁を傷つけ活性酸素を発生させ、その活性酸素が三叉神経や脳細胞を傷つけることにより片頭痛を発症させると考えることもできます。


 以上のように不規則な生活は、「ホメオスターシスの三角形」のバランスを乱す根本原因となるととに、セロトニン神経系を弱らせることになります。
 食事をバランスよく摂取しませんと、ミトコンドリアのエネルギー産生に影響を及ぼし、セロトニン産生における代謝経路に問題を起こしてきます。
 活性酸素等で傷ついたミトコンドリアの修復は寝ている間に行われるため、この修復には睡眠は不可欠です。睡眠不足になれば、ミトコンドリアは益々弱ってくると同時に、セロトニン活性化にも問題を起こしてきます。
 ストレスが持続すれば、ミトコンドリアが弱体化し、脳内セロトニンが枯渇してきます。
 こうしたことから、「規則正しい生活を行って、食事をバランスよく摂り、睡眠を十分にとり、リラックスするように」生活指導が行われてきました。
 そして、このような生活指導を厳守することが、片頭痛改善のための最低条件になっています。