よく見ろ

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今夏はできるだけ、息子とアイススケートの練習をするようにしている。

普段の武道の稽古がそのままアイススケートの役に立っている。

空手のサンチンの形など、アイススケートそのままだ。

つまりは普段の歩行がそのままアイススケートなのだ。

蹴るわけではない。

体重移動で勝手に前に進んでいくのだ。

太極拳とも同じだ。

そういうわけで私は最初から滑ることができた。

ただ、アイススケート特有の動きも多い。

氷上という場。

スケート靴という道具。

この特殊な環境でしか存在しない身体の使い方が存在する。

道具を使うということは何事もそうだ。

特殊な何かが生まれる。

これが簡単ではない。

ブレーキや足をクロスしてコーナリングをすることなどはそうだ。

人間の地上の動きでそんな動きが存在しないからだ。

だから、その動きに関しては相当に頭を使うことになる。

どういう仕組みなのだろう。

この夏休みは、スケートの仕組みを解剖していくことになった。

私は取りあえず滑るなんてことはしない。

取りあえず滑りまくって、慣れてしまえばよいなんて考えもない。

そんなことをすれば、アラフィフの私はすぐに怪我して終わりだ。

自分が見当をつけたことを試していくだけだ。

自分に見えないことは、見えないのだ。

見えないことはできないことだ。

やみくもに突っ込めば、怪我をする。

見えるところを正確に練習していくのだ。

実際に試してみて合っていれば、それを正確に再現できるようになるまで練習していく。

そして、できるようになってくれば、また新たなものが見えてくる。

アイスホッケーには、ホッケースタンスという基本的な姿勢があるらしいのだが、見てみるとそれは四股立ちと変わらない。

私はそんなことを習うまでもなく、その姿勢をとっていた。

そうでなければ滑れないのだ。

身体が練れていれば、そういったことも当たり前にわかってくる。

当然、ハラが落ちていないといけないし、股関節が使えなければならない。

何でも原理となるものは同じなのだ。

スケートと相撲は同じだ。

相撲はすり足だというが、どうしてすり足なのかだ。

当然、水泳や短距離走、長距離走、全ての競技とリンクする。

私は人の言うことは信じない。

誰からも習わない。

誰からも習わないが、その動きは何度も観察する。

そして、その動きについて、見当がつくことを練習していく。

難しい動きは、基本的な動きの複合になっている。

まずはその基本的な動きを見抜くことが大切だ。

見抜き、それを正しく再現できるようにする。

それができたら、組み合わせていく。

正しく再現とはいうが、正確にできるようになることは途方もないことだ。

相当な修練がいる。

私のアイススケートの練習は、そんなスタイルだ。

空手の形であるサンチンを身に付けるにも相当な時間が要る。

サンチンを通し、原理を見付けるまでの時間だ。

スケートの選手がサンチンができるかと言えば、できないだろう。

それはつまり、滑るということを正確に再現できていないということでもある。

原理を掴んでいないのだ。

自分自身で原理を掴むのは、それだけ難しいのだ。

原理を掴めば全てに生きてくる。

そもそも普通は何をどうやったら、滑れるのかなんてわからないだろう。

だから、とりあえず滑りまくって滑れるようになることが大切なのだ。

そして、かなり上達したとなったところで、自分が全てができていなかったことに気が付けばよい。

私の空手はそうだった。

私は空手をやり出して、35年になる。

10年前くらいに、自分の空手が全て間違っていたことに気が付いた。

25年はおかしなものをやっていたわけだ。

そこから全て捨て、一からやり直していった。

そして、今もやり直しの途中だ。

人から習って得られるものなどない。

すぐれた人の動きを見るだけだ。

私がわかることしか、子どもには伝えられない。

人の説明などあてにならない。

アラフィフの私が自由自在にアイススケートを滑れるようになったら、なかなか凄いことだと思う。

ダッシュしてジャッとブレーキをかけて止まれるようになったら、かっこいいだろう。