今回からエフェクターレビューを追加していこうかなと思います。第一回はアイバニーズのTS5です。TS9と微妙に型番は違いますがこれもチューブスクリーマーの典型的なサウンドが出せます。つまり歪みが浅く、低音がすっぱりとカットされていて、中音域が妙に強調されていて、強弱が圧縮されてペラっとしたチープなサウンドということです。使ったことがない人がこの説明を聞くと「え?なんでそんなものが人気があるんだ?」と疑問に思うでしょう。上記した特徴はアンプをクリーンにセッティングして本機で歪ませた際のものです。本来の用途は歪ませたアンプのサウンドと組み合わせることによって発揮されます。

 

例えば僕が愛用しているFender Blues Jr.を例に出すとボリュームツマミ(ゲイン)を上げて歪みが増すほど低音がブワッと膨らんでいきます。アンプのトーンコントロールでローを切っても低音弦の輪郭がハッキリとした音にはなりません。それはそれで迫力があってかっこよかったりするのですがもっとパリッと歪ませたい!場合にチューブスクリーマーの出番となります。いわゆるブーストという使い方なのですがエフェクターのレベルをグイッと上げて出力を上げることによってアンプの歪みを深くさせてやります。そうすると歪みが深くなりつつ軽快で聴き心地の良いサウンドに変わってくれます。これこそがチューブスクリーマー=TS系の真骨頂です。

 

TS5はプラスチックの筐体で安物感丸出しですが、TSらしい魅力はしっかりと受け継がれています。なんせ基本的なサウンドはチープ丸出しなので高級感などなくてもいいのです。ただ現行のTS9とはサウンドのキャラクターに若干の違いがあります。TS5のほうがローミッドの膨らみは少なくてシャキッとしているような気がしますね。ただTSは単体で歪ませるわけじゃなくてブースターとしてでしか使わないので傍で聞いていたら違いなんて全くわからないかもしれないですけれど。

 

当然ですがTS5は現在は生産されていませんので中古でしか入手できません。チューブスクリーマーには熱心なマニアの方もいたりするので中古でも新品の定価を超えるくらいの価格で取引されているのを見かけることもありますが無理して手に入れる必要はありません。何かスペシャルなサウンドがあるかというとそんなことは全然ないのでご安心ください。現行のTSMINIでも買ったほうがスマートな判断だと思います。