・初心者の人はコードを押さえられない理由を手の大きさや指の長さのせいにしがち

初心者の人がはじめてコードを押さえて演奏しようとしてもなかなかうまく行かないものです。「手が小さいので押さえられない」または「指の長さが足りない、思うように開かない」みたいな事を言う人もいます。そこで「ロングスケールから(フレットの幅が狭い)ショートスケールに持ち替えれば上手くいくのではないか?」と考える人も中にはいますが、結論から言えばそれはただの勘違いです。

・基本的なオープンコードでは手を広げて押弦したりはしません

コードを押さえられなかったのは「指の長さが足りないから」ではなくネックの握り(グリップ)や手首の位置が適切ではなかったからです。そういう人は、きっと単音弾きの練習をせずにいきなりコード演奏から始めたのでしょう。押弦の基礎がわかっていればそのような問題は出てきません。練習の順序を間違えたのだと思います。

・ロングスケールとショートスケールでネックの長さはそれほど違いはない。

ブリッジからナットまでの長さの比較でロングとショートでは4cmぐらいの差でしかない。だからロングスケールの楽器の2フレットにカポタストを付ければだいたいショートスケールぐらいの長さになります。それでスラスラ弾けるかと言えばそんなことはもちろんないです。だから弾き易さを求めてロングからショートスケールに持ち替えたところで意味はないでしょう。

・「じゃあなんでショートスケールの楽器なんてあるの?」

雑に言えば、ジャガーはサーフミュージックのような特定のジャンルでは定番の楽器なのです。あと、ムスタングなどは斜に構えたい人やお洒落さんにも根強い支持があります。

・ショートスケールとロングスケールの最も大きな違いは弦のテンションです

ロングスケールはテンションがきつくショートスケールはゆるい。ゆるいことによるメリットは特にないですがデメリットはたくさんあります。テンションのゆるい楽器をマトモに弾こうと思ったら繊細なコントロールが要求されるのでかなりの熟練者でないとマトモに音は出せません。

・「ジャガーやムスタングは初心者や手の小さな女性におすすめ!」

よく楽器店のポップや宣伝文句でありますよね。あえてキツイことを言いますがそういったポップや宣伝を書いている人は嘘つきか、もしくは無知なのだと思います。ショートスケールの楽器はいろいろな意味で難しい楽器ですので初心者には全く向きません。

 

 

初心者がコード譜を使って練習すると下手になります。

 

U-フレットにあるような「歌詞とコードがいっしょに表記されているもの」をコード譜と言います。コード譜というものは実は初心者に向けたものではありません。いわばメモとかあんちょこのようなものなので手軽ではあるけれど演奏するために必要な大事な情報が省かれていると考えてください。その大事な情報とは何か?それは楽曲のリズムやストロークのやり方、小節数などです。これらがわからなければ初心者が演奏することは不可能です。

 

またU-フレットではコードネームとともにコードダイアグラム(コードの図)が併記されていますが、これはミスリード(誤解させるもの)だと思います。図を見て押さえ方を確認しているようでは演奏にはならないからです。そもそもコード譜というものはコードを暗記している人が使うものですからコードダイアグラムを載せることの意味がわかりません。

 

初心者がいきなりコード譜で練習する弊害をまとめると

  • 小節数やリズムを無視した演奏になります。
  • ストロークのやり方がわからないので悪い癖が付きます。
  • コードダイアグラムを見ながら演奏するのでいちいち演奏が止まります。

ということになります。

 

つまりいつまで経ってもうまくならないし、そのやり方に慣れてしまうとバンドで人と合わせたりすると足を引っ張ってしまうことになりかねません。

 

 

ではどのように練習をしていったらいいのでしょうか?

 

まずコードは曲を演奏する前に先に覚えておくことが必要です。「覚えたコードを使って曲を弾く」というのが順番として正しい、「曲を弾きながらコードを覚える」ではないのです。

 

それから音符(音価)について学びます。全音符や4分音符などと言われているアレです。それがわかると小節という単位が理解できるようになるので、どのタイミングで次のコードに切り替えたらいいかがわかるようになります。またストロークのやり方に関してもメトロノームに合わせていろいろな音符を弾き分けることができるようになると感じがつかめてくるはずです。

 

コード譜とは、原曲を聴いただけでリズムを把握でき、どの様に弾けばいいのかが理解していて、コードネームを見ただけですぐにコードが押さえられる初心者を卒業した人が使うものなのです。ですからまずは初心者向けの教則本を見て基礎的なことから学ぶところから初めてはいかがでしょうか?またいわゆる「ギターソングブック」には簡単なリズム譜が併記されているものも多いのでU-フレットよりずっと参考になるはずです。

 

 

 

「Fコードのコツを教えて!」というのがギター初心者の質問で特に多いものの一つだと思いますが、Fコードに限定したコツなんて特にないんです、残念ながら。

 

正確に言うと押弦のコツはありますが、それはFコードに限ったことではないということです。例えば手のひら全体でベタッとネックを握らないようにするとか、コードを押さえる時にはすべての指を同時に押弦するようにするとか、押さえるポジションによって左手の握りの位置を調整したりとか、そんなことです。

 

それでもなぜここまでFコードが鬼門扱いされているのか少し考えてみました。

  • 先に人差し指でグッと力を入れてセーハしてから他の指で押弦しようとしている。
  • Cコードと同じ握り(グリップ)のままFを押さえようとするので中指から小指がポジションに届かない。

このどちらかかなと思います。前者は前述した「すべての指を同時に押弦する」という方法で解決しますし、後者も「押さえるポジションによって左手の握りの位置を調整」すればいいだけのことです。

 

ギターに欠陥があるとかそういう事を除けば、ごく基礎的なことができていればFコードを押さえて「セーハした1フレットが鳴らない」とか「薬指が届かない」みたいな破滅的にできない状況にはなりません。セーハが特別に難しい技術ということはないのです。

 

だからまずは単音でスケール練習をするとかそういう一番簡単なことをしていけばいいと思うんですけど、そういう地道な事をすっ飛ばしていきなり好きなバンドの楽曲のコード譜を見て弾こうとしちゃうのでFコードが壁として立ちはだかるのでしょう。Fコードができないのはただ単にせっかちが原因と言っていいのかもしれませんね。