10年ほど前に、現在のマンションに引っ越してきました。
各部屋、キッチン、トイレ、洗面所、玄関など、それぞれの場所には電波時計を設置しています。
ところが、時計が電波を拾えるのは、東向きにあるベランダの窓周辺だけです。
その不便を解消するため、電波時計用の中継器を購入しました。
中継器は、JJYリピーターとも呼ばれています。
私が購入した物は、リズム時計が製造し、シチズンが販売していたウェーブテラー(型番:9ZZ005)です。
説明では、10メートルは電波が届くと謳っていましたが、壁やドアがあると、到達距離は短くなりますし、時計の向いている方向によっては、電波が受信しづらくなります。
そのような場合の対策として、ウェーブテラーを芋づる式に複数接続する方法もあるのですが、ウェーブテラーは、もはや販売されていません。
Amazonで電波中継器を探すと、共立エレショップから、何種類か販売されているのですが、2万円ほどの価格です。
ウェーブテラーの内部を観察してみました。
上部にあるのが受信用バーアンテナで、右にある空芯コイルが送信用のループアンテナです。
ループアンテナは口径が大きいほど、送信効率が高いことが知られています。
ならば、口径の大きな外部ループアンテナを作成して、実装されているループアンテナの代わりをさせれば良いという結論に至りました。
しかし、内部アンテナと同じインダクタンスにする必要があります。
ネットで探したところ、正に私の希望を叶えてくれるサイトが見つかりました。
コイル枠が円形でも矩形でも自動算出してくれます。
そのサイトはこちらです。
■コイルの設計
コイルは内径が大きいほど送信効率が高いのですが、本棚の上に設置すると決めたので、一辺が20cmの矩形型コイルにしました。
導線はAmazonから購入した0.5mm径のポリウレタン線を使うことにしました。(\1,958)
ウェーブテラーに実装されていたコイルのインダクタンスは、自作のL/Cメーターで測定したところ、5.31mHでした。
最初の予定では、5.8mHのコイルを作成し、巻きを解きながら調整しようと考えていたのですが、実際にコイル枠にポリウレタン線を巻いたところ、135回しか巻けませんでした。
しかし、L/Cメーターで測定したところ、5.315mHのインダクタンスであり、実装されていたものに近似しています。
コイル枠は9mm厚のシナベニアを加工しました。
■思惑と当ての外れ
巻き終わったコイルをウェーブテラーに接続して、60kHzへの共振に追い込もうと、ファンクションジェネレータとオシロスコープで観察したのですが、共振点がよく分かりません。
これは想像ですが送信アンテナは直列共振回路になっており、そのドライバーはコンプリメンタリー回路であるらしいのです。
コンプリメンタリー回路では、それが動作していないと共振回路の閉ループが完成しませんから、共振点が見えないのです。
■結果良ければ全て良し
もともと、アンテナの共振点を追求することが目的ではなく、私の居室の時計が電波を受信できれば良いのだと割り切ることにしました。
ウェーブテラーのOUT端子の配線を外し、そこにアンテナドライバーを接続しました。
この状態でウェーブテラーを稼働させて一晩放置しました。
翌朝見たら、ご覧の通り、見事に受信が成功していました。
■考えすぎ?
もしかしたら、電波法に違反しているかも知れませんが、コンクリート壁に囲まれているマンションだから、大丈夫でしょう。
それどころか、近隣の住民には喜ばれるかも知れません(笑)